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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
最終章 誰もが欲しいものへ手を伸ばし、勝者は只一人
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幽霊を斬る力

 ただ、その賭けには協力者がいる。

 そして、その賭けには協力者へとんでもないリスクを背負ってもらうことになる。


「……鬼々、聞いてくれ」

「聞きたくないけど、あいつを倒せる話なら聞いてあげる」


 ルークに悟られてはいけない。

 神崎は戦闘の中、小声で鬼々を少しずつ説得していった。

 鬼々はその話を聞いて困惑する。訝しみ、神崎を品定めする様な目線でジッと見た。なぜなら、神崎から聞いたその話と作戦があまりにも突拍子もなく、鬼々にとって不利益を被る話だったからだ。

 ともすれば罠かも知れないと思うのも無理からぬ内容だった。


「……本気?」

「僕にはこれしか思いつかない」


 その言葉を聞いて神崎の本気度を鬼々は悟った。

 それでも鬼々は思案した。その間にも二人は疲弊し勝利への可能性を閉じていく。


「選択肢は三択か」

「一応、四択だね」

「いや、それはあまりに危険過ぎ」


 二人が二人にしかわからない作戦の内容を口にし、ルークとの距離を探っていく。


「覚悟は決めた。誰に託すかも」

「了解。合図を出したら僕がルークを数秒足止めする。君はその間に君の仕事を成してくれ」

「簡単に言ってくれる」

「悪いとは思っている」


 二人は悪巧みをする子供のような笑みを浮かべ、確証のない賭けへ出る。

 神崎が合図を出し、ルークの視界を炎と水の波状攻撃で塞いだ。しかし、それは前回状態から程遠い威力でルークが軽くあしらう。


(ほんの数秒でも厳しいか)


 しかし、その数秒で鬼々は仕事を成した。

 鬼々は魔王の間の入り口へ走り、すぐさまルークと神埼の元へ戻ってきた。

 そして、へろへろの力で自身の武器である大鎌を拾いルークへ投げつけた。


「はん、今更そんなもので何が出来る」


 あまりもの弱々しい大鎌の投擲にルークはそれを右手で払い落とそうとした。

 そして、その直前でふと脳裡によぎる。


(いや、いくらなんでも鬼々が弱っているからと言ってここまで攻撃の威力が落ちるものなのか?)


 しかし、もうそこでの思考は手遅れだった。

 そう、鬼々は手心を加えたのだ。

 ルークが手で払い落とせる程度の威力にまで落として大鎌を投げつけた。


 そして、その大鎌はルークの手をすり抜け、身体をも通過する。


「……鬼々の鬼の力は『触れたいものにだけ触れ、斬りたいものだけを斬る』」


 鬼々はにやりと笑った。

 それは彼女が魔王になり前までに持ち得ていた力だ。




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