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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第四章 人を喰らえ、人共よ
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最前線の戦い 後編

 しかし、それはもう何度見たか分からないように不思議な力により弾かれていく。両手を弾かれたことにより、上体の浮いたバレッタ、そこに容赦なく背後のキースがノーボスの背後から飛び上がり左右に振るう。

 それをすんでのところで躱すも次にノーボスの拳が振るわれる。

 だが、これも躱せる。バレッタ程の実力者ならばギリギリだが躱せる。

 通常ならば。


 バレッタの顔面がピンポイントでノーボスの拳へ引き寄せられる。


 片手斧の遠心力を上手く使い、そこに強制カウンター。

 それが双子の近接格闘最大の攻撃。


「バレッタ様‼」


 バルゴスの二度目の悲鳴に近い声が上がる。


「ぐっ⁉」


 鈍い悲鳴。

 悲鳴の主は地面に膝をつく。


「ノーボス⁉」


 キースが声を荒げる。

 それはバレッタの方ではなく。

 拳を放ったノーボスの方だった。


―くちゃくちゃ、ぺっ


 それは地面に吐き出された。


「三本か、全部いくつもりだったんだけどな」


 地面で無残に転がるのは僅かに原形を残した肉片。

 ノーボスの指だった。


「片手斧とはいえ、死角も生まれるし、仲間と二人で振れば使えない場所、攻撃タイミングもある。そうなればお前たちは直接自身の肉体で攻撃するしかないよなぁ」


 バレッタは少し左右に裂けた唇と回復スキルで直しながら不敵に笑う。


「次は膝を貰おうか」


 キースはバレッタを睨みつけたままノーボスに話し掛ける。


「大丈夫よ、すぐにこの戦いを終わらせて一度後方に下がりましょう。回復系スキルの優秀な人達が待機しているわ。ああ言ってっても硬い骨のある膝と斧の攻撃ならあいつは為す術もないわ」

「……いや、無理よ」

「なんで? 噛み砕けるのなんてせいぜい指が限界よ。それもあいつはその反動で自分の口まで裂けてる。斧や膝なら」

「普通ならあのスピードの中なら指も無理なはずよ。口に入れてもそのまま拳の勢いを止められずに致命傷を与えられたはず」

「まぁ、体験した姉か妹か知らねーが、そっちは気が付くわな」


 バレッタがにやりと笑う。



【能力名】

 握力()超過()

【LEVEL】

 LEVEL8

 ~次のLEVELまで、同程度以上の戦闘能力を有するものとの戦闘が八十回必要。

【スキル詳細】

 自身の握力を百倍する。

 発動時、倍化の威力調節は出来ない。

 持続時間なし、自身が意識を保ち握力を込めれるだけの余力がる限り発動可能。

 ただし、発動時は発動していない通常時より疲労が蓄積しやすい。



「やーっとタイミングが分かって来たぜ」


 バレッタは次の標的を見据え、キースに襲い掛かる。

 キースはノーボスを気に掛け、舌打ちをして臨戦態勢に入る。


(大丈夫、拳で攻撃しなければノーボスみたいに食い千切られるわけない)


 牽制に片手斧をバレッタの前に振るう。

 バレッタの前進の勢いは落ち、そのタイミングを狙いキースは地面を蹴った。膝蹴りがバレッタの顔面を抉りにかかる。

 顔面は人間の急所にして最もその後の行動を奪いやすい箇所。

 また、バレッタの恐ろしい握力から掴まれやすい身体の中心は狙いにくいと言う理由もあった。


(決まった)


 回避しようとしたバレッタの顔面はキースの膝に引き込まれ、強制カウンターが発動する。


「駄目、キース」


 呻くようなノーボスの声は届かなかった。


「ぐああああああああああ‼‼‼」


 女性の声とは思えないほどの野太い声が上がった。キースの足は膝から下が完全に食い破られており、出血は酷く、その場にのたうち回っている。

敵であるはずのバルゴスまでその光景には目を背けた。


 バレッタがガシガシと歯を鳴らす。


「私のこと少しは調べてたみたいだな。手に警戒してたのはよーく分かったぜ。だけどな、私のスキルで強化した握る力ってのは何も手だけとは限らないだろ?」


 バレッタは右手の親指とその他の指を分け、食べ物でも食べるようにパクパクと開閉させる。

 そう、人間の身体で握る力、握力の最も強い箇所。

 それは顎を要する口。

 これは咬合力と呼ばれ、厳密には握力とは違うし、歯の触れている面積も関係してくるが、それを無理やり握力ベースに直した時、バレッタの咬合力は約百五十キロ。神崎の世界なら一流のアスリートをも超える数値だ。それをスキルで百倍にしたとすれば、それこそ神崎の世界のワニをも超える化け物へと変貌する。


 タイミングを計り、何度も何度も攻撃を喰らい続けてきた。


「そろそろ小腹を満たしたいとこだぜ」


 バレッタは獰猛に笑う。




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