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179 ノリスさん曰く塔は崩れる物です

 二人がリバーシで遊んでいる部屋へと戻った。

 扉を開けると、あちこち散乱してる部屋の中央部分に両手に赤と青の炎? を出したリオと半透明なバリアを張ってるミーナがいた。

 二人とも私のほうへ向いて声をかけて来た。



「おっかえりー」

「おう、帰ったか」

「ただいま? 二人ともリバーシをしてたんじゃ?」



 どうみても実践です。本当にありがとうございました? なぞの突っ込みを心で呟き二人に聞いてみた。



「こいつがズルするからな」

「うわ、三回も負けたからって酷くない? ズルしたのはリオっちじゃん」

「おい、私がその後三回勝ったからって不正と決め付けるな」

「なるほど、それで結局物理で戦うって事に?」

「いや、一勝事に攻撃する側と防御する側を決めて殴るルールを追加した。今は私が勝ったからな」

「アタシは防いでいただけ」



 なんというか、二人とも脳みそあるのかしら。

 部屋の中はボロボロだし、これじゃ単眼メイドさんにまた怒られるんじゃ。



「別にリオの塔だから部外者の私がいう事でもないけど、単眼メイドさん怒るんじゃ……二人が大人しくゲームするための部屋よね?」

「「う」」

「ミーナ! 急いでそっち片付けろ」

「了解! リオっちそっちお願い」

「わかってる!」



 私の一言で二人ともせっせと片付けを始めた。

 片付けが終わった所で部屋の扉が開く、単眼メイドのノリスさんだ。

 単眼メイドさんは部屋をぐるっと見渡すとため息をだした。



「なんだ露骨にため息なんて」

「案外部屋が綺麗ですので。お二人の事ですから勝敗のたびに殴りあうと思ったのですが、これでは罰は出来そうもありません。人間のエルンさんの分のお茶菓子をお持ちしました」

「私達がそんな事スルワケナイダロー」

「そうだよ、リオっちと静かにしてたよ」



 小さい声で、そういう事にしておきましょうか。と、言うと私のお茶菓子を置いて部屋から出て行った。

 乾いた笑顔の二人は単眼メイドさんが帰ると、ほっと息を吐く。



「ふう、行ったか……で、目的の物は取れたのか?」

「うん、一応取れた。ミーナ確認してもらっていい?」



 私はハンカチに包んだキノコをミーナに渡すと、ミーナは両手で受け取り中身を確認する。鼻で匂いをかいだり、ランプに照らしたりと、普段の顔を違う職人の顔だ。


 普段は馬鹿っぽいのに、こういう顔するのよね。

 当然私なんか足元にも及ばない、はぁ嫉妬しそう。



「うん。ちょっとイカ臭いような気がするけどあってるよ。

 後はこれを焼いて粉末すればOK」



 キノコを返してくれた。



「いや、作り方ってか失敗したらこまるし一緒に作って欲しいんだけど」

「うんうん。でもエルンちゃんの家、小さい釜戸しかないからナナちゃんの所かなぁ」

「そうね……頼んでみるしかないか。って、思ったけどミーナの工房ってないの?」

「無いよ? 私もう錬金術師として活動してないし」

「は? じゃぁ毎日なにしてるのよ」

「エルンちゃん、貴族は毎日何してるの?」



 ミーナは質問を質問で返してきた。

 おちゃらけな顔だけど目が真剣。



「何って……」



 起きてご飯食べて、勉強したりしなかったり、夕方はまたご飯食べてまた寝るぐらい。



「貴族だからって特にないけど、一般人と同じよ」

「でしょ。アタシも同じ」

「クックックック」



 話を聞いていたリオが小さく笑う。



「お前も同じ質問をするんだな、コイツは馬鹿なのか天才なのか……私も昔お前達人間は毎日何をしてるんだって質問してな。毎日起きてご飯食べてまた寝るだけ、貴方と同じだよ。って返された」

「そうなの?」

「馬鹿の考える事は私にはわからん」



 リオは手をひらひらとさせているけど、なぜか嬉しそうに喋る。



「なんでもいいわよ、作ってもらえれば……」



 私が感想を言うとミーナがニヤニヤしてきた。



「何よ」

「エルンちゃんそういう所アタシと同じー物がちゃんとできれば過程は別にいいのにね」

「そりゃそうでしょって駄目って人いるの?」

「ディーオっちとナナちゃんが……」



 あー、あの二人か。

 確かにディーオは結果も大事にするけど、過程も大事にするのよね。

 そりゃ悪い事じゃないけどさー。

 火の中和剤が入るっていう時に家に在庫あるから上げるわよって言って、買い置きの持って行ったら、作ったんじゃないのかって嫌な顔された事あるし。


 そんなの作っていたら効率が悪いじゃない。

 なんでも手作りはそりゃ良いだろうけど時間と労力を考えて欲しいわね。


 ナナもちょっとだけど、そういう職人気質なの入ってるのよねぇ。

 賢者の石のレシピも入手方法も頑なに私に聞いてこないし。

 あの子なら、直ぐにでも作れそう。



「さて、エルンちゃん帰ろう」

「おっと、考え事してたわそうね」



 私達が帰るというと、リオがちょっとだけ寂しそうな顔でこっちを見ている。



「どうしてもって言うなら、寝室を用意している」



 うーん。別に泊まる必要は、無い。

 でも、リオの子犬のような目を見るとなぁ。



「いまさら一日ぐらい遅れたって変わりないし、一晩ぐらいなら。ミーナはそれでいい?」

「アタシは別にいいよー。あっそしたらリオっちが前に興味あった枕投げでもする?」

「やだ修学旅行じゃないんだから」



 ◇◇◇



 帰ればよかった。

 半壊した塔の前で翌日ぐったりする。


 枕投げとはなんだ? というリオの質問に、枕を投げて親睦を高める遊びよ。と、説明したのが就寝前。

 単眼メイドのノリスさんが、面白そうですね。とリオに枕をぶつけるまでは平和だった。

 あとはまぁ、今宵は無礼講だ! と叫ぶリオと周りの魔族さんたちがテンションあがって口から炎出す人やリオも魔法で反撃して、ミーナはボムを投げたりしてるし。


 私は顔がトカゲの人に守られて外に避難。

 その直後に塔が崩れたのを見た。

31日 来年の1月2日はお休みの予定

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[良い点] える(ん) しってるか? まくら を なげる と とう が ほうかいする [一言] ゲームしてても結局手が出るリオっちとミーナ。 リオっちも本気でケンカしても壊れない友人が嬉しいのかな? …
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