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第35話 その頃のクラッスター家Ⅱ

ビビス目線です!

マールズとの口論による一件、それはクラッスター家マスタール家、その共々の名誉を落とすものだった。

特に、何故かレシアスが生贄になったことから評判を下げ続けているクラッスター家にはかなり致命的な。


「全てはあの男のせいですものね」


けれども、そのことに対して私には何ら後悔は無かった。

何せこの状況は全てマールズ、あの勘違い男のせいなのだから。

全てが自分のいい方向でないと許せず、そうするためには不当に人を貶めても何ら気にすることのない男。


「レシアスの時だってあの男が裏切ったようなものですから」


だから私は自分の責任を全て忘れて、責任をマールズの物だと思い込む。

あんな男と婚約をしていれば後々クラッスター家に益になるとは思えない。

だから、あの男と婚約破棄したことは叱られることではないと考える。

それどころか自分に甘い父ならば、褒めてくれるに違いないと、その時の私は思い込んでいた……







◇◆◇







「この、馬鹿者が!」


「っ!?」


……けれども、私の予想とは反して邸に戻った私を待っていたのは怒り狂った父の姿だった。

問答無用で父に頬を平手打ちされた私は一瞬何が起きたのか分からず呆然とする。


「お前は、いつも無駄遣いしかしないくせに、金づるまで逃してきよって!」


「お父、様?」


……けれども、次の瞬間父の言葉に私はようやく理解する。

今、あれだけ自分に甘かった父が何故か激怒していることに。


「ひ、ひぃ!?」


そのことを理解した瞬間、私の胸に恐怖が溢れ出す。


「………早く次の金づるを捕まえてこい」


……けれどもそれ以上父が私に対して怒りをぶつけることはなかった。

そしてその父の態度に私は不信感を覚えつつも、けれども先程感じた恐怖にそれ以上の詮索を憚られ、重い足取りで自室に戻っていった。



………クラッスター家は破滅の崖っぷちにあることなど知る由もなく。

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