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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第四章 人を喰らえ、人共よ
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最前線の戦い 中編

 剣が地面を這う。

 それはキースの股を滑りぬけ、彼女の右足を太ももから切り落とす角度だった。


「頑張ったわね。でも、褒めては上げない」


 ずしんと腕の重くなるのを感じた。

 それはバルゴスの持つ剣が地面に沈んだためだった。

 あと少し、あと少しだったはずだ。

 もう一センチ剣が前へ進めば彼女の足は切り落とされていた。


(まるで、見えない壁でもあるかのようだ)


 キースは足を振り上げた。

 それはバルゴスが切り落とすはずだった右足だ。

 徐々に加速していき、それはバルゴスの顔面へ迫る。


(避けないと)


 バルゴスは身体を回転させ、回避を試みる。

 が、バルゴスの身体は本人の意思とは裏腹にキースの右足へ距離を詰める。


(吸い込まれる!)


 バルゴスは回避に失敗し、もろにキースの一撃を喰らってしまう。足の甲がバルゴスの顔面にめり込み、その衝撃で十数メートル転がされる。


(いくらなんでもただの人間の威力じゃない)


 獣族の血により肉体の強度が高められているバルゴスだが、その彼の肉体をもってしてもずしりと深いところまでダメージが浸透した。

 よろよろと立ち上がるバルゴスを見て、二人は顔を合わせる。


「随分頑丈みたいね、キース」

「えぇ、私も私の一撃を耐えられるなんて思っていなかったからびっくりしたわ、ノーボス」


 バルゴスは切り落とされた腕を自前の回復スキルで修復しているバレッタに声を掛けた。


「まだ、戦えそうですか?」

「当たり前だろ。ここからが楽しくなる時間だ」


 先ほどまでいたバレッタの精鋭部隊は本当に他への支援へ回ったようで、そこには四人だけ、二対二の構造だけが残されていた。


「相手のスキルはいたってシンプルだ」

「えぇ、詳細は分かりませんが、弾く力、引き寄せる力でしょうか」

「そして、驚くことに二人とも似たようなスキルを持っている」

「同じスキルはこの世に二つとしてない。自分はそう教わってきましたが」

「私もそう思ってたぜ」


 だけれど、目の前には存在している。

 この世でもっとも確かな証明だ。


「バレッタ様、遠距離での戦闘スタイルは持ち合わせていますか?」

「まさか、この手で握り潰さないと命に失礼だろ」

「そうですか」


 バルゴスは表情を変えない。

 しかし、明らかに接近戦が不利な相手だ。


「いつまでも待たないわよ」


 ノーボスが動いた。

 彼女の背後で陰のようにキースもついてくる。

 バルゴスは咄嗟に距離を取った。

 しかし、バレッタは違った。


「バレッタ様⁉」


 現状、敵の手の内が分からず、こちらの手札が通用していない。百人が百人距離を取って戦うか、逃げるを選択するべき場面だ。

 しかし、彼女は百一人目だった。

 左右に大きく手を広げ、自分から双子の方へ迫っていく。


 バレッタの両手がノーボスに降りかかる。


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