リイラ初めてのお買い物の巻 3
「リイラ、急な仕事が入った。今日は連れていけないんだけど。どうしても買い物にも行かないといけない。お使いを頼んでいいか? 」
おとうが朝ご飯を食べながら言った。
たまに、物凄く急ぎの仕事とか、飲み屋さんで仕事の打ち合わせする時には連れて行ってもらえない。
お家でリンちゃん達とお留守番するか、リンちゃん達も忙しい時は竜園まで連れて行ってもらってフィーナさん達と遊んでもらうんだよ。
竜園は竜になってゴロゴロしてもいいから楽しいけど、あんまり連れて行ってもらえない。
「もう少ししたら、おとうと入れ違いでフィーナさんが来るから。フィーナさんにお留守番お願いして市場とお店に行ってお買い物してほしいんだ」
『何か買うの?リイラ一人?』
おとうは、お買い物用のリイラのも持てる小さなかごを準備して、おさいふに銅貨を三枚入れてくれた。
「一人だよ、いつも行ってる東通りのパン屋さんで夕ご飯用のパン一つ。野菜の露天でじゃがいもとにんじん一つずつ。お肉屋さんで猪豚の肉少し。おとうが紙に書いておいたから、お店に行ったらメモをお店の人に渡すんだよ。大丈夫か?」
リイラ急に不安になってきたよ。パン屋さんも全部知ってるけど一人で行った事ないよ。
「おとうがリイラがピンチな時わかる様に特別に竜石造っておいたから。もし何かあったら念話で助けてって言うんだよ。そうしたら竜のみんなに聞こえるから」
そう言っておとうは小さなひもの付いた袋に、見た事の無いほどピカピカの石を入れてリイラの首から下げてくれた。
「さて、リイラ。おとうは何を買ってきてと言ったでしょうか」
『えっとえっと、お肉でしょ。にんじんとたまねぎと、お菓子』
「・・・・・・違う」
それから、もう一回教えてもらって。メモをもらって。
頼んだお買い物が済んだら、リイラのお小遣いで好きなもの買っていいよって。
おぉ! おとうそんなの夢の中の事だと思っていたよ!!
ドキドキしちゃって、何度もお金の入っている袋とか、かごに入れたり出したりしていたらフィーナさんが来たんだよ。フィーナさんは竜園のお世話係の一番偉い人なんだけど、今日はもう一人お姉さんと小さな男の子が一緒だったの。
おとうが一瞬、ウッって言ってフィーナさんと女の人と少し話しをしていたけれど。小さく頷いて仕事の準備を始めたよ。
「ラギ様、リンシェルン様が一度竜園に来るようにと仰られておりました」
「分かりました、お世話になります。へいっ・・・いやヘレナさんも汚くて狭い家ですけど・・・本当にすみません」
「いいえ、こちらこそ無理を申してしまいました。こちらで子供達が帰るのを待たせてもらえる事になって感謝しています」
「母上、これは家なのか? ・・・ゴッ!!」
小さい男の子はレオンハルトだったの、何か言いかけてたけど、お母さんに頭ど突かれた。
おとうはそれからリンちゃんに呼ばれているからってすぐに家を出て、リイラとレオンとレオンのお母さんと3人でお茶を飲んでフィーナさんがリイラの頭に赤いスカーフを巻いてくれたの。レオンはお母さんに首に青いスカーフを巻かれていて嫌そうにしてる。
お買い物、一人で行くんだと思ってたんだけどね。レオンもお母さんに頼まれごとされたんだって。
だから一緒に行く事になっちゃった。でも一人より二人の方が楽しいよね。
「フィーナ、そろそろ時間のようであるから。子供達を出発させましょう」
レオンのお母さんは、お金持ちしか持ってなくて。おとうの欲しいものの一つの時計を小さなバックから出して少し見て、またしまった。じーっと見てたの悪かったかな、お母さんと目が合っちゃってにっこりしてもらったよ。リイラが大人になったらたくさん働いて、おとうに時計買ってあげるんだ。
「はい、ではお二人ともあまり遅くならずに頼まれた物を忘れずに買ってきてくださいませね」
「わかった、リイラ手をつないで行こう。ぼくは東通りを知らないので連れて行ってくれ」
『いいよー』
本当にドキドキしてきたよ、いつもおとうと行くお買い物を一人でするなんて。
後でリイラの好きな物も買っていいなんて。
失敗したらもう頼まれないかも知れないから、ガンバルゾー━━(`・д・´)ノ━━!!
まだまだ続くヨッ!!a(a`ε・´o)




