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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第四章 人を喰らえ、人共よ
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塵ほどの可能性

 オセロムは忌々し気に唇を噛んだ。

 この戦闘で初めてオセロムは一本取られたと屈辱を感じた。


 次の瞬間にオセロムの振り下ろした拳が地面に貼り付けのままのゴローに振り落とされた。それで意識の殆どを持って行かれたゴローだが、その後もオセロムの執拗な連打は続く。

 助けに入ろうとする残りのニニにオセロムは目で牽制を入れる。

 近付けば次はお前の番だ。

 そう言外に語っていた。


 結局、オセロムの満足がいくまで攻撃を繰り返され、ゴローの生死は確認できない。だが、戦闘継続が困難なことは明らかだった。


「武器を失ったか。まぁ、大した支障はない。残り五人だ」


 オセロムはゆらりと身体を揺らすと、標的を定める。

 ワンコ、ニニ、ヨハネ、アレーニェ、リオンは四方に散っている。束になれば狙い撃ちされることが予想されるからだ。

 しかし、それは同時に連携の取りにくさにも繋がった。

 情報の伝達には声を荒げるしかない。ゴローの姿を間近で見て、自分なりの推測が経ち始めたヨハネもそれを伝えるにはこの方法しかなかった。


「聞くですです‼ 私ぃの推測ですですが、多分あってるですです‼」


 味方の四人と同時にオセロムも耳を傾けてしまう。

 それは次の標的を決定する行為に他ならない。


 ヨハネは後方へ走り出す。

 そして、同時に味方に叫ぶ。


「ゴローがやられたのは原因は恐らく二点ですです‼」


 当然、叫べば逃げる足の進みは遅くなる。


「効果範囲は恐らく可変するですです‼ 仮に半径百メートルなら前方だけに効果範囲を絞れば四百メートル近くなるようにですです‼」


 ヨハネ自身、ある程度の戦闘能力は備えているが、今残った面子の中では一枚劣る。ならば、自身の優れた洞察力をフルで味方に還元するしかない。


「二つ目は、接してること‼ ゴローとほぼ同ポジションにいた私ぃを地面に縫い付けられなかったのは、オセロムのスキル発動の瞬間、私ぃがジャンプしたからですです‼ これに気を付ければ効果範囲に入っても同時にやられることはないですです‼」


 オセロムの効果範囲にヨハネが入った。

 リオンが風の刃を飛ばし、ニニが長距離投擲をかますが、躱され不発に終わる。


 ヨハネは次の瞬間跳ねた。


「ほう、また躱したな」


 オセロムは感心する。

 今己の放ったスキルをヨハネは予知するように一度躱していせたのだ。


「だが、特別なスキルでもない限り、人は跳べば落ちる」


 そう、これで躱せるのはあくまで一度切り。

 地面に足の着くその瞬間を狙い撃ちオセロムがまたスキルを再度発動させれば終わるだけの話。

 ヨハネの身体が張り付くように地面に伏せられる。


「ぐっ!」


「これだけ俺のスキルを躱したものは全種族を含めてもお前が初めてだ」


 オセロムはゆっくりと腕を振り上げる。

(そして、お前の推測は全て当たっていた)

 そこには敵に対する初めての畏敬の念が籠もっている。


「……必ず、未来は私ぃたちのものですです。()()()()()()()。キングがきっと変えてくれる」


 ヨハネは唇の端を弱々しくあげ、けれど確かな強さを瞳に込めて笑った。

 ヨハネは身体の力を抜いた。

 目の前にはオセロムの凶悪な威力を持った拳が迫ってきている。

 死を覚悟したからではない。

 直前で()()()()()()()


「……ありがとうですです」


 ヨハネとオセロムの間に滑り込むように人影が現れる。


「リオン」


 一撃で腸が破裂しそうなほどの威力だった。

 その一撃は壁となり身を挺したリオンに降り注いだ。

 今にも倒れてしまいたい気持ちを押し殺し、オセロムの腕を身体全体でホールドする。


(こんなものをゴローは何発も)


 リオンはまだ役目を果たしていない。

 口内に広がる血の味を噛みしめ叫んだ。


「今よ‼‼‼」


 たかが、腕を抑えただけだろう。

 オセロムは顔に嘲笑を浮かべた。


 だが、次の瞬間、その腕がその場からピクリとも動かない事に気が付いた。


(こんな華奢な女にそんな力があるわけない。拘束系スキルか)

 

 直ぐにオセロムはスキルを発動させ、リオンを地面にねじ伏せた。

 リオンの身体がオセロムから引きはがさせる。

 しかし、それでもまだ拘束はとけない。

 

 その場に固定される様に。



【能力名】

 刹那(ジーク)の(・)接着(アルファ)

【LEVEL】

 LEVEL6

 ~次のLEVELまであと瞬き一つ、呼吸一息も許されない黙祷を三十八時間五分行う事(行う最小単位は一分から)

【スキル詳細】

 触れた物(有機物、無機物に関わらず)を短時間その場に固定することが出来る。

 その固定は空中であろうと、水中であろうと、その座標に固定される。

 固定時間は触れた自身の身体の面積と触れていた時間に比例する。

(例、人差し指で五秒間触れる→触れた箇所一秒固定。

   身体全体で五秒触れる→触れた箇所十秒固定)



 ここしかない。

 これがルークの当初の作戦。

 幼馴染に敢えて人類最強の攻撃を付けてこいと命じた。


 その後の総攻撃で仕留める。

 その筋書きの為に。


 ワンコ、ニニ、アレーニェが目を見開き、構えた。


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本作をお読みいただきありがとうございます。
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