あなたの背には
「くくく、絶望的だ。さて、こんな哀れな俺に味方してくれる変わり者はいくらいるのかな?」
ルークは自身の背を振り返る。
「俺につく無謀なやつらは俺の背を守れ‼」
満身創痍な彼は喉を枯らし叫ぶ。
人を心の底から信じることの出来ないルークは正直誰が味方で、誰が敵に回るのか予想もつかなかった。ここでもし自分に付く者がゼロならばそれはこの戦い、ルークの挑戦、人生の終了を意味している。
強気に叫んでいながら結果に怯える。
ルークは目を閉じ、結果を待った。
数秒が何十分、何時間にも感じた。
「……ルーク」
背後で誰かの呼ぶ声が聞こえた。
その声に怯える子供のように恐る恐る振り向いた。
「最高の結果はいつだって得られはしない。でも、あんたは諦めないんでしょ」
その声はリオン。
ルークを子供の頃から見てきた幼馴染。
彼女はルークを見捨てはしなかった。
「くくく、俺につくような連中だ。どいつもこいつも悪そうな顔してるものだな」
リオン、ワンコ、ヨハネ、ゴロー、アレーニェ、バルゴス、バレッタ。七人。そこに肩を貸しているドロク、イチ、ドロクの背にニー。現在拘束中のリュミキュリテとティグレ。そして、戦闘により負傷して動けない強華。数千、数万の兵力を手にしていたルークはもうそこにはいない。
たった十三人。
「意外な連中、想定通りの連中、色々言いたいことはあるが、今ここを乗り切らない事にはどうしようもないぞ」
「わかっております。看護師たちは多少鍛えたからと言っても元非戦闘員、リン共々私一人で抑えます」
ワンコ。
彼はルークの計画を全て知っていた。
そして、不可能を可能にするにはそれだけの犠牲は必要だと割り切っている。
「キングぅ、王が逃げるのはあまり好ましくないですですけど、仕方ないですです。退路は私ぃと手下で確保するですです」
ヨハネ。
ルークを世界の王へ伸し上げたい。
また、そのポテンシャルがあると心酔する者。
「……どう考えても無理でしょ」
「無理じゃな」
現実指向の二人は溜息をつく。
リオン、アレーニェ。
昔からの付き合いのリオンはわかる。
「お前もこの期に及んでまだ味方をしてくれるとはな。俺はお前の所の村人を皆殺しにしてるんんだぞ?」
「打算じゃよ。あの小娘には現魔王を倒そうと言う気概はない。なければ、ゼロ。お前は限りなくゼロでもなりたいと思うだけ可能性はある。そして、なってもらわねばみんなは生き返らん」
アレーニェはあの日、あの村で激情は捨てた。
あくまで合理的。
死んでいった村人を生き返らせるためには魔王の持つ能力、世界で唯一魔王だけが生じすることのできる死者蘇生の力が必要なのだ。
「自分も貴方について行きます」
「面白くなってきたな、ダーリン」
戦場で生きる術をルークに与えられたバルゴス。
戦場でしか生きられないバレッタ。
「なっ! 正気か⁉ 今、ここで散々そいつの悪事を聞いて来ただろ‼」
これには当然、バルゴスの幼馴染であるルイは激昂する。
ここまでルークを追い詰めることでバルゴスをルークの手から解放できると思っていたからだ。
「ルイ、君の方こそもう戦うことはやめてくれ。これからは僕がルークさんとこの世界を争いのない世界に作り上げていく」
「……てめー、洗脳済みってわけかい」
「何のことだ?」
睨まれたルークはルイの燃え盛る視線を涼し気に流す。
「金となるたけ多い戦場、どっちも必要だ。悪いね、神崎、お姫さん」
ゴローはある人の為に金と情報が必要だ。
それは積極的に動くルークの元が一番入ってくる。
「実験は続けたいんですけど、あっしの非人道的な実験をあのお姫様が許してくれるはずもなし、それが出来ないなら死んでるのと同じですからね」
「……一度死んでいた命です」
ルークに肩を貸すマッドサイエンティスト、ドロクと元奴隷のイチ、ドロクの背にその妹のニーはルークについた。
当然すぎるほど戦力は足りない。
目の前にはこの国に残った殆どの兵力。
そして、神崎がいる。




