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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第五章 破滅と混沌の世界へようこそ
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彼女の右腕②

 次の瞬間、シオンの右腕が膨張した。


「別に触れる必要はないの。ただ、愛は負けないと強く想うだけでいい」


 シオンの右腕は獣のように表皮が毛で覆われサイズも明らかにシオンの肉体とは不釣り合いに大きくなる。


「くそ! またそのスキルか‼ 一体何なんだ‼」


 ルークが忌々し気に口にし、糸の拘束が完全に解かれる前に自分の鞭を取り出し、シオンに二重の拘束を仕掛ける。

 既に右拳の裂傷は体毛に覆われ消えている。


「新しい右腕になるたびにリセットされるんだよ」

「ゴロー‼ ワンコ‼ 加減はいらない‼ 両腕を切り落とせ‼」


 即座にルークの指示に呼応し二人はシオンの背後を取った。いまなら微かにだが、アレーニェの糸とルークの鞭の拘束が効いている。


(ワンコに切れ味アップされた剣+俺のスキルだぜ!)

(出し惜しみしない‼ 残りの切れ味を手袋に付与し手刀で腕を落とす)



【能力名】

 強点(ストロングポイント)

【LEVEL】

 LEVEL7

 ~次のLEVELまで、残り二百一回、同攻撃で敵対者にとどめを刺すこと。

【スキル詳細】

 あらかじめ指定した自身の身体の一部に攻撃力の全てを集めることが出来る。

 これは時間の経過分威力が増加していく。

 指定箇所の体積が小さければ小さいほど威力の増加する時間も短い。

 Maxで本来のスキルを用いない攻撃力の百倍(百分間必要)まで威力は増加する。

 一日の使用回数、五回(二十四時間以内に五回を使用しつくした場合、次の使用までに二十四時間のインターバルと九時間以上の睡眠が必要)



強点(ストロングポイント)+剣(切れ味30)


手刀(切れ味70)


「いやーん」


 二人の渾身の一撃は身体を半身に返し体毛の覆われた丸太のような腕に変化した右腕でガードされる。


「それでもこの切れ味なら‼」


 ワンコもゴローも己の得物の鋭利さならどれだけごつい腕でも切り落とせると確信をもって体重をかけていく。

 しかし、


「切れないでしょ?」


 シオンは物凄いパワーで二人を薙ぎ払うと、アレーニェの糸もルークの鞭も紙切れでも破るように引き裂いてしまった。


「この毛はね、獣族の中でも一番の密度と硬度を持つ体毛だったんだって」


 シオンは自分の右腕をうっとりと眺める。


「……獣族だと?」


 ルークの呟きにシオンは反応する。


「そうだよ」


ルークはここまでの戦闘で得た情報でシオンの謎の力に対する推察をぶつけた。


「お前のもう一つのスキルは自分の見てきた、もしくは倒してきた相手の右腕を再現できるってところか。それも再現するたびにそれまでの右腕の傷まで完治する反則じみたおまけ付きだ」


 シオンはその問いに子供の見当違いの答えに戸惑う大人のように苦笑する。

 

「ふふ、そうだよね。ルー君やリオンちゃんにもお姉ちゃんのスキル双思(オーバー)総愛(ラブ)の詳細は教えたことなかったもんね。これは先天性スキルでお姉ちゃんは生まれつき一つしかスキルを持てないタイプだったの」

「だったらその右腕は何なのよ」


 リオンも姉の正体不明の力に戸惑いを隠せない。

 人族である限り、彼等が持ちうる武器はスキルだけだ。それだけが異能であり、超常的な力を有する他種族と渡り合う為の命綱。


「……ルー君たちはさ、この世界の種族について全種類知ってるのかな?」

「そんなの子供だって知ってる常識だろ。世界の六種族だろ」


 それは神崎がこの世界に来たばかりの頃にも話した。この世界を構成する全ての種族についての話。


「そう、人族、亜人族、獣族、鬼族、混合種族……そして変態族」


 シオンの笑みは深くなる。


「人族、亜人族、獣族はそれぞれ領土とがあり、その土地で子孫繁栄をしているよね。混合種族はその中で生まれた混ざりもので生まれながらに国を追われ定住の地を持てない。ここにいる大半は混合種族だね。そして、鬼族は少数精鋭故に移動または場所が突き止められないところで生きている。

 なら、変態族は?

 彼等はどこに住んでいてどこから生まれたの?

 みんなは分かるかな?」


 その質問に対してルークたちは答えに窮する。

 変態族は様々な性癖を持った変態。危ないので見かけたら近付くな。

 言われてみればそれ以上のことを知らなかった。

 シオンがその様子を見て得意げに続ける。


「変態族はね子孫の繁栄がないの。突然そこに生まれる。誰しもが自身の特殊性、周りとの乖離を自覚してしまった時、変態族へと、自身の性癖、欲望を最も満たせる形へと昇華するの」


 それは昇華と言うのだろうか。


「場所は選ばない。種族も選ばない。誰しもが変態族へと成る可能性があるんだよ。まぁ、大抵は拗らせすぎて元の原形もなくして友人、家族なんかにも判別つかなくなるから変態族がどこからか急に現れたように見えるかもしれないけどね。変態族に成ったばかりだと記憶の混乱も生まれて自分が何者なのかもわからなくなる子もいるみたいだし、一生そのままの子も多いみたい。理想の形に進化したわけだしそれまでの過去のことなんて興味がなくなる気持ちも分からなくないけどね」


 さて、何故ここまで急に変態族のことについて懇切丁寧に説明したのか。

 頭脳明晰な者なら察しが付くだろう。

 シオンは妹であるリオンに向けて親指をグッと立てる。


「お姉ちゃん、変態になっちゃった」

「きゃああああああ‼ 身内が変態にぃぃぃぃ‼」



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