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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第四章 人を喰らえ、人共よ
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可能を可能にすること

「!」


 が、その未来は直ぐに書き換わる。


「……あの女、邪魔だな」


 ハレルはルークと並走するティグレに目をやる。


「もう、ハレルは人が良すぎるわよ。あの女だってルークってやつの手下なんでしょ。なら、あいつごと斬っちゃえばいいじゃない」

「いや、出来る事ならそれは避けたい。利用されているだけかもしれない。頭が変われば民は驚くほどに変わっていくんだ。アメもそれは知っているだろ?」

「もうっ! 頑固者!」


 ハレルの持つ宝刀『伝家』は間違いなく最強の剣の一つだ。

 頭に思い浮かべた想像を過去にするのだ。

 想像するだけで既に起こった事象に変えてしまう。

 そこに回避する術はない。


 しかし、それはあくまで可能を可能にしているだけだ。

 だから、不可能は不可能のままである。


 ハレルの今隠れている木の影からルークのいる位置まで数歩足を進ませ、ルークを斬りつける。それをハレルが想像したとしよう。

 これは可能だ。

 だから、あとは『伝家』に触れ、その想像を伝えればルークの身体は斬られるだろう。触れてから過去になるまでの過程は存在しない。

 だから、避ける暇もなくルークの身体は斬れる。


 何度も言うようだが、これは可能を可能にしているだけなのだ。


 ではもしルークとハレルの間に絶対に斬れない特別製の壁があったらどうなるだろう?

 これは斬ることが不可能なので斬れない。


 ではルークの現在位置をハレルが知らなかったらどうなるだろう?

 これもまた刃が届く想像が出来ないので斬ることは出来ない。


 では目視できる位置に入るがルーク、ハレル間に距離があり、ルークがあと数歩歩けば

絶対に斬れない壁のある位置にルークが辿り着くとしたらどうなるだろう?

 

 そう、これもまた斬れないのだ。


 ハレルが自身の移動速度とルークの移動速度、壁までの距離が斬る前に壁に辿り着ける現実がそこにあればハレルは斬れない。

 

 ハレルが『伝家』で想像し斬っている時間は過去になっているだけで確かに存在はしているのだ。だから、斬るまでにかかった時間に相手が逃げていればその分だけ移動した先で斬るイメージが必要になるし、斬りかかる対象と自分との間に斬りたくないものが挟まれていれば斬れない(正確には斬り辛い)


 今回はそのクッションの役目をティグレがしているので、ルークへの攻撃が中途半端なものになっている。


「最初にあった時に変な説教しないで殺しておけばこんな面倒なことしなくて済むのにね」

「うるさいぞ、あれは今までの行いを悔い苦しめて殺す必要があるから絶対に外せない。何の感慨もなく殺してやってはあいつらゴミどもには温過ぎる」

「はいはい、それは何度も聞いているけどね」


 愚者には痛みを。

 それがハレルのポリシーだった。

 だから、彼がこれまで斬ってきた愚かな独裁者たちも一撃で死んだ者はいない。ハレルが一撃で殺すのは相手への礼儀なのだ。

 それを守る必要のないと判断した愚物は何度か痛めつけて恐怖の底に落としてから殺す。


(それは果たして必要な正義かしら)


 ハレルと幼い頃から一緒だった小人のアメが唯一ハレルに対して疑念を持つ点があるとすればこれだった。


「……きっと、ハレルは真面目過ぎるのね」

「俺はいつだって真面目だ」


 ハレルは狙い定めながらアメの言葉に真面目な返事を返す。


 ティグレとルークの距離が開いて絶好の攻撃タイミングになった。

 その時、二人が消えた。


「⁉」

「下よ‼」

「ちっ、隠し通路か‼ 追うぞ‼」


 近付いていくと、そこには深く黒い穴が開いていた。

 決戦の地はルークのホームへと移っていく。


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