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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第四章 人を喰らえ、人共よ
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活用方法

 ウーノたちはタイミングを図り、これまでの迂回をやめ、一直線にホイホイに向かう。前線の兵数は敵味方合わせて二万。ウーノの影の細分化はマックスで一万(正確には九千八百二)


「くくくく、これだけの数は流石に初めて試したよ。お陰で私の影はなくなってしまったよ」

「なるべく敵の兵士に張り付くといいですね」

「そればっかりは完全ランダムだからね。悪いが味方にもそれ相応の被害を覚悟してもらわないとね」

「これで敵の戦力をどの程度削れますかね?」

「ふふふふ、そこはあまり考えない方がいい」

「?」


 ウーノの護衛の兵士の一人が首を傾げる。




―平原地帯、最前線


 戦場は阿鼻叫喚。

 それも先ほどまでの敵味方の単純な憎悪の戦闘とは違う。


「くそ! なんだ、これは‼」「誰かのスキルか?」「メアリカの方にも同じ現象が起きてるぞ‼」「駄目だ! 謎の兵士に触れられるのは一人だけみたいだ!」「影の実体化か⁉」


 混乱、混沌。

 攻撃の方向性が乱れ狂う。


 それはまさにウーノの計算通り。


 バルゴスは己の影と向き合う。

実体化したそれは黒く表情が見えない。


「ふーっ」

「おっ、やっと落ち着いてきたか?」

「それなりには」


 バレッタは羨ましそうにバルゴスを見つめる。


「全く、私が戦いたかったぜ」

「これ、どうやら本人だけにしか戦えないみたいですよ。襲ってくるのも本人だけみたいですし」

「まぁ、危険なスキルや戦闘力の高い奴はその戦闘の余波で被害が出てるみたいだけどな」

「だから、自分も速くけりを付けないと」

「出来るかい」


 バレッタは、くくくと含んだ笑みを浮かべる。

 バルゴスは自分の影に真っ直ぐと剣を向ける。それをパーツのない顔で影バルゴスが見つめる。


―ズズズズッ


 影バルゴスの額からは一本の獣の角が宿る。身体の大きさが一回り大きくなる。


「……混濁化まで使えるのか」


 ルークの手により改造されたバルゴスの身体には獣族の血が混じっている。そのポテンシャルが表へ濃く現れる現象を混濁化という。

 ウーノのスキルでの実体化した影は一部の狂いもなく本人と同じポテンシャルを発揮する。それはまさに自分との闘い。強敵であることは間違いないだろう。


「だが、」


 面白そうに高みの見物を決め込んでいるバレッタの口が開く。


「少し距離を置いてみれば、端から端まで癖の分かりきった相手だ。そんな奴相手に殺されるような奴は所詮二流。手の内は分かってんだ、中位の兵士たちだって簡単には致命傷は喰らわないだろう」


 バルゴス本人は混濁化をしない。

 それのメリット、デメリットは把握している。今、ここで使うべきではないと判断したのだろう。

 バルゴスは影バルゴスに向かって駆けた。


「ましてや上位クラスの兵士が間違っても負けるはずはないわな」


 バレッタの独り言の間に、バルゴスの剣が影バルゴスを引き裂く。


「自分のスキルは加速と減速。しかし、混濁化し身体能力の上がった身体にはそのスキルは重い負荷となる。よって、自分はそこに無意識レベルだが加速と減速の最も身体に負荷の少ない規則性を持たせ、スキルを発動する必要が出てくる」


 つまり本物のバルゴスにとって混濁化した影バルゴスのスキル発動、ひいては動きの先が読みやすくなってしまったのだ。

 バレッタは勝利を収めたバルゴスに労いに言葉は送らず、ただ無造作に近付いてくる。


「おい、お前のでっかい独り言私に聞こえちまってるけどいいのか?」

「いいですよ。その規則性は自分にしか分からないものですし」

「へぇ、余裕だな。なんなら、今ここで私とやるかい?」

「やりませんよ。まだ、前線の敵の掃討が殆ど片付いてないんですから」


 二人は戦場を見渡す。

 そこには多くの慌てふためく兵士たち。

 と、徐々に事態を呑みこみ対応する兵士たち。


「既に対応でき始めた者もいるみたいですね」

「あぁ、やや敵さん側の兵士の方が対応が早いところを見ると、このスキルは敵側のものみたいだな。敵味方関係なしとは参ったね」

「今まさに自分と戦おうとしていた人の発言とは思えませんね」


 バレッタはバルゴスのジト目を躱し、戦況を冷静に分析する。


「この状況に目的があったとすれば?」

「混乱ですかね」

「それも時間稼ぎの類だな。これで戦力を削れると思う程、敵も甘くないだろう」


 そう、ウーノのスキルは効果を考えれば強大だ。しかし、上位の相手には使い勝手の悪い見掛け倒しのスキル。

 使い道と来たら、時間稼ぎと味方の影に張り付けて安全の有無を確かめることくらいしか使い道はない。


「ダーリンか国そのものか、危ないかもな」


 


 時間は稼げている。

 混乱に乗じて最前線は抜けた。

 後は敵の内部だ。


「はははは、影が少しずつ戻って来たよ。上位の兵士たちにはこの程度の時間稼ぎが限界みたいだ。やっぱりいつみても見掛け倒しなスキルだ」


 ウーノは「まぁまぁまぁまぁ、全く使い道がないよりはいいけどね」と付け加える。

 危険地帯は抜けた。それだけの効果があっただけでも意味のあるスキルだろう。


「ウーノ様、もうじきホイホイが見えてきます」

「了解」


 こうしてウーノは敵の懐に入り込み、神崎、強華のメアリカ、アシロ連合の頭を仕留めるはずのコンビの追跡を完全に躱すことに成功したのだった。


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