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24 錬金術師とは!

 現在馬車の中には、表情の少ない男。

 

 呆れ顔の男。

 

 困り顔の少女が相席だ。


 困り顔の少女が申し訳なさそうな顔で私へと聞いてくる。


「あの、良かったのでしょうか……」

「別にいいわよね? カイン」


 馬車の持ち主に確認してないのを思い出した。


「…………かまわない」

「ほらね、どうせ同じ家にいくのだもの気にしたらだめよナナ」

「はぁ」

「少しは気にしたほうがいいと思うぞ」


 そう、先ほど見つけたのはナナとディーオ。

 二人で歩いているのを見つけた私は馬車を停めさせた。

 教師と生徒が歩いている、しかも、生徒のほうは普段よりオシャレをしているのだ。

 

 思わず、ディーオじゃないの! と声をかけると、先生ぐらいつけろと何時もの文句を言われた。

 ナナが嬉しそうに私に手を振ってきた。


 そこからは、なんでも二人ともエレファントの家に招待されたので向かう所だというので、乗りなさいよと馬車へと招き入れたのだ。


「で、ディーオ……先生」

「なんだ?」

「前に錬金術師は誰にでもなれるって言っていたわよね。

 でも、図書館の本調べても過去に凄い錬金術師が居たような感じしないんだけど」

「だろうな」

「だろうなって……」

「本を書いたのは、初歩的な事をした人物だろう、それぐらい浅い分野だ。

 そういう人間は自分で道具を作らないからな。

 そして道具を作る人間は、むやみやたらにレシピを乗せないし、上級な物を作るには、その才能がいる」 

「は?」


 例えばだと、ディーオは話す。

 その話に私もナナも、錬金術師を目指していないカインさえも静かに聞いている。


 ディーオはポケットから小瓶をだす。

 中にはキラキラした砂みたいのが入っていた。


「これは、シルフの羽を粉末にしたものだ。

 製造方法はいたって簡単であり、これを塗った金属は重さは半分ほど軽くなる」

「すごいじゃない!」

「だろう、天才であるボクだから――――っと、話がそれたな。

 しかし量産は無理だ」

「え? なんで? レシピあるんでしょ?」

「ボク以外が作っても…………レシピ通り作っても失敗するのさ。これが才能といわれる所だ。逆に石けんなどは誰が作っても同じだ。

 なので全員が作れないものを本にしてもしょうがないだろ」

「なるほど……」


 だからノエは錬金術師の本がどれも初級の事しか書いてないのを知っていたのね。

 ゲームだったらそんな事なかったんだけどなぁ。


 あっでも、過去に錬金術師が数人しかいないって設定だったわよね。

 前作ミーナの錬金術師から八年たっても次代の錬金術師が出ないわけだ。

 そのミーナだってこの世界では錬金術師と名乗らずに冒険者になったようだし。


「じゃぁ、大儲けできないじゃないのっ!」

「…………するつもりだったのか……?」

「おっと、例えばの話よ、例えば」


 思わず心の声が出た。

 ディーオが細目で私を見ているが、私もこれ以上は何も言わない。


「そのてん、ナナ君の作るアイテムは他の者が作った物よりも性能がいい。

 体内にある魔力を道具に伝えているんだろう。

 図鑑にレシピは載せれない物もあるかもしれないが、ゆくゆくは名のある錬金術師になれるだろう」

「べ、別に特別な事はしてませんよっ」


 ナナは顔を赤くして否定する。


「エルン君、これが質問の答えだ。

 同じ物でも作り手によって効果も倍増する。初歩的な質問だな」

「ええどうも、初歩的な事もわからなくてすみませんねー!」

「全くだ」


 コイツは……優しさってのが無いのかしらね?

 とは言え魔力かぁ。

 私は自分の手を見る、われながら綺麗な手だ。


「なんだ、生命線でも見ているのか?」

「ディーオ先生っ! それはあんまりかと……」

「ええそうね、長生き出きるように確認してるのよっ」


 思わず舌を出す。


「…………出きるといいな」


 いつに無く、ディーオの返事が真面目な声だった。


「え……?」


 私が驚いて聞き返すともう元の感じに戻っていた。


「さて、無駄話をしている間に着いた見たいだぞ」

「あら」


 馬車から見えるのは門と、その奥には程よい大きさの家がある。

 私の家よりは大きい。

 カインが先に降りると私達もそれに続いた。



 ◇◇◇



 長身の女性が私達を出迎えてくれた。

 年齢は三十代、いや二十代にもみえる耳が隠れる程度の銀髪の女性。

 エレファントさんだ。

 相変わらず綺麗だなぁ……ゲームで見たときより若く見える。

 じゃなくて、挨拶をしないと。


「エレファント様、今回はお招き頂きありがとうございます。

 今日も銀髪が綺麗ですね」


 どうよ。

 貴族の挨拶ぐらい私にだって出きる。


「はじめましてエルン・カリュラーヌさん。

 貴女と会うのは初めてと思いますけど、どこかでお会いしましたかしら?」

「「…………」」


 初対面だったああああああああ!


「その、リュートからこういう人だって聞いていた物で、大変仲良くさせてもらってます」

「そう、でもそのリュートと婚約破棄したのよね」

「「…………」」


 私とエレファントさんの間に微妙な間が何度も起きる。

 ナナが空気を読んだのか挨拶をいれてきた。


「あ、あのっ! ナナと申します。今回はあの呼んで、じゃなくて誘い。ええっと……」


 ナイス!

 ディーオ達もその後に挨拶をする。


「錬金術師のディーオ。このたびは生徒と共に招きありがとうございます」

「…………カインだ、呼ばれたから来た」


 先ほどから居るはずなのに、この場に居ない男を捜す。

 エレファントさんが私を見たので、聞いてみた。


「所で、肝心のリュートは?」

「あらあら、エルンさんをお迎えに行ったんですけどね」


 うおっと、また地雷を踏んだようなきがする。


「そ、そうなの?」

「ええ、では門前で長話も悪いですし、どうぞこちらに」


 全員から白い目を向けられている気がするけど、私はエレファントさんの後ろに続いて屋敷へと入った。

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