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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第五章 破滅と混沌の世界へようこそ
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彼等の敵

「何がよ!」


 リオンが余裕がないのか、その言葉に噛みつくように反応した。


「かつて最も頼りになった脇役だよ」

「は? 誰のこと?」

「お前たちも世話になっただろ。前線に出ることはなかったし、顔も名前も出さず、一人ひとりが大した実力を持ったわけでもなかったがな」


 ルークはあの日のことを思い出す。

 国を追われたあの日、彼、彼女等は初めて表舞台に顔を出した。


「コードネームは聖母だったか? くく、酷いネーミングセンスだ」

「……それって」

「俺たちが色々な国から集めてきた希少な回復スキル持ちの連中。ホイホイの看護師団だよ。一般の兵士に混じって即座に負傷兵を回復させてやがる。まさかあいつらがこんな前線に出てくるとはな。誰の入れ知恵だか」


 そう、ルークの裏で行っていた人体実験の証拠。悪政の決定的証拠を突きつけた彼女たち看護師団が混じっているのだ。

 普段から黒子に徹していた彼女らをこの集団の中から特定して撃破するのは非常に困難。一人ひとりの回復スキルは大したことはなくてもそれは傷の種類やダメージの箇所によってそれぞれ特化した看護師が即座に対応すれば戦地から帰って傷が悪化した状態からの治療に比べて格段の効果を成す。


「だが、ただの看護師どもじゃない。この中には恐らく俺に人体実験の証拠の紙切れを突きつけてきやがった看護師長も交じっている」

「なんでそう言い切れるの?」


 強華が敵と交戦しながらルークに聞き返す。


「いくらなんでも傷の治りが良すぎる。あの看護師長の持つ回復スキルはこの条件下なら最高の結果をもたらすからな」

「それって?」

「俺が読んだ資料に嘘がなければ看護師長の回復スキルは『半径十メートルにいる生き物を十秒前の状態に戻す』だ。これがどれだけこの場において強みになるかわかるだろ?」


 皆が息を飲む。

 何も戦場に出ている者たちだけが猛者ではない。

 そして、そんな黒子に徹してきた者たちがひとたび戦場に出れば今までと同じ手札でも信じられない化学反応を示したりする。


 倒しても、倒しても抜けられない人の波。

 気か付けばちらほら援軍も見え始めた。


「元に戻せるのは生き物だけだ! 面倒でも一人ずつ確実に殺していけ!」

「この人数でそれをしてたらそれこそ囲まれて思う壺でしょ!」


 仕方ない。

 彼はそう思った。

 本当は自分の崇拝する英雄の頂点に君臨する姿を出来る限り見ておきたかったが、仕方ないと諦めた。


「ルーク様‼ 後、その他‼」


 ワンコが足元の地面を思いっきり両手で叩く。



【能力名】

 成人(フッ・)不良(オレモ)

【LEVEL】

 LEVEL8

 ~次のLEVELまで、何かを二千六百一時間撫でなければならない。

【スキル詳細】

 自身の身体で触れた固体の硬度を下げる(柔らかくなる)

 生物には使用不可。

 硬度の下降する幅はスキル保有者の意思(ただし具体的にイメージ出来ていなければ発動しない)によって決定する。ただし、硬度はあくまで固体を保つ(どれだけ柔化させようとも液体にはならない)

 このスキルに解除は存在しない。発動後、その固体の硬度が戻ることはない。



 ルークたちは直ぐにその意図を掴み取った。

 バルゴス達囮組以外が直ぐにワンコの元に集まる。

 正確にはワンコの叩き、軟化した地面にだ。

 その場所へ勢いをつけて全員で飛び込んだ。それはトランポリンの要領でルークたちを斜め前方へ数百メートル跳ばしたのだ。


「直ぐに追います‼」


 前方へ飛ばされながらもワンコの声が僅かに耳に入る。

 ルークは前を向く。残った彼らの為にも何としても目的を達しなくてはならないからだ。



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