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135 今回のネタ晴らし

「うう、エルンちゃんの顔が怖いよー」

「怖いも何も、説明してって言ってるの」


 ベッドの上で上半身を起しているディーオは、そうだな。と小さく言う。

 ミーナはその横でカゴに入った果物を食べてる、それって見舞いに持って来た奴よね。

 自分で食べるのね。



「とはいえ、ボクはまだこの通り、動くのもつらいこのままでいいか?」

「…………まぁ。いいけど」

「君が、すいとん。とやらを作っている間に、ボクは手紙を出した――」



 ディーオは説明しだす。


 なんでも、症状から両親の亡くなった奇病である事は既にわかっていたと。で、錬金術のアイテムで一回しか使えないらしい、早飛びの便箋(びんせん)ってのを使った。


 効果は、普通の手紙と違って空中に投げると相手の所に届く仕組みとか。

 で、その相手とは目の前のミーナ。


 なんでも、ミーナは約十年前にディーオの両親が亡くなった後。

 その病気がディーオにもなったらと万が一のために薬を作っていたとか。


 その事はディーオも知っていて薬も家にある。

 さらに、万が一のためにと、これも数年前に手紙を出せるアイテムを交換していたとか。


 だったら、薬は常備しとけよ! と思うけど、何時発祥するかわからないし、発祥するとも限らないので手持ちは無かったと。

 たしかに、十年ちかくも無事だったら、持ち歩かないわよね。


 ミーナに居たっては何所にいるかまではわからないけど、でも、とんでるホウキ所持者のミーナなら十日もあれば来れるだろうと。


 特に何も言わなかったのは心配をかけまいと、寝てれば治ると回りに言っていた事。



「じゃぁ何。私が私があのひよこに会わなくても元気になったって事!?」

「………………その、そこまで心配してくれるとは思わなくてな」

「うがあああああああああああ」

「エルンちゃんが壊れたー」

「壊れるかっ!」




 あーもう、ストレスが溜まる!

 部屋をノックする音が聞こえた、どうぞ! というとカルロスとガーラが入ってきた。



「よう、色男。ガーラから聞いたぜ」

「冗談はよしてくれ、今ボクは不機嫌なエルン君に睨まれて具合が悪くなって来た所だ」

「にらんでまーせーんー」


 たっく、どいつもこいつも。

 ガーラが心配そうな顔で気を使ってくれる。



「ええっと、エルンさん。とりあえず誰も不幸な事にはならなったんですし」

「ええそうね。雪山に挑んで鳳凰にあって、苦難と必死で羽と卵取ってきた私以外不幸な人間はいないですよねー」



 カルロスが苦難と必死だったか? と突っ込んでいるけど無視無視。



「まぁそう怒るな。いいじゃねえか、普段もらえないような物も貰ったんだろ」

「ほう、羽と卵以外にも」

「うわーエルンちゃん、ごうよくー」

「これぐらい強欲のほうが、世の中上手くいくのよ、ミーナだって私とかに食事たかるじゃない」

「あははは、そうだね」



 おでこに手をあてて、文句を言いそうなディーオが口を開く前に包みを解く。

 テーブルの上に置いた箱の中身は、丸まった饅頭。いや、黒い薬見たいのが八個ほど入っていた。


 甘い良い匂いがして、私は一つ手にとって見る、少し粘り気のある土みたいで、二つに割った。

 ちょっとだけ指についたのを口に入れると、匂いに反して苦い。



「なにこれ?」

「まんじゅうかぁ? どれ」



 カルロスは一つとって口に入れた。

 まぁ私の物なんだけど、別に独り占めしてるわけじゃないし。



「先生! なんでも口に入れるのはよくないです!」

「まぁそういうなって、でもまずいな」



 私ももう少しちぎって口にいれる。うん、美味しくは無い。



「二人とも直に出したほうがいいぞ……」

「あははははははは」



 困惑するディーオに笑いだすミーナをみて、口からハンカチに出した。

 カルロスも毒と思ったのか、口からだしてガーラから手渡してもらったジュースを口にいれてゆすいでいる。


 私も近く似合ったお茶で口の中をスッキリさせた。



「もしかして毒?」

「毒ではないな……その肥料だ」

「あははははは、うんこ食べた、あははははっ」



 肥料? うんこ? 



「え、ちょっ!」

「ミーナ……もう少し包んでいってやれ……く……」



 そういうディーオも横を向いて小さく笑う。

 ほわっつ……肥料とは。

 畑にまくのが肥料、その材料は様々なものが含まれており、日本の昔では人のうんこなどを使っていたのは習った事がある。



「あのくそおおお鳥いいいいいいい」

「うんこだけに、うまいねエルンちゃん」

「まぁその、鳳凰のフンは肥料にすごく適してるんだ、悪気は無いんだろうな……くっくっく」

「笑うなそこ!」



 だから、あそこで広げるなっていったのね。

 そういえば、錬金術師が喜ぶ物を頂戴っていったきはするけどさー。


 口の中を何度もゆすぐ。

 残り六個になった、鳳凰のふんを包みなおしてディーオに投げつた。



「あ、やっぱ返して」

「投げつけられて、返せとは……元から君のだ」



 ディーオからミーナに手渡されて、ミーナが私に手渡してくる。



「ディーオに好きに使えって分投げたけど、ナナに渡すわ……ナナなら有効に使うだろうし。もう何か疲れた……何もしたくない」



 ソファーに倒れこむ。



「エルンちゃん赤ちゃんみたいー」

「もう何でもいいわよ……」

「じゃぁ、用事もすんだし帰るねー」



 顔をあげてミーナを見る。



「あれ? 帰るの? たまには、ご飯でも一緒に食べようと思っていたのに」

「そだよー、これでも忙しい中飛んで来たし。エルンちゃんが作った、もっと魔よけの香あるでしょ、あれの実験してるのー」

「へえ……そういえばあったわね」

「馬車とかそういうのに付けたら安全に旅できる実験」



 あ、たしかに。

 蚊取り線香みたいなものだから、それを馬車につければ安全にいけるわね。



「今までのは効果薄かったからね、さすがのミーナちゃんも、このレシピにはびっくりだよ!」

「…………どうも」

「随分と歯切れがわるいな」

「ほう、ちゃんと錬金術師だったんだな」

「先生失礼です!」



 歯切れが悪いのは、このレシピのオリジナルはナナだから。

 俺たちも各所に報告しに帰るわ。と、カルロスとガーラも出て行った。

 ミーナも手を振って部屋を出て行く。



「一気に静かになったわね」

「その、改めて済まなかったな」

「あーもういいわよ。ただ、前も言ったけど危険があるなら一言いってよ……」

「今回は危険はないとおもってな……」



 はいはい、と手をパタパタさせて置いた。

 病み上がりには辛いでしょうし、ディーオには寝なさいと命令しておいた。


 はー……私も寝る。


 



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― 新着の感想 ―
[一言] ディーオぇ……いい大人なんだからちゃんと報連相するのだ! エルン&カルロスぇ……なんだか分らないモノをヒョイと口に入れるんじゃありません! エンガチョ!
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