彼の最後
それは彼のきっかけで、そのきっかけで多くを失った。求めなければ今手にしているものまでは奪われなかっただろう。
それでも彼はより大きなものを求めた。
だから彼は死ぬのだ。
しかし、死ぬ前にやらなければならない事がある。
「……ナ……ウ」
このまま死んでは奪われ損。
コストだけを支払い報酬を受け取れないままだ。
「……無駄だよ、ルーク。君はもう九人呼んでしまった。スキルのLEVELはMaxが9。それはこの世界に呼び出せる人数上限でもある」
神崎は哀れな物乞いの子供を諭すようにこの世界の常識を語る。
まるでこの世界の住人の様に。
「……ナ、ロ、ウ」
それでも最後までその言葉に縋った。
その言葉が、その力が彼をここまで運んできたからだ。
「……キングは最後まで絶対に諦めない底力を見せてくれるですです」
「……ふっ、最初から最後まで底の力だけで戦ってきたような男だ」
ヨハネの言葉にティグレが重ねた。
そして、
(だから気に入った)
と誰にも聞こえない本音をティグレは心の中だけで漏らした。
ルークは何かを掴むように拳を握った。
「……最後? クク、どこ、が最後か、なんて、自分だけが、決めるものだ」
途切れ途切れの言葉でルークは言い放つ。
そして、確信する。
次で門は開かれる。
「異世界転生‼」
【能力名】
異世界転生
【LEVEL】
LEVEL10(神域)
光がその場を包んだ。




