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第87話 似た者同士

 仲良くしてみたかっただけ。

 なんか意外な答えに俺は戸惑った。


 敵の攻撃が止んだ。

 だが、鏡美は隙を見逃さない。

 体をくねらせながら口から太陽のようなまぶしい輝きを吐き出す。

 それが鱗に反射して鏡美の背に乗っていたさき葉たちの目を焼く。

 さらに彼女たちに巻きついてしばりあげる銀の龍。

 さき葉たちが人間じゃないと分かったからか、鏡美は全く容赦しない強さで締めつけている。

 今度は俺たちの動きを封じていた二人のさき葉に口から突風を吹きつけて、壁に叩きつける。

 ‎ここまで、まさに電光石火の動きだ。


 家戸あと葉はため息をもらすと話しはじめた。


「私は竜一さんとお話してみたかったんです……」


「なんで俺と話したかったんだ?」


 当然の疑問を口にした俺に対する彼女からの返答。


「それは、私と竜一さんが似た者同士だから……です。ともに双子の姉弟がいて……そして、深いコンプレックスを……感じていますから」


「え」


 俺が言葉に詰まっていると、続いて話してくれる。

 ‎

「私は姉さんのことが好きでは……ありませんでした。むしろ……妬み憎んでいました。だって、姉さんは……竜司さんに気に入られて、私は全然気に入られなかった……」


 そう言って涙を流す彼女の姿を見ながら、俺はなにか感じるものがあった。

 自分を見ているようなそんな感覚。

 吐き気を催す。傷を抉られる。

 ‎こいつに同族嫌悪を感じているのか。

 黙っているとあと葉の話はさらに続いた。


 「それだけじゃない……! 姉さんが死んでほっとしたのに……私が姉さんを作れると分かったら、竜司さまは私ではなく……私が作った姉さんを大事にしはじめた……」


 分からなくはない。

 竜司に認められたいという気持ち。 

 ‎女だったら誰しもヒエラルキーのより上位にいる男から認められたいものだろう。

 ‎自分の価値をそうやって確認する。

 ‎俺がヒエラルキーの最下層にいたときに、俺から声をかけられても、どんな女も見向きもしなかっただろう。

 そう考えるとなんだか本当にくだらないと思うようになってきた。

 ‎それがどうしたんだと言いたかったが。

 あえて俺は違う言葉を言った。

 ‎

「認められないのは、すごくつらいことだ。分からなくはない」

 

 恐らく彼女がほしい言葉はこれだ。

 ‎俺はこの家戸あと葉を味方につけようと決めた。

 


 ‎

 ‎

 ‎



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