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ケーキを喰らえ オマケ
パン屋を出た後、ヨハネは人通りの少ない道を選び、城に戻っていた。
「レッド~、レッドはいるですです?」
ヨハネは口だけを動かし、自分一人が歩く路地で独り言のように声を発した。
「はい、教皇。ここに」
その声に当たり前のように反応する者がいた。
そこにいたのは、ヨハネが教皇として作り上げたインチキ宗教団体『神の溝』の信者の一人だった。しかし、このレッドと呼ばれた信者はただの教徒の一人ではない。もっともヨハネの近くで使えていた『色付き』と呼ばれる幹部の一人だ。いや、全ては過去の話だが。
「もう教皇じゃないですです。いや、どっちでもいいですです。今のパン屋ローテーションで一人ずつぐらいでいいんで、経過観察お願いですです」
「はい、わかりました」
そこに何の疑問も質問も挟まず、レッドと呼ばれた男はまた暗闇に消えた。その様子を満足げに眺めたヨハネは今度こそ独り言を呟く。
「キング~、あなたの作る世界は素敵がいっぱいですです」
ヨハネは恍惚とした表情で城に帰っていった。




