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ゲーム装備引き継いでSF世界でTS無双……できるのかな?  作者: 蒼井茜


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糞依頼

「34点」


「マスター、流石に辛辣です」


「回避精度が甘い、直線ビームの射撃なんか砲塔見て避けられる。タイミングずらされてたら落とされてた。ミサイルの対処も雑に弾ばらまいているだけ、もっとミサイルの進行方向を見極めろ。観測機を放置するな、一番最初に潰せ。攻撃の精度もダメ、どれもこれも避けてくださいってタイミングでしか撃ってない。唯一褒められるのは機動力だけだ」


「……機動力って、あれ普通死ぬよな」


「測定だと24Gって出てるぞ……」


「でもあの人さっき同じ……つーかもっと凄い動きしてたよな」


「やっぱり遺伝子いじった化物なんじゃ……」


 おい聞こえてるぞ研究馬鹿ども。

 何度でも言うが俺は生粋の人間だ。


「改善パターンを構築、再度出撃します」


「おう、いざという時は俺の代わりにパイロットやってもらうんだからな。少なくともメリナより動かせるようになれー」


「いや、アナさん。私にあの動きは無理ですよ?」


「でもアレ撃ち落とせるだろ?」


「それは……まぁ、はい。動きが直線的ですし、攻撃も回避も防御もわかりやすくて……」


「だろ? あれならちょっと慣れた奴なら軽くあしらえる」


 銀ランクなら余裕で対処できるだろうな。

 大砲を持っていても子供だ。

 何ならコロニー内で銃を携帯している奴の方がよっぽど怖い。


「でもそれで34点って、結構甘くないですか?」


「機動力だけは目を見張るものがあるんだよ。あの速度をフルに生かしたら流石に俺でも当てるのめんどい」


「めんどいって……具体的には?」


「宇宙海賊を1として、アロアニマを100とする。その場合マリアは30」


「うわ、微妙……」


「落とせるんだけど、ちょっと集中が必要だなくらいだ。単騎なら怖くないんだが集団になったら厄介なパターンともいえるが……アレを量産できるかって話になるか」


「ボディやそれらに必要な貴金属を取っ払って、脳に当たる回路だけを用意して速度重視の船に乗せる……とかですかね」


「で、インターネット経由の横の通信でタイムラグなしの連携か。聞けば聞くほど面倒くさいな」


「それでも面倒くさいだけなんですね……」


 そりゃまあ、今のマリアは直線にしか飛ばないからな。

 後ろでひそひそ……あれをめんどいですますのおかしいとか、隣の女も大概とか、ぷっつんしてるとか言ってる奴らは後でしばくとして、研究者からすれば興味のそそられる話だったのだろう。

 俺達の会話に耳を傾けつつ、陰口をたたいている。

 物理的に叩いてやるから覚悟しろよ。


「そうさなぁ……100機くらいに囲まれたら流石にホワイトロマノフのシールドも、ルディの装甲もやばいと思う」


「まぁそうですね。速度重視となれば想い砲門は積めませんし、ミサイルは反物質砲の前じゃ無意味ですけど飽和攻撃は意味ありますからね」


「だから正面に反物質砲ぶっぱして、その穴から抜けて反転。もう一回反物質砲ぶっぱからの回避パターン読んで置きミサイルだな」


「あの、もうちょっとわかりやすく言ってもらえると……」


「ミサイル発射するまでもなく進路上に信管だけ起動したミサイル置いておけば勝手にぶつかって爆発する。脱出ついでに仕掛けられる罠だ」


「……今まで力でごり押してたように見えましたが、そんな器用なこともできるんですね」


「こんなん基礎中の基礎だ。というか力押しでどうにでもなる相手しかいなかったからな。流石にアロアニマの軍勢とか出てきたら余程のことがない限り逃げに徹するぞ」


 あれはもう単体で面倒くさい。

 集団になったら危機に変わる。

 正直そんな集団相手に真っ向勝負とかごめん被るわ。

 嫌がらせしながら逃げに徹して、追うだけ被害が増えると思わせるのが一番だろう。


「そんな金ランクのアナスタシアに仕事だ」


「げっ、所長……」


 養成所所長こと、この惑星ベルセルクでそれなりに偉い立場のおっさんがやってきた。

 意味深なこと言ってるけど、これ絶対厄介ごと案件だよな……。


「この度新装備の受領が完了したアナスタシアへの指名以来だ」


「……拒否権は?」


「連合のお偉いさんをダース単位で敵に回してもいいなら」


 横でメリナが肘で突いてくる。

 わかってる、これ逃げたらあかん案件だって。

 仮に他の国に行ったところで追いかけてくるレベルの案件だ。


「ちなみに帝国だの海賊国家だのも連名で依頼しているようなもんだからな。逃げるにしても亡命先の国がない。つまり新規開拓でも頑張るしかないわけだ」


「ガッデム!」


 何もない宇宙を無補給で突き進めというのか糞が!

 いや、まぁ依頼受ければいいんだろうけどさ、普段バチバチに敵対視してる国家が連名でとか嫌な予感しかしねえよ。


「えーと……宇宙怪獣退治か……うげ」


 データを見て露骨に顔が引きつったのがわかる。

 そこに書かれていた情報、そして添付された映像データ。

 それら全てが嫌な記憶を呼び覚ましてきた。


「アトランティクス……」


「そうだ。相手は賞金首アトランティクスとコバンザメだ」


 全長250㎞にも及ぶ巨体のくじらといえばいいか。

 そいつが全身にホワイトロマノフのシールドより硬く、鮫の歯より簡単に生え変わる鱗を持っている。

 更に鱗の隙間から並大抵の中型艦ならシールド事消失する威力のビームぶっ放してくる輩だ。


「これを倒せと……?」


「いや、今回は各種国家の近くを通るルートらしくてな。最低目標はこいつのルートを変える事だ。一応各国家から反物質ミサイルを積んだ戦艦がかなりの数動員される」


「……無理、じゃねえかなぁ」


「逃げられる依頼ばかりじゃなし、それに報酬もいいし前金付きだぞ」


「地獄に金は持っていけねえよ……」

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― 新着の感想 ―
水晶生命体じゃないだけまだマシだったとか(笑) 妨害電波ジャミングでピン打ちしたら宇宙鯨が悶絶したりしないのかな?
>全長250㎞にも及ぶ巨体のくじらといえばいいか 暴食「これくらいは簡単に食える」  とか言っても、不思議じゃないな。うん。
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