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185 季節はバレンタイン

「暇ね」


 私が応接室で呟くと、ノエがホットココアを黙って出してくれる。



「ありがとう、ガルドは?」

「ガルドさんでしたら、本日はお城の稽古に……あの、馬車を出して呼びましょうか?」

「いや、別に用は無いからいいわよ」



 惚れ薬騒動から既に数週間。

 その間に学園の昇級テストも合格したし、やる事も特に無い。

 どこぞのコタロウが家に押しかけて惚れ薬を作って欲しいと言われたけど、材料がないと伝えた。

 今頃は探しに行ってるかもしれない。



「あれ? ナナじゃないの。家に用事なら構わず入れて」



 窓から見える通路にはナナが歩いてくるのが見える。

 ノエが急いで、玄関に行ってきます。と、いうので見送ると、やっぱりナナが家へと入ってきた。


 応接室に入ってくると直ぐに挨拶をしてくる。



「お久しぶりですエルンさん! 先日は高そうな料理をありがとうございます!」

「やーねー今更別にいいわよ。で? 何か緊急の用事だった?」

「はい! コレを渡しに来ました」



 ナナは小さい箱をテーブルに置くと、私のほうへ押してくる。

 なんだろ?

 箱を持つと意外に軽い。



「開けていい?」

「はいっ!」



 中を開けると、黒い球体が二つ入っている。

 いくらなんでも、これを見て『わー犬の散歩である奴ね!』とボケるほど私は愚かじゃない。

 チョコレートだ。



「チョコよね?」

「はいっ! チョコです。チョコ! チョコレートです!」



 今日は二月十日 この時期にチョコといれば、バレンタインデーだ。

 でも、この世界。

 別に誰かの誕生日とかではない。

 あと、誰かに怒られるかと思ったのか十四日ではなく十日である。



「ふっふっふっふ」

「あのエルンさん?」

「ああ、ごめんごめん。で」

「ミーナさんからこの時期は好きな人にチョコレートを贈る日だって聞きまして!」

「でもいいの私なにかにチョコ贈って、あと女性同士は友チョコよ。好きな人にあげるのではないわよ」



 ナナは少し肩を落としながら言って来る。



「友チョコですか……確か言ってました。あと、その異性ですよね出会いが無いというか」



 ごめん、リュート!

 やっぱり歴史介入してフラグは中々立たないみたい。

 二年目はリュートとナナをくっつけるように頑張るわ。



「はっ! もしかしてノエが入れてくれたココアって!」



 私が廊下へと顔を向けると、丁度ノエが通りかかった。

 話を聞いていたのだろう、ナナへとココアを持ってきて、ちいさくバレンタインデーですからと言ってきた。



「ほら! ノエさんだってバレンタインデーは知っているんですよ」



 いや、私も知ってるって。

 なんだったら、チョコ送るのは経済をまわす為に後付した風習だってのも知ってるわよ。

 言わないけど。



「そうね、すっかりキニシテナカッタワ」

「あの……棒読みでしょうか?」

「気のせいね」

「あのーエルンさんは誰かにチョコを上げないんですか? …………ディーオ先生とかに」

「は? なんで私があんな男にチョコを上げないといけないのよ!

 そりゃアイツだってモテなくて可愛そうだなってあるわよ? でも私とディーオは別にねぇ。

 泊りがけで仕事したり助けてもらったりもしたわよ? でもお礼も、う。お礼は拒否されてるわね。

 でもよ? あの――――」

「あの、わ、わかりましたから。エルンさん興奮を」

「べ、別に興奮なんて――――ふう、落ち着きましょう」



 ココアを飲み深呼吸をする。

 いくらか気持ちも落ち着いてきた。



「上げたほうがいいかしら?」

「私としてはエルンさんには一生独身で居てもらいたいんですけど、最近思ったんです」

「何を?」



 一生独身とか不幸な未来はいやね。

 私だって相手が居れば結婚してもいいわよ。この世界だし貴族でしかも女となれば政略結婚だってあるのは知ってる。



「マギカさんを弟子にとって、将来はエルンさんの子供を弟子にとってもいいかなと、そして師匠と弟子の禁断の愛……師匠ボクの気持ちを……ああだめよわたしは彼方の師そんな瞳で――――」

「やだ! 子供とか気の早い――」



 ◇◇◇ 185.5 あるメイドの日記。


 ノエはお屋敷で働くメイド長さんです!

 ひとりしかメイドはいませんけど、いぜんエルンおじょうさまに他にメイドさんを雇わないんですか? と聞いた所。


 手が足りない? と聞いてきたので、足りてますと答えました。

 そうしたら、だらしない姿を見せるのは信頼できる相手、少ないほうがいいでしょ。と返されました。


 しんらいされている証拠です。ふんす!


 今日はバレンタインデーです。

 こっそり何時もの紅茶ではなくココアに変えてみました。

 残念ながらエルンおじょうさまは気づいてないです、でもいいんです。

 

 すぐに来客が来ました。


 ナナさんです! ナナさんは錬金術の凄い人で、エルンおじょうさまはノエとナナさんの名前をよく間違えます。

 似てないのに不思議です。


 ナナさんにもココアを持っていってった所、なんとエルンおじょうさまがココアの意味に気づいてくれました。

 うれしい事です。


 そういえば、今朝ガルドさんにもココアクッキーを渡した所、よろこんでいるようでした。

 いつもみけんにシワを寄せているので甘い物をあげたんです。


 所で錬金術しさんって、みなさん突然どこか遠くいくんでしょう。

 現実に戻すのにちゅうちょします。

次回は12日予定ですー



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― 新着の感想 ―
[一言] バレンタイン! モテない男にとって忌むべき呪われた日!! おお! バテレン人に災いあれ!! ハァハァ……ふぅ〜スッキリした。 ナナたんは変わらず百合ん百合んしてますねぇ。 それは悪役令嬢エル…
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