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二年生になると生徒会へ入る者をクラスで数名選ぶことになる。当然、クリスティーンがやるものだと思っていた。しかし、気が付くといつの間にかクレアが選ばれていた。
もう一人はケイトだ。クレアはケイトが苦手だった。彼女はクレアを嫌っている。時には敵意をむき出しにしてきた。
何かした覚えはないので、多分、庶民だから嫌なのだろうと思うようにしている。人から嫌われる理由を考えることは苦痛でしかない。そんなとき本の世界や勉強に逃げ込んだ。
生徒会室に行くと、集まったのはそうそうたるメンバーで、みな名家の貴族子弟だった。クレアは緊張を強いられた。ここにいること自体とても場違いだと感じる。
最初の集まりで自己紹介をした。生徒会長のアーサー・ファーガソン侯爵令息に、クレアはこれからずっと、お茶入れなどの雑用をやるように言い渡される。
毎年二年生から雑用係代わりにひとり、庶民か下級貴族の子を入れるしきたりらしい。今回はクレアが選ばれた。
学園には専属のメイドもいるが、代々そういうしきたりらしい。しかし、家事に慣れているクレアには大して苦にはならない。かえって居場所を作ってもらえて、ほっとした。ただし、役割がそれだけならば……。
つらかったのは生徒会に勉強をする時間を奪われることだった。貴族たちは言いたいことを言ってやりたいことをする。実際に動くのはいつもクレアだ。
生徒会長のアーサーに頼まれた資料を取りに行き、今日もおそくなってしまった。鍵をかけるために副会長で三年生の伯爵家子息マクミラン・シュミットがいつも残っている。
「ご苦労様、クレア、いつも大変だね」
「いえ、そんなことはないです」
彼だけがいつもクレアを気にかけて声をかけてくれた。そして名前をきちんと呼んでくれる。あとの者たちは「おい」とか「ねえ」ですます。お茶を淹れると「ありがとう」と言ってくれるのも彼だけ。そして、時折資料を纏めるのを手伝ってくれる。優しさが身に染みた。
濃茶の髪に優し気なハシバミ色の瞳、とても親切な人。クレアは彼に淡い思いを抱くようになっていった。彼に会うと嬉しいのになんだか息苦しい。彼のことを考えるだけで、とくとくと心臓の音がする。いつしか、生徒会室に行くのが煩わしいから、徐々に楽しいへと変わっていく。
「お茶を淹れましょうか?」
気付くとそんなふうに声をかけていた。言ってしまってから自分の発言にびっくりする。ここには彼と彼女しかいない。不躾だったかとおろおろしてしまう。マクミランは柔らかい笑みを浮かべて頷く。それだけで胸が高鳴った。
声はかけたものの二人きりになってしまって、何を話そうかと緊張でがちがちになってしまったが、彼はクレアが困らないように話題を提供してくれる。
いつになく会話がスムーズに運ぶ。なんだか人とうまく話せているようで嬉しい。少しだけ楽しいひと時を過ごした。なぜ、この人といるとこんなに心地良いのだろう。それなのに気持ちがさわさわとして落ち着かない。
すみません、鬱展開もうしばらく続きます。早めに投稿を済ませますね。
評価ブクマ感想誤字脱字報告ありがとうございます。
感想ありがたく読ませていただいております。
更新を優先しておりますので、返信少し遅くなります。ごめんなさい。




