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あなたと生きた世界  作者: 仙夏
黎明

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04

【主な登場人物一覧】

蘭寮   寮長:神楽凜(8) 副寮長:蒼井茜(7)

向日葵寮 寮長:阿久津陽向(8) 副寮長:日向悠人(7)

葵寮   寮長:優木澪(8) 副寮長:緑川颯(7)

菫寮   寮長:橘立夏(8) 副寮長:一条優(7)

蓮寮   寮長:水瀬莉(8) 副寮長:水瀬藍(8)

楓寮   寮長:星宮柊(8) 副寮長:黒川伊織(7)

蓬寮   寮長:桜庭海(8) 副寮長:一ノ瀬南海(7)


学園の生徒の学年は、1年生から8年生までで、上記の( )の中の数字がそれぞれの学年です。

そして、授業が終わり夕食になった。

寮長たちの姿は見えず、食事が終わるとすぐに寮に戻された。

寮に戻る途中でトイレに向かうと、トイレに入る手前で、中から誰かの声が聞こえ僕は足を止めた。

男の子 「こんなところ、早く抜け出そうぜ。こんな訳分からないところに連れて来られて、授業もきつそうだしさ。」

男の子 「要は、獣を倒せば良いんだろ?簡単じゃんか。」

男の子 「剣とか武器があれば楽勝だね。見てよ。さっき、校庭で拾ったんだ。」

男の子 「今日の監視は蓬寮と聞いたし、簡単に抜け出せるだろ。」

後退りをすると、後ろから声を掛けられた。

俊 「晴樹、早く行こうぜ。」

晴樹 「あ、あぁ。うん。」

僕は、俊君と一緒に寮に向かった。

獣…あんなに大きくて強そうだったけど…

まさか、ここを抜け出して獣を倒せるなんて…

俊 「ふぁぁぁ…今日は疲れたな。そろそろ寝るか。」

読んでいた本を閉じて俊君が言った。

晴樹 「あ、うん。」

電気を消して布団に入ってもさっきの会話が頭から消えなかった。

寮長に報告すべきかな…

でも、寮長は疲れてるって言っていたし…

俊 「…晴樹?眠れないのか?」

晴樹 「っ、う、うん。あのさ…」

僕はさっき聞いた会話を俊君に話した。

俊 「…それは…まずいんじゃないか?獣って寮長が怪我をするくらい強いんだよな。そいつらが新入生だったら大問題だぞ。」

晴樹 「…やっぱり、そうだよね。僕、寮長に伝えてくる。」

俊 「俺も行くよ。」

二人で部屋を抜けて、塔の一番上の寮長と副寮長の部屋をノックした。

優 「どうぞー。」

扉を開けると、机で本を読んでいた副寮長が本を閉じて僕らを見た。

優 「新入生。どうかしたか?」

晴樹 「副寮長。あ、あの…」

僕が事情を話すと、副寮長は血相を変えた。

優 「大変だ…二人は部屋に戻ってて。寮長たちに知らせてくる。」

副寮長は慌てて部屋を出ていった。

部屋に戻ってベッドに座っていると、放送が流れ、寮の談話室に至急集まるよう指示が出た。

談話室に行くと副寮長が人数を数えていた。

人数確認が終わり、静まり返ったとき、寮長が入ってきた。

優 「寮長。菫寮は全員揃っています。」

