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あなたと生きた世界  作者: 仙夏
黄昏

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【主な登場人物一覧】

蘭寮   寮長:神楽凜(8) 副寮長:蒼井茜(7)

向日葵寮 寮長:阿久津陽向(8) 副寮長:日向悠人(7)

葵寮   寮長:優木澪(8) 副寮長:緑川颯(7)

菫寮   寮長:橘立夏(8) 副寮長:一条優(7)

蓮寮   寮長:水瀬莉(8) 副寮長:水瀬藍(8)

楓寮   寮長:星宮柊(8) 副寮長:黒川伊織(7)

蓬寮   寮長:桜庭海(8) 副寮長:一ノ瀬南海(7)


学園の生徒の学年は、1年生から8年生までで、上記の( )の中の数字がそれぞれの学年です。

あれから二日が経ち、ほとんどの最上級生が名乗りを上げて寮長を筆頭に計画を進めていた。

夜、部屋で作業をしていると部屋の扉がノックされた。

優 「どうぞ。」

茜 「優。少し、良いか?」

優 「茜?」

茜 「ちょっと相談したくて、同級生にバッチ借りた。」

優 「そっか。座って。」

茜 「…俺さ、今日初めて寮長に本音でぶつかったんだ。」

優 「神楽先輩に?」

茜 「あぁ、寮長はやっぱり冷静で強くてさ。すぐに正論で跳ね返されるのかと思ってたら優しく抱きしめられたよ。お前がどんな選択をしてもそれが正解だって。」

優 「…うん。」

茜 「俺さ…こんなにすごい人と一緒にいれたんだって、すごく強くて優しい人の傍にいれたんだってうれしくなって泣いちゃって。これまで、完璧な寮長と俺は全然似てなくて違う存在だと思っていたから、今回もどこか他人事っていうか、寮長のためにって決断できなかった。でも、今は優の気持ちが分かる。あんなにも強くいようとする寮長を最後に寂しさで泣かせることなんてさせたくない。悔しさで泣いてしまったとしても寂しさだけは感じさせたくない。俺も一緒にいたいって思った。」

優 「…神楽先輩、茜のこといつもしっかり見ているし、茜が大好きなんだなってことが良く分かるよ。茜が一緒だと楽しそうだし、茜のおかげで普段よりも自信を持てているようにも見える。」

茜 「ふっ、そうか?」

優 「うん。茜が大好きだからこそ、茜をこれまでずっと見てきたからこそ、どんな選択をしても受け止めてくれると思うよ。寮長たちについて行くこともついて行かないことも寮長のためにはなると思う。寮長の傍にいるか、寮長たちが帰れる場所を守るか、その違いだと思うから。最後は自分のわがままで良いんじゃないかな。僕は寮長の傍にいたい。自分のわがままを通した方が後悔しないと思う。」

茜 「…わがままか。俺も…寮長と一緒が良い。どんな結果になっても。」

優 「…伊織たちも皆同じ答えを出したよ。ここからどうなったとしても…神様の気まぐれだよ。」

茜 「そうだな。俺は自分のわがままで寮長と一緒にいる。全力を出して寮長を支える。」

優 「うん。茜も作らない?これ。」

茜 「これは?」

優 「寮長に贈り物。気持ちを詰め込むんだ。」

茜と一緒に寮長への贈り物を作り、消灯時間になると茜は寮に戻った。

いよいよ明日…寮長と眠れるのも今夜が最後になるかもしれない…

夜中まで寮長を待っていると静かに扉が開いた。

立夏 「一条、起きていたのか。」

優 「はい。おかえりなさい。」

立夏 「あぁ、ただいま。」

優 「寮長。私の最終的な決断を話してもよろしいでしょうか?」

立夏 「…あぁ。」

寮長は椅子に座って僕を見た。

優 「やはり、あなたと行かせてください。寮長と一緒にいさせてください。」

立夏 「…変わらないか。一条は。」

優 「はい。私はあなたと一緒にいたいです。どんな結果になろうと傍にいたい。私が入学したての頃はきっと消えることも怖くなかった。あんな前世のような生活に戻りたくなかったからです。でも、寮長や学園の皆に出会えて今では消えることが怖いし、寮長たちと過ごす日常が無くなってしまうのが怖い。そんな風に私を変えてくれたこの場所を寮長たちを全力で支えたいです。」

立夏 「っ…」

寮長は泣きそうになりながら急に僕を抱きしめた。

立夏 「…ありがとう。一条のことは私が身を捨ててでも守る。一条のことは私が消えさせない。」

優 「…私もその覚悟です。寮長を絶対に一人にしません。」

寮長が落ち着いてくると僕は寮長の手に贈り物を置いた。

優 「お守りです。あなたが決して一人にならないよう、願いを込めました。」

立夏 「ふふ…ありがとう。一条がいてくれると心強いよ。」

優 「私もあなたの傍にいられて心からうれしいです。」

次の日の早朝、寮長と二人で学園長室に向かった。

立夏 「学園長先生、少しよろしいでしょうか。」

学園長 「橘、一条。入りなさい。」

学園長室に入ると学園長先生の側に副学園長先生も一緒にいた。

学園長 「わしらもいろいろと調べてみたのだが、ほかに良い手立てが浮かばんのだ。」

立夏 「えぇ、私たちも同じ決断に至りました。学園長先生が仰っていたエリュシアという蝶に懸けてみます。最上級生からは昨晩までに全員から了承を得ています。」

学園長 「…そうか。」

立夏 「学園長先生と副学園長先生は学園をお願いします。副寮長全員も留守にしますので。」

副学園長 「副寮長も全員ですか?」

立夏 「はい。全員から申し出がありました。」

学園長 「しかし…」

立夏 「私たちが命懸けでこの子たちを守ります。学園長先生と副学園長先生、何かあれば学園をお願いします。」

学園長 「…待ちなさい