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第56話 王との戦い2

 会場中から悲鳴が上がる。

 これは竜司の仕業なのか。

 こいつの力は一体。

 俺も少し頭が痛い。

 この中でアリアだけは平気そうだ。


「これはお前がやっているのか?!」


 観客席の地獄絵図に目をやりながら、アリアは竜司に問う。


「そのとおりだよ、えっーとアリアさんだっけ?」


 竜司は微笑みながら軽い口調で答える。


「なぜ、こんなことを?!」


 アリアの疑問に竜司は赤い瞳を爛々と輝かせながら返答する。


「敵を殺すためだよ。そして、こういう方法を取ったのはそいつらが苦しみもがくさまをじっくりと見物するためだね」


「貴様っ!」


 そこでアリアは頭をおさえはじめる。


「頭が……」


「君はとても強いんだね、正義感が。

 それはそれで結構だけど、正義感の本質を知っているかい?」


「……!」


「アリアさん、君は自分が正義の側の人間だと思っている。それが正義感の本質。ぞっとするほどの傲慢が自分を正義だと思わせるんだよ」


「うっ……! 貴様のようなやつがくだらん御託を……!」


 アリアはあまりの頭痛のせいか、ろくに反論もできない。

 先程までは全く頭痛などしていなかった様子のアリアが今では俺よりもきつそうだ。


「さて、じゃあ兄さん。そろそろ試合をはじめようか」


「竜司、俺は他の生徒がどうなろうが知ったことじゃない! だがな、アリアを苦しめるのはやめろ!」


「なんだい、兄さん。その女の子に惚れちゃったのかい? 鬼灯がいるくせに浮気とはずいぶんと偉くなったもんだね」


「鬼灯とは別れた。今は俺は鏡美と付き合ってる。アリアは戦友っていうだけだ」


「鏡美ちゃんと付き合ってる?! いい加減にしてほしいな、兄さん。許せないな、いろいろと」


 明らかに弟の声のトーンが変わった。

 

「お前は俺が倒す」


 俺はそう言うとアリアの水鏡の剣を引き抜く。


 刀身が銀の蛇となって伸びると、竜司めがけて飛んで行く。


 だが、その瞬間、俺の頭痛は悪化した。

 俺が頭痛のせいか銀の蛇をうまくコントロールできない。

 ‎

「なんだい、この武器。兄さんこんなアイテムまでゲットしたの? なんかずるいよ」


 俺は頭が割れそうな痛みに転げ回っていた。


「竜一!」


 アリアが心配してくれるが、弟をにらみつけると同時に、頭痛が増したのか頭をおさえうずくまった。


 それを見ると俺はますます頭痛がひどくなり、目の前が白くなってくる。 

 ‎不意に横腹に鈍い痛みが走る。

 倒れこんでいる俺の脇腹を弟が蹴りこんできたのだ。


「むかつくんだよ、兄さん。もっと苦しめよ」


「やめろ!」


 自身もろくに動けやしないアリアが叫ぶ。


 すると、弟は今度はアリアのほうに近寄った。

 そして、アリアの両頬を両手で触る。


「貴様っ! 触るな!」


 アリアは抵抗するが力がろくに入らないようだ。


「きれいだ、スベスベだね」


 竜司は唐突にそう言うとアリアにキスをした。


「竜司!! お前!!」


 頭痛は増すばかりだったが、俺はかまわず立ち上がると竜司のほうに向かっていった。


「すごいな、その状態で立てるなんて」


 そのとき、銀の蛇が刀身から抜けると俺とアリアの腕を結んだ。 


 力がみなぎってくる。

 アリアも体力を急速に取り戻したらしく、素早く竜司の周りを飛び回ると、あいつの首に銀の蛇を巻き付ける。


「今すぐみんなを苦しめるのをやめるんだ! そして、降参しろ!」


 アリアの声は力強い。

 対する竜司は優しげに微笑んでいる。だが、その視線は驚くほど冷たかった。


「あまり調子に乗るなよ」


 竜司の声には鳥肌がたつような低く無感情な響きがあった。



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