21転生脇役ヒロイン納得する
「ウ~ン、やっぱり洞窟全体に魔法攻撃反射の結界張ってるみたいね。
あとは認識阻害。
思った通り物理攻撃に対する結界は張ってないわ」
推しの言葉にひたすら頷くリナ。
洞窟の外に出て丁度亀裂が入っている辺りまでやって来た王太子御一行は、辺りの地面を念入りに調べた。
魔法を使えば手っ取り早いが、中のゴブリンメイジにバレると不味いので天井の亀裂を目視で探した結果、案外大きな割れ目が見つかった。
大人が間違って足を踏み外せば最下層まであっさり落ちてしまうサイズの割れ目だった。
×××
ここにいるメンツは王太子妃夫妻とリナの所属する第1班。
他は一度外へと退却し周囲を警戒中。
村の外に出て食料調達や、それこそ近隣の村を調べに斥候のように行動するゴブリン達もいる可能性も考えると村の中に全てのゴブリンが揃っているとは限らないからだ。
「ソフィアたん。
私の魔法なら大丈夫ってどういう事なんですか?」
「ああそれはね。
里奈のロックフォールは攻撃魔法じゃなくてただの物体移動だから、結界にも引っかからないのよ」
「物理だからですか?」
「そういう事よ。
岩自体が魔法で構築されてないせいで物体そのものに人の意思が働いて無い自然落下ってみなされるっぽいのよね~・・・
だから魔術師も防御結界が間に合わないのよ。
悪意がないって言えばいいのかしら」
「悪意・・・」
「リナが意識するのは、ここへ大きな岩を動かしてくるってことだけで後は放ったらかしでしょう?」
「ええ。
まあそうですね」
――バレてる・・・
「だから皆んな不意うちされると間に合わないのよね」
「へえ~・・・」
何も考えてないと言われているのと一緒だが、尊い推しのありがたいお言葉なので全く気にならないリナ。
今もソフィアの可愛く首を傾げる仕草を心のメモリーに記録する為にひたすらガン見しているだけである。
要するに反射的に頷いているだけ。
「亀裂が入って日光が入って来るってことはそれだけその場所は薄いって事だから、そこに物理的に重い物を落とせば天井が抜けるわ。
上手く行けば全滅? パニックになるから狭い出口に押し寄せるから一網打尽に出来る筈よ。
シル?」
「北の砦から兵が移動して来る手筈は整ったらしい」
手元にやって来た小さなカナリアの魔鳥から聞き取りをしていた王太子が振り返る。
「抜け穴が他にないか他の魔術師達が探っている。
それが分かり次第作戦に掛かるぞ」
「「はーい」」
良いお返事のヒロイン達である。――ただし一人は元悪役令嬢枠だが。
×××
「お、いたいた。
お~い」
「アレ? アジェス」
色黒の美丈夫が手を振りながらやって来たのが見える。
「よくここがわかったな」
「ま~な。
センサー付きだから」
肩の上に乗っている小さなワニに似た魔物がジロリと主人を睨む。
「何故ベヒモスの気配を探らスのカト思ったラ、そういう事カ!」
「え? よく分かったわねえレヴ。
チャッピーこの中なのに」
ソフィアは肩から下げた鞄の中をガサゴソ探ると丸いボール状の魔道具を取り出した。
例の著作権案件の青黒のモ◯スター◯ールである。
「なんでベヒモスがそん中なんだよ?!」
「最近外を歩く時に足の裏に魔石がくっついてくるのが嫌になったんだって。
ソファーの上だとくっつかないから、そっちに慣れちゃって・・・
長時間抱っこするとシルが拗ねるし」
『嘘やん・・・』
という顔をするアジェスと。
『さもありなん』
と思いながらコックリ頷くリナである。
そして王太子は当然いつもの顔である。
片眉を上げていた・・・
×××
「ところで彼奴等は物理攻撃防御を何故張って無いんでしょうか?」
小隊長が地図を確認しながら首を捻る。
「そんなモン張ったら雨まで防いじゃうでしょ。
ゴブリン達は雨水で溜め池作ってるんだから防ぐわけ無いじゃない」
呆れ顔でソフィアが言い返す。
『成る程確かに・・・』
作業を進めながら聞き耳を立てていたその辺の騎士達の、多分半数以上が顔には出さないが腹の中で納得した・・・。
皆、脳筋。




