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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
最終章 誰もが欲しいものへ手を伸ばし、勝者は只一人
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続・最後のターン

 合図はなかった。

 事前に決めていたのだろう。

 ヨハネが動いた。

 隠しナイフを袖から取り出し、ティグレに斬りかかる。すんでのところでティグレは回避行動を取るが、それでもナイフの刃先が右腕に掠る。


「キング‼」


 ヨハネの次の一撃を放つことなくそのナイフをルークの元へ投げつけた。


「ヨハネ、お前だけでもここに辿り着いてくれて本当に助かったよ。これも俺の力の一部だ」


 ティグレがどこまで協力的か、本当の腹の底は見えなかった。だから、彼は保険をかけておいた。しかし、これは使うはずのない保険。元々、ティグレのことなど欠片もあてにしていないのだから。

 だが、彼女には有用な力がることを知った。

 それは彼女が元鬼族の長であり、最強の吸血鬼だったこと。今はただの人間程度の戦闘能力しかないが、今でも彼女の血にはその血を宿したものを吸血鬼化させる特性が備わっていた。

 だが、大き過ぎる力にはリスクが伴う。


 吸血鬼化した人間はその直後に死を迎える。


 以前に切り札としてもらったティグレの血をイチ、ニーという元奴隷の姉妹に使ったところ莫大な力と引き換えに一時間足らずで死に至った。

 ティグレ曰く今まで長かったもので一ヶ月弱らしい。人種か本人の戦闘力かはわからないが個人差は大きい。


 しかし、それでも、それを賭けてでもしないと目の前の最強には届かない。


「あぁ、あとたった一つだけ賭けるものがあった」


 ルークがナイフに付いた血を舐め取る。


「ちっぽけな俺の命だ‼」


 彼は先のことを考えるのを辞めた。

 身体中の血液が沸騰し、逆流しているのかと思う程の圧迫感が押し寄せる。

 反撃の一撃は速かった。

 鬼々は一瞬何が起きたのか分からずにモロに一撃を受けてしまう。


 彼は最後のポリシーだった弱い人間という称号を捨てたのだ。

 彼は世界最強の吸血鬼の血を奪い吸血鬼となった。




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