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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第四章 人を喰らえ、人共よ
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地下の怪物たち

 ルークの信号を受け取った神崎、強華、また別動隊として動いているセブンズもホイホイの方へ移動を開始していた。

 だが、既にオセロム戦を経て満身創痍のセブンズ。

 大将首であるウーノを狩る為に敵の最後方へ歩を進めていた神崎、強華。

 どちらも直ぐに駆けつけられる状況ではない。


 ルークとてそれはわかっている。

 だから、時間を稼がなくてはならない。

 勿論、あわよくば敵を殺すつもりでだ。


 複雑に入り組む地下水路を駆け抜け、目的の研究施設に辿り着く。

 ルークは勢いよくドアを開けると、中の二人に呼び掛ける。


「ドロク‼ ステニー‼ いるか‼ 今から一分以内に亜人族の敵が攻めてくるぞ‼ 恐らく師範代クラスの敵だ‼ 戦闘に備えろ‼」


 呼びかけられた二人は心底厄介なやつが来たなと言わんばかりの呆れ顔を作った。


「ルーク、あっしは戦闘要員ではないと何度も言ってるんですがね」

「私も私も、私はお腹の中に居る赤ちゃんよりも非力な女の子」

「黙れマッドサイエンティストども‼ 誰がお前らに直接戦えと言った‼ あれを出せ‼ 散々研究時間は与えてやっただろうが‼」


 ステニーは年に似合わぬ子供のような頬を膨らませる仕草をすると不満を漏らす。


「えー、ルーク、あれはまだ未完成だって」

「未完成でも何でもここで死にたくなかったらさっさと出すんだよ‼ 相手は恐らくかなり高位の亜人族だ‼」

「ぶっつけ本番、実際現場で使ってデータを取るのも大事ですかね」


 部屋の外からは騒音が聞こえ始めた。

 確か足取りでハレルはこちらに近付いている。

 四人は顔を見合わせる。


「敵さんの能力は奥の部屋で用意しながら話してだせい」


 ルークたちは研究施設の奥の部屋に走った。

 そこには無数の人の影がある。しかし、そのどれもが意識がおぼろげで拘束具を付けられている。

 ティグレは興味深そうに辺りを見渡した。


「ほー、何かしているなとは思ったが、これはまた分かりやすい人体実験だな」

再狂士(リーカー)を作り出すうえで欠かせないからな。そして、今から出すのも再狂士(リーカー)とほぼ変わらない」

「なんだ、そんなものであいつらを止められるのか?」

「さぁな」


 ルークとティグレが話し込んでいる合間にもドロク、ステニーの研究者組はいくつかの資料をパラパラとめくっていた。


「亜人族は攻撃パターンがバラエティ豊かだからなぁ」

「でもルークの話だと今のところ避けられない斬撃を繰り出すのみみたいですぜい」

「ふむ、得意パターンを極めるタイプの亜人族なのかな」


 亜人族にはマジックと呼ばれる人族のスキルのように通常では起こせない事象を起こす能力がある。

 人族がスキルを二つしか持たない(その上一つは先天的スキルなので任意で選ぶことは出来ない)のに対し、亜人族は一般的な亜人でも何種類ものマジックが使える。また、えり好みさえしなければ百近くのマジック習得も可能なのだ。

 それというのも亜人族の中にはメモリーと呼ばれるマジックを覚える為の容量がある。

 そして、一つのマジックを覚えるごとにその難易度、火力、応用性等々からメモリーが減っていく。または使用していくと言った方が分かりやすいだろうか。


 攻撃用のマジック『炎色(ファ)反応(イア)


 ゼロ距離着火。

 炎は唱えた瞬間に対象を燃え上がらせる回避不能の上位マジック。


 これなどは習得するためのメモリーが二十近く使用される(最下位のマジックならばメモリ一で一つ習得可能)

 一般的な亜人族の兵士メモリ数が百程度なのを考えればこれに近い攻撃用のスキルを五つ覚えられることになる。

 先ほどえり好みしなければ百近くのマジックが使えると言ったのはこれだ。

 簡易の最下位マジックならメモリ数の消費が一程度で済む。

 そうなれば理論的には百の事象変化を起こすことが出来るのだ(勿論、メモリ一のマジックなどたかが知れているのでそんなことを実行する者はいない)


 そして、これを人間に無理やり置き換えれば人間はスキルを二つ使えるだけ、つまりメモリを二程度持っているだけなのだ。

 平均でもメモリ数百近く持っている亜人族の下位互換と言われても仕方のない貧弱さだ。

 その上、スキルには回数制限や発動条件もある。面倒この上ないだろう。

 その分、マジックに比べ複雑化、独創性の多いオンリーワンがスキルでは目立つので、必ずしもイコールの戦闘力ではないのだけは理解しておいてほしい。


 これを踏まえて、ステニーは該当者を探していく。


「うーん、どの子がいいかな~」


 ステニーはテーブル上のボタンの沢山ついたコントロールパネルの上で指を迷わせる。


「取り敢えず亜人族には身体能力でゴリ押せるこの子でいいか」


―ポチッ


 ステニーがボタンを一つ押すと、拘束されている者の一人の口に繋がれたパイプから謎の液体が送り込まれ、数秒後に拘束が解かれていく。


「よし、ナンバー0222、外の亜人族を殺しちゃって」

「うあおお?」


 拘束を解かれ、ナンバリングで呼ばれた怪物は首を傾げながら、のそのそと研究施設の外へ出ていった。


「なんだ、思ったよりコントロール出来てるじゃないか」

「鎮静剤を打って、その上麻薬ワントで主従関係も作り、洗脳教育も施してやっと解放後の数分言う事を聞くだけよ。多分、ターゲットの亜人族を殺したら、次は見境なく暴れるから覚悟してた方がいいわよ」

「おい、それじゃ結局国中がパニックになるだろ」

「その時は体内の爆弾を爆発させて殺すわよ。強華ちゃんの体内機械化による副産物ね。あー、本当はまだまだ調べたい事があったのに、ルークのせいよ。勿体無いなぁ」


 ステニーは心底公開しているようにルークをジト目で睨む。

 ホイホイの底に眠っていた怪物たちが目を覚ます。


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