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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
最終章 誰もが欲しいものへ手を伸ばし、勝者は只一人
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誰の声が一番響くのか

「……そう、これが鬼々だよ、魔王だよ」


 鬼々は冷たい声で現実を突きつけた。

 夢見た一瞬の優勢。そんなものは幻と消えた。


 その先は現実だけが待っている。


 ルークが追いすがるが、どれだけの策を弄しても水泡に帰していく。


 何度殺しても蘇る鬼族。

 そして、トップクラスの身体能力を持つ鬼々。


「……まだだ。ラシェリ、歌で俺たちの肉体を強化しろ」

「そんなことはさっきからとっくにやっていますわ。それ以上の強化はもはや洗脳の類。肉体のリミッターが振り切れて戻れなくなりますわよ」

「もとより戻る道などない。ここで立ち止まって死ぬか、進んで死ぬかだけだ」


 歌姫ラシェリは微笑む。


「いいでしょう。覚悟を決めたものにこそ私の歌を利かせる価値がありますわ」


 大泥棒ルパッドが鬼々の大鎌だけではなく他の鬼族たちの武器も全て盗み取り一つに重ねていく。

 彼の武器強奪がなければルークたちが受けるダメージは更に甚大なものになっていただろう。そして、ルバッドの特技は盗んだ物の機能を百%引き出すことと盗んだ物を合成し一つにまとめていくこと。


 ルバッドが鬼族の武器を一つの大きなハンマーへと合成させていく。

 ルバッドはそれを抱きかかえルークに合図を送る。


「オイラごといってくれ」


 ルルルの身体のモップがまた一つの大きな拳を作る。

 その拳はルバッドの胴を掴み、ハンマーを振るえる体勢をとる。


「歌え‼ ラシェリ‼」


 ラシェリの歌が魔王の間に響き渡った。

 これまでで最大の音量だ。

 そして、それと同時にルルルがルバッドごとハンマーを振るい鬼々の頭上へ振り落とした。さらにモップにはルークは時間外(オーバー)労働(タイム)をかけている。ハンマーと鬼々が拮抗すれば鬼々はどんどん体力を奪い取られ不利になっていく。


 これがルークたちに出来る最大の一撃。


「おはよう、もう夢から覚める時間だよ」


 鬼々の小さな声がラシェリの歌よりも耳に残った。

 ハンマーは一瞬で砕け、ルパッドの心臓は貫かれた。モップを引っ張りルルルの身体ごと鬼々は手繰り寄せ四肢は裂かれた。


 一瞬で二人が死んだ。


「そして、おやすみ」


 その声が聞こえる時にはラシェリも殺され、魔王の間はまた静寂が訪れた。




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