124 そうだ冒険に出よう冬編
城の秘密の庭園と言う場所で紅茶を一口飲む。
私の隣にはディーオが居て、正面にはシンシアがいる。
少し遠くにはシンシア姫のお世話をしていますお爺さんがいた、名前は名乗るほどではありませんと拒否されたので執事のお爺さんでいいか。
コタロウは……うん、数日牢に入れといてと、置いて来た。
なんでも、王家すら知らない抜け道から入ろうとしていたらしく、結構な問題になってるらしい。
私は関係ないから！ と念を押してきたけど大丈夫かしら。
シンシアがカップを置くとシュンと小さくなる。
「ヘルンさまは忙しくて、最近会えてないのです！ シンシア寂しいのです」
「そなの？」
「はい、こんれいのぎとかで何時も居ないのです」
婚礼の儀かぁ、何をしているかしらないけど、少しかわいそうね。
その寂しシンシアをほおって置いて、私はリオを会わせようとしてるって鬼畜なんではと思い始める。
隣にいるディーオが、今頃気づいたのか。と、目で訴えかけてる。ようなきがする。
うう……胃が痛くなりそう。
「あ、そうだシンシア。ガルド呼んでこようか？」
「ガルドおにいさまですか！ 嬉しいです。
でも、シンシア我慢します、お城は男性が入れない場所が多く、ガルドおにいさまにご迷惑が掛かると思いますので」
嬉しい顔から一転して悲しい顔になる、うーん。
ディーオをちらっとみると、そんなの当たり前だろ！ と、言っているような気がする。
ぐぬぬ……。
あと暇そうな人といったら。
「あっサミダレは知ってるわよね」
「はいっ！」
「サミダレに護衛ついてもらったらどうかしら、コタロウと一緒に来てるけど、ナナに聞けば解ると思うし」
「本当ですかシンシア嬉しいです。実はこちらに来てから仲良く話せる人が居なくて……コタロウさまと会えて嬉しかったんです。サミダレさまなら一緒にいれます」
「うんうん、あんなのよりよっぽどいいわ。それにサミダレだったら私とかとも連絡楽にとれそうだし、困ったら呼んでもらえるし」
「はいっ！」
私の話を聞いていた執事みたいなお爺さんが、公務のお時間ですと呼びに来た。
それでは、また遊んでください。と、いうシンシアは嬉しそうに歩いていった。
残った執事っぽいお爺さんに尋ねる。
「ええっと……勢いで行ったけどサミダレの件大丈夫かしら？」
「最終的には王が判断いたしますが、王とヘルン様からエルン様のご要望は成るべく聞くようにと、連絡が受けております。大丈夫でしょう」
「そ、そうなの！？」
「はい」
「よかったな、未来の王宮錬金術師」
「ちょっと、嫌味言わないでよ」
ディーオに嫌味を言われつつ、帰りの馬車へと乗り込む。
かっぽかっぽと城を囲っている水路を渡り町中へと溶け込んでいく。
狭い馬車の中で最初の事を思いだす。
「ええっと、孔雀の羽だっけ？」
「鳳凰の羽だな」
「そうそれ。取りに行くのはいいのだけど、私もって事は何か理由があるのよね」
「ほう、そこに気づくとは……成長が見れてボクは涙が出そうだ」
「どんな扱いよ！」
ディーオは簡単にと言って説明してくれた。
なんでも、不死の象徴である鳳凰。別名フィニックス。よくあるゲームと同じ用に、その神獣は死なないとされており、死なない、いこーる永久と認識が強く、なんだかんだで永久の愛として、その羽は縁起がいいらしいのだ。
問題はここからで、鳳凰と呼ばれる鳥。
人間が大勢で行っても会えなく、かといって一人で行っても会えない。
男女のカップルでなければ出会えないらしい。
さらに生息地はここから遠く北にある雪が積もった霊山でしか観測されなく毎年死者もでる、そんな霊山を登るカップルも中々居なく、かといって冒険者も中々いない。
「それゆえに貴重で献上品に最適だ」
「ええっと……長くて難しいわね」
「お前……」
「ちょっとやだ、本気で怒らないでよ。ようは男女のペアでしか取りにいけないのね」
「ああ、そうだ」
となると、私しかいないかぁ……ナナとディーオで取ってきてって言うのも違うし。
「で、その危険な事にディーオは付き合ってくれるの？」
お前は聖人君主かっと、言葉は飲み込む。
「君との付き合いも、そこそこの付き合いだからな。
それにボクもヘルンに何を送ろうか迷っていた所だ」
「なるほど、じゃぁ私がお礼をいう事もないと」
「そうだな、お互いの利害が一致したとそれでいいだろう」
それだったら私も気が楽だ。
なんていう偶然……偶然よね？
「あ、家が見えて来た。ええっといつ行くの？」
「成るべく早いほうがいいだろう」
「そうね……じゃぁ明日」
私がそういった所で、ディーオが吹き出した。
「君はボクが年中暇してると思っているのか？ ボクはコレでも教師だぞ引き継きの問題もあるし、挨拶もある、用意だってあるし」
「あーもうごちゃごちゃ怒んないでよ。出来ないなら――」
「誰も出来ないとは言っていない、天才のボクにかかれば。
わかった明日だな九時に北門で待ってる」
馬車から降りると、馬車は学園へと向けて走っていった。
玄関からノエが走ってきて、ガルドが先輩ころぶぞと忠告すると、ノエが転ぶ。
転んだノエを立ち上がらせると、溜め息をつきながらノエの背中を押した。
あの二人も最近仲がいいのよね。
特にガルドはシンシアのせいなのか小さい子相手にするの上手だし。
鳳凰の羽もう1個貰ってきたほうがいいかしら。