立夏 「っ、良かった…上級生は残ってくれ。下級生はそれぞれ部屋に戻って朝まで部屋から出ないように。飛翔はここに残りなさい。」

下級生が部屋に戻っていく中で、寮長は真面目な顔で僕を見た。

立夏 「一条から事情は聞いたが、もう一度話してくれ。」

晴樹 「は、はい。えぇっと…」

僕は、トイレで聞いた話し声を漏らさず寮長に話した。

立夏 「…そうか、分かった。ありがとう。次からは何かあればすぐに相談してくれ。もう戻っていい。おやすみ。」

晴樹 「は、はい…おやすみなさい…」


--- 一条優side

飛翔が部屋に帰るのを見て、寮長は口を開いた。

立夏 「生徒が何人か学園を抜け出した可能性がある。もし、本当ならば私たちと上級生半数に力を借りて探しに行く。半数は、その間の下級生のことと学校の警備を頼む。」

上級生 「分かった。」

上級生たちは、メンバー表を出して森に探しに行く者と学園に残る者に分かれていた。

立夏 「一条。寮長が全員不在になる。一条がその間リーダーだ。統括を頼む。」

優 「わ、分かりました。」

上級生 「寮長。蘭寮の寮長です。」

寮の入り口で監視をしていた上級生が言い、後ろから蘭寮寮長の神楽先輩が顔を出した。

凜 「立夏。いなくなったのは蓮寮の生徒だ。三人。しかも新入生だ。」

立夏 「っ、分かった。探しに行こう。」

凜 「あぁ。一条、お前が指揮を執るんだからな?」

優 「は、はい!」

寮長は、部屋に戻り刀を手に取った。

優 「寮長。その怪我では…」

立夏 「大丈夫だ。片手で戦える。ここを頼んだ。」

優 「…分かりました。寮長、どうかお気をつけて。」

立夏 「あぁ。」

寮長と学園の入り口に行くと、寮長たち全員と上級生が集まっていた。

立夏 「三つの班に分かれて行動する。生徒を見つけたら各班の火薬委員会が合図を送って。無理しすぎず行動しなさい。」

二つの班が出発し、寮長と蘭寮寮長がリーダーを務める班が出発した。

学園の門を閉めて、残りの半数で監視をしていた。

しばらくして、監視班のところに行き森を見ていると花火が一つ上がった。

上級生 「一人発見されたみたいです。」

優 「うん。後二人か…合図があったら報告してくれ。」

上級生 「了解。」

門の方に向かうと阿久津先輩と優木先輩、桜庭先輩がリーダーを務める班が戻ってきた。

澪 「一人無事だよ。」

優 「良かった。怪我した人もいませんか?」

陽向 「平気だ。澪、後は頼む。」

澪 「うん。」

優木先輩を残し、ほかの先輩方はまた森の中に向かった。

澪 「この子の手当をするから。引き続き頼むよ。」

優 「分かりました。」

優木先輩が新入生の一人と医務室に向かい、僕も学園に戻って監視班の元に行った。

上級生 「合図はないよ。」

優 「そっか…」

上級生 「…」

捜索開始から時間が経ち、明け方になって二発の花火が上がった。

上級生 「おっ。残りの二人も見つかったみたいだよ。」

上級生 「後は、無事に帰ってきてくれればだな。」

優 「…」

医務室に向かい、優木先輩に合図のことを報告して門に向かうと、門が開き、阿久津先輩と桜庭先輩がリーダーを務める班と水瀬莉先輩と星宮先輩がリーダーを務める班が戻ってきた。

