会議と同じ時にて滅んだ国あり
―アシロの植民地、コアリン
人口千人弱の華中配下の小さな国だ。
華中側からの高い税収に対応すべく国民から搾り取るだけ搾り取り、最後は家族すらも奪い、奴隷として金に換えることで有名な国だった。
しかし、その国はたった三人の亜人族の手によってまもなく亡びる。
一人の男がコアリンの王の首に赤黒く光る刀を突きつける。
「……最後に言いたいことはないか?」
「命だけは! 命だけはお助け下さい‼」
「お決まり過ぎて本当につまらないな。お前は何度そう助けを求めた者たちを殺してきたんだ?」
「あれはアシロの税に対応しきれず、仕方なく」
「表向きはな。だが、調べたところこの国の税収なら現在の半分以下でもアシロへの税を納め、国を運営することは出来たんじゃないか?」
「そっ、それは―」
「その通りよ。こいつ、自分だけ私腹を肥やして楽しんでたのよ」
コアリンの王が弁明を述べようとしたところに口を挟んだのは刀を持った男の肩に乗る小人のように小さな女の子だった。
「アメ、出てきては駄目だろ」
「ハレルはいつも慎重すぎるのよ。ここまで来ればもう終わったも同然じゃない」
「しかしな―」
二人が会話に夢中になっている隙を伺いコアリンの王は地面を強く蹴り、逃げ出す為に部屋の出口に向かった。
醜く肥え、全身から体液を撒き散らすその姿にハレルは目を閉じた。
「……お前はもう斬った」
ハレルは短く言い捨てると、コアリンの王の身体は真っ二つに裂け、己の血を地面に吸わせる。言葉を発する暇もなく絶命する。
アメと呼ばれた小さな亜人はハレルの腰に収められた二本の刀を指差す。
「相変わらず恐ろしい刀ね、それ」
「『伝家』は過去を斬る刀だ」
ハレルはそういうと自慢げに『伝家』と呼んだ刀をスッと鞘から引き抜いた。それは赤黒い光を放ちどこか不気味な存在感を放つ。ハレルは刀を持つ手とは反対の手でもう一本の腰に差した刀を撫でた。
「外のアラシはどうしている?」
「もう暴れ疲れちゃったみたい。城の警備兵はあらかた鎮圧したわよ」
「そうか」
ハレルと呼ばれた男は刀を鞘にしまった。
「次の王はこの国を豊かにするといいな」
二人は王室を出ようと、王の死体の転がる出口へ歩いた。
「ん?」
そこで何かを発見した。
ハレルは再び刀を抜く。
「……誰だ?」
ガタッと物陰から音がした。
ハレルとアメは慎重にその音のする方へ近づいた。
備え付けられたクローゼットを開くと、そこに隠れていたものの姿があった。
ハレルは僅かな見覚えを頭の中で一致まで持って行き口にした。
「……お前は」
そこには、ルークにも関係のある人間がいた。




