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73 新しい門出と賢者の石?

 私が驚きのあまり固まっていると、いや固まっていたのはコタロウの声が聞こえたので解けた。

 

「ふむ、女性が口に含んだ水を掛けて貰うのは初めてでござるか、中々癖になりそうでござるな」


 嫌味ではなく、純粋にいうので気持ちが悪い。


「はっ! ご、ごめん。直ぐに洗ってきて」

「拙者このままでも――」

「洗ってっきて!」

「解かったでござる」


 コタロウが席から経つ。

 私は直ぐにその残った石ころを手に取った。

 賢者の石って、本物!? 力を込めて触るとゴムのような弾力がある。でもテーブルに打つと硬い石を打ちつける音が聞こえてきた。


「にゃはー賢者の石ってなーに?」

「私が知っている中での錬金術で作れる幻のアイテム。恐らくは……誰も知らないアイテムよ」

「むむむ、誰も知らないのに、なんでエルンちゃんは知ってるにゃ?」

「そこはアレ………………風の噂で聞いたのよ」


 転生前のゲームの中でとは言えない。

 でも、私もゲームをプレイして、それを思った事はある。

 誰も見た事無いのに課題に出すなよと。


 そもそも、賢者の石だって誰も作った事がないのにレシピがあるんだって話。

 顔を洗ったコタロウが戻ってきた、手には追加の酒瓶を持っている。


「一応聞くけど、この酒代は?」

「もちろんエルン殿の支払いでござる。いやであれば返してくるでござるよ」

「いる」


 私とアマンダのコップへ酒を注ぐと、ちゃっかり自分のコップにも手尺でいれている。

 謎の乾杯が始まり、私はコタロウの顔と石を見比べて聞いてみた。


「で、これが本物という証拠は? 何所で手に入れたの? なんで賢者の石って知ってるの?」

「ちっちっち、それもこれも拙者を暫く旅に連れてってくれるがどうがでござる」

「あっ」


 私が見ていた賢者の石を掴むと、大事そうにズボンの中に入れた。

 って、何所にいれるのよ!


「パンツの中でござる! 拙者のパンツの中は小さいポケットがあって、これで拙者から奪う事は出来ないでござるね」

「物理的にも精神的にも汚い! ってか、そんなポケットあるならそこにお金閉まっときなさいよ! 取れないじゃない」

「にゃは、取ろうか?」

「「え?」」


 アマンダの言葉に、私とコタロウのやり取りが止まった。

 私は静に頷くと、アマンダはちゅうちょ無くコタロウのズボンへと手を入れた。


「あひ、あふ……あっ…………それは違うでござっあっ」

「にゃっ」


 賢者の石を、はい取ったにゃと、テーブルの上へとコロンと転がす。

 変な湯気がでていそうで、絶対に触りたくない。


「何ていうか……」

「にゃは、冒険してると魔物の体内などに手突っ込んだりするしー、場合によっては急所も掴むにゃ」


 魔物と人間は違う。

 私だって魚の内臓ぐらいは触れるけど、それだって人のは無理。


 アマンダは酒で手を洗ってハンカチで拭いていた。なるほど……除菌すればまぁなんとか?

 私も見習って賢者の石へと酒をかけた。焼けた石のように酒が蒸発していく。


「面白い水分がどんどん蒸発していく……。熱くないのよね」


 汚いのでハンカチで包んで持つ事にした。うん熱さは感じない。

 後でこのハンカチは捨てて、賢者の石は、よーく石けんで洗おう。


「で、何所で手に入れたのよ」


 腰を落とし、変な姿勢なコタロウへと尋ねる。

 なんでその姿勢なのかは、聞かないで置こう。

 もう、お婿に行けないでござるとか、言っているけど、その前に相手が居ないでしょという言葉は飲み込んだ。


「酷いでござる……」

「わかってるわよ、旅について行くぐらい了承するわ、でも用事終わったらこっちに帰ってくるわよ」

「本当でござるかっ!?」

「それに、仮に私達に変な気を起したら、す巻きにして埋めるか、海に流すかするわよ」

「それはもちろんでござる、黙ってやるのがダメでござるよね」

「まぁそうね」

「では、一声聞いてから行動するでござる」

「……………………」



 本当にわかってるのかしら。

 ともあれ、コタロウは入手した時の事を教えようとしてくれた。


 めっちゃ早口で教えてくれるけど、要約すると以下の通りだ。


 今から九年近く前に、行き倒れの錬金術師を助けた。その錬金術師はお金を持っていなく、近くの飯屋に連れて行ったコタロウは、その代金のお礼に石を貰ったと。

 

 最初は凄い物と喜んでいたコタロウであるが、調べても調べても使い方がわからない。

 それとなく文献も調べたらしいが、それにも載っていない。

 でも、変わった石なのは間違いないので今回の旅に持って来たらしい。

 あわよくばガーランドの何所かで売れそうなら売ろうと思っていたと、ござる口調で教えてくれた。


「その人は他には?」

「特に何もでござる、これさえあれば何でも出来るよ! と、教えて貰ったでござるが使い方を教わらなかった、いや拙者には使えなかったでござる、どうやって使うでござるか?」


 私が持っている賢者の石を指差し質問をしてくる。といわれても私にも使い方は知らない。

 効果の定番で言えば、不老不死や石から金を作るとかよね、まさか本当の事いう事も出来ないしなぁ。

 もちろん本物であれば、でも、先ほどまで黒かった石は今は半透明になってきている。

 偽者でも、価値はありそう。


「運よ、運気を上げるお守り」

「それにしては……」

「私達に会えた、船で無賃なのに助かった。いやー運がいいわね」



 私の言葉に、そうでござるか……? と首をかしげているが、そうよ! と言い切ったら納得した。

 それはそれでいいのか、コタロウよ。まぁ私的には儲けたからいいか。


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] アマンダハンド! 汚物も平気で握り潰すぞ! 男の急所も一撃だ!! ((((;゜Д゜)))))))ヒィィィ [一言] 酒で消毒したら黒かった賢者の石が半透明に。 ……コタロウの股間の汚れでは…
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