合図があった報告を受けてほかの寮の副寮長も門のところに来て寮長たちの無事を見て安堵した。

陽向 「あの合図、二つとも立夏と凜の班か。」

海 「…」

上級生の中で怪我をした人を副寮長が率先して医務室に連れていき、ほかの上級生も学園の中に入った。

寮長たちと一緒に森を見つめていると、神楽先輩の姿が見えた。

柊 「凜。無事か?」

凜 「…」

神楽先輩はうつ向いて首を横に振った。

ほかの上級生も目を反らしていた。

凜 「…立夏も怪我で意識を失ってる。医務室に運んでくれ。」

菫寮の上級生が寮長を抱き上げていて、怪我をした上級生と共に医務室に運ばれた。

陽向 「…凜。凜も怪我をしている。医務室に行くぞ。」

凜 「あ、あぁ…莉、すまん…」

いなくなった生徒が属していた蓮寮寮長の水瀬莉先輩は泣きながら首を横に振り、双子の弟で同じ寮の副寮長を務める水瀬藍先輩も泣いていた。

陽向 「…海。夜明けまで警備を頼む。」

海 「…おう。」

柊 「医務室に向かおう。」

僕は星宮先輩に背中を押され、医務室に向かった。

柊 「学園は大丈夫だったか?」

優 「は、はい。」

柊 「良くやった。」

医務室に着くと、保健委員会の上級生が怪我人の手当をしていて、奥のベッドで優木先輩が寮長の手当をしていた。

柊 「…傍にいてやってくれ。」

優 「…はい。」

僕が寮長の隣に行くと、学園長先生に報告に行った星宮先輩と水瀬莉先輩を除いた寮長たちも来てくれた。

澪 「怪我の手当は終わったよ。目を覚ませば大丈夫。」

凜 「あぁ、ありがとう…」

澪 「…凜の怪我も見るよ。こっちに。」

優木先輩は神楽先輩の怪我の手当をしていて、阿久津先輩は寮長の怪我を見ていた。

しばらくしても寮長は目を覚まさなかった。

陽向 「…そろそろ下級生が起き出す時間だ。一条、ここにいるか?」

優 「…いえ、寮長に学園を頼まれました。寮長たちが怪我をされている今、私が学園を指揮します。」

陽向 「良く言った。私が補助をしよう。」

大講堂に向かうと少しずつ生徒が集まってきていた。

優 「落ち着いて、席に着いて待っていて。」

陽向 「向日葵寮の上級生で今朝の朝食を頼む。」

上級生 「了解。」

少しして、全ての寮の副寮長たちも加わり、人数確認を終えた。

優 「…昨晩の件について、落ち着いてから報告します。朝食が来るまでここで待っていてください。」

すると、鐘が鳴り無数のろうそくがステージ上に現れた。

優 「こ、これは…」

陽向 「嘘だろ…」

火が絶えそうな生徒がいる場合に鐘が鳴り、全員分のろうそくが現れる…伝説でしか聞いたことが無かったけど…

陽向 「誰のろうそく…」

ろうそくの中から、一つのろうそくが前に出た。

陽向 「っ!一条。ここは引き受ける。早く行け!」

優 「は、はい。」

僕は、一心不乱に走って大講堂を抜け、医務室に向かった。

医務室でも鐘の音が聞こえるため、ざわざわしていた。

澪 「一条…」

優 「はぁはぁ、寮長…橘寮長のろうそくです…」

澪 「え…」

凜 「…まさか、あの獣…」

柊 「毒か?」

澪 「…急いで解毒する。」

優木先輩は、慌てて寮長の元に走り解毒を始めた。

凜 「…」

優 「寮長…」

寮長の手を握ると、体温は低く弱々しく感じた。

莉 「立夏…」

しばらくして、優木先輩は液体を寮長に飲ませ、寮長の胸元に手を当てて指を鳴らした。

先ほどまで今にも消えそうになっていたろうそくは落ち着きを取り戻した。

凜 「一安心だな…」

澪 「心臓に悪い…」

寮長を見ていると、寮長はゆっくりと目を開けた。

優 「寮長!」

莉 「良かった…」

寮長は、ほかの寮長たちを見て安心したように笑顔になって、僕の頭を撫でた。

僕は、自分の目から涙が出るのが分かった。

その日の夕方になると、寮長も話せるくらいまで回復してきていた。

ほかの寮長や上級生は僕に気を使ったのか寮長と二人きりにしてくれた。

立夏 「一条…」

優 「っ、寮長。」

立夏 「…駄目だった…」

寮長は急に涙を流し始め、腕で目を覆った。

優 「りょ、寮長…」

寮長の頭を撫でて宥めようとすると、寮長はしばらくして落ち着いてきた。

立夏 「…新入生の姿は確認できたんだ。でも、後一歩のところで…」

優 「…目の前で消えてしまったんですね…」

寮長は、起き上がり、僕が優しく抱きしめると抱き返してくれた。

優 「…寮長たちは頑張ってくれました。あんなに無謀な状況で一人を助けてくれたんです。一人助かっただけでも奇跡ですよ。」

扉が開いた音がしてそちらを見ると、阿久津先輩が見ていて僕らの様子を見て静かに扉を閉めた。

優 「…私は、あなたが無事で本当に良かった…」

立夏 「…学園は大丈夫だったか?」

優 「えぇ。問題ありません。」

立夏 「ありがとう。」

優 「…今週は自習ということになりました。その間、昨年度の代表寮選抜で準優勝だった葵寮寮長が指揮を担当してくれるとのことです。寮のことは私にお任せください。寮長はせっかくの機会ですし、ゆっくり休んでくださいね。」

立夏 「あぁ。分かった。」

しかし、医務室への見舞品が絶えず届き、医務室への入室を制限する事態にまでなった。

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