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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第五章 破滅と混沌の世界へようこそ
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始まりはどこからかやって来た

 トリニティとは見た目はただの黄色い石ころだ。

 しかし、それには力の指向性と整える性質と力の増幅する作用がある。故に今まで多くの奪い合いの争いが起き、最終的にトリニティの全体の八割を獣族が独占する形で今日に至っている。

 何故このような結果に至っているかを簡潔に言えば本気度が違うからだ。

 獣族は周期ごとに肉体の暴走、気の高ぶりが起きるが、それを加工したトリニティのアクセサリーなどを身に着けることで回避、沈静している。

 つまりトリニティがなければ誤って家族すら殺してしまう大惨事が起こる可能性がる。だから、彼等は必至でトリニティの確保を最優先として生きている。


 それに比べ力のコントロールを元来得意とする亜人族、そもそも使える力が弱く暴走する可能性の皆無な人族にはそこまで重要なアイテムではないのだ。

 勿論、威力の増幅という付加価値は大変魅力的で可能ならば独占したいのは亜人族も人族も同じだが、あくまで付加価値であり、あれば嬉しい程度なのだ。死活問題となっている獣族とは根本から違う。


 あればいいなと、なくてはならないの差だ。

 人族に限って言えば近年拳銃が開発されるまで使い道すらなかったのだ。争いが起きると言っても本気度が違えば勝率は歴然だ。


「これほどのトリニティは見たことがないな」


 ルークは輸送用の貨車に積み込まれた大量のトリニティに垂涎の思いで言葉を漏らす。周りには数人の獣族がいたが強華の手により瞬殺した。殆どの成人した獣族は戦争の方へ駆り出されているようだ。


「拳銃の弾の補充の為にいくらかは持って行くが、後はドロクのお手製爆弾に詰め込んでしまおう」


 目的地についてしまえば、後は目的を果たすだけだ。

 各々が割り振られた作業を黙々とこなす。

 しかし、その沈黙は皆に否応なく覚悟を強制する時間のようにも感じた。

 この作業が終わってしまえばもうやることは一つだ。事態は最終局面にまで来ている。


「あいつら大丈夫かしら」


 リオンがここに来るまでの敵を引き付けてくれているワンコ達のことを口にする。


「簡単にくたばる連中じゃない」

「それでもくたばる時はくたばるがな」


 ルークの気休めをティグレは一笑する。

 

「……なぁ、ティグレ。最後かもしれないから聞かせろ。お前は何がしたいんだ?」

「なんだ、やっぱりこのまま魔王城に乗り込むのか? 予想外の連続なんだ、一度退いても誰も文句は言わないだろ」

「馬鹿にするな、分かりきっている。このままではジリ貧だ」


 ルークはここまでに失った多くに思いをはせる。

 目を腕を部下を兵士を地位も名誉も守りたかった大切な何かを。全ては全てを手に入れる為に失い走り続けた。止まるわけにはいかないのだ。


 ルークはここにはいないワンコやバレッタのことが頭をよぎる。

 止まったところでさらに失い高みを目指す機会はどんどん遠ざかっていくだけだ。


「俺はお前がぐうたらで普段役に立たないタダ飯喰らいでも感謝はしているんだ。俺に異世界(ナ・)転生(ロウ)を与え、世界と戦う術をくれたことにはな」

「いつになく殊勝だな」

「……弾と爆弾、準備終わったわよ」


 リオンが終わりの知らせを告げる。

 そして、それは最後の初まりの合図でもあった。




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