かつては貴方と
「……ルイ」
そこにはアッシュグレーのぼさぼさの髪が特徴的なホイホイの切り込み隊長ルイが複数の兵士を連れて潜んでいた。隣には元セブンズの一人ニニもいる。他にも華中、アシロ、メアリカの主力級の兵士たちがちらほらと混じっている。
ふざけた口調とは裏腹に目つきは鋭利で真剣そのものだ。
「この国を制圧するまでは変な第三勢力を混ぜない為にここで塞き止める様にニアリス様から言われていたんだけど、どうやら私はアタリを引いたらしい」
敵の数は百人弱はいるだろうか。倒せない数ではないが、時間をかければかけるだけ直ぐに増援がやって来るだろう。
「ルーク様、ここは自分が」
戦況を理解し、真っ先に名乗り出たのはバルゴスだった。
敵がよく知った仲であるルイであるのも大きいだろう。
「流石にお前さん一人じゃ足りねえだろ」
「助かります」
次に傭兵上がりのゴローが一歩前に出る。
ルークの元でセブンズになる前まで数々の戦場を経験してきた男だ。このような乱戦においてはかなり頼りになるだろう。
「多勢に無勢だ。あっしもお手伝いいたしやしょう」
ここまで殆ど非戦闘員ドロクが珍しく声をあげた。
「正直、この先にもっとヤバそうな連中がうようよいそうなんでね。あっしはここで足止めぐらいしか出来そうにありやせん」
一切隠す気のない本音を語った後、ドロクはルークにこっそりと小さな箱を手渡した。
「これ例のものです。最後かもしれないんで置き土産とでも思って下さい。それともう義手壊さないで下さいよ」
「助かる。義手は約束はできないが善処する」
ルークは懐にその箱をしまうとゴローに耳打ちをした。
「相手が相手だ。バルゴスが熱くなる可能性があるが、ある程度時間稼ぎをしたらお前たちも離脱しろ」
「わーってます。援軍までは相手してたらきりがないですからね」
ルークが残りのメンバーにアイコンタクトを送ると、その瞬間、時間稼ぎ組と離脱組の二手に分かれた。
「逃がすなよ! 包囲しろ!」
勿論、ルイ達はどちらも逃がすつもりはない。
その上、ルークたちの行き先は明確だ。ハクアの森の中心部への道を塞いでしまう。
「のいて」
強華が道を塞ぐ数十人の兵士を千切っては投げる。その隙に出来た道をルークたちが割り込んでいく。これまでも何度も使ってきた常套手段。
が、今回に限っては仕えない。
攻撃を受けた兵士たちは即座に立ち上がり、再度一瞬で道を塞ぐ。ルークたちがその姿に驚いた隙にスキルや武器により反撃までかけてくる。
「なんで? ワタシの攻撃が効いてない?」
強華は確かな手応えを感じているのに結果が付いてこないことに驚きを隠せなかった。
(……いや、これは)
ルークは違和感の正体をうっすらと掴みかけていたが、それを解明している時間はないと次に総攻撃の指示を出す。
しかし、結果は同じ。
それどころか、時間の経過とともにルークたちの周りに兵士たちが集中し始める。
「ちょっと、いい加減鬱陶しいわね」
「全く、ゴローたちは敵を引き付ける事すら出来んのか」
「まずいぜ、このままじゃ援軍が増す一方だ」
ゴローやバルゴス達も十分に敵を引き付けてはいるが、いかんせん向こうには実力者のルイや元セブンズのニニもいる。ただの雑兵の軍勢ではない。
「これは……紛れているな」
ルークはもはや確信してその言葉を口にした。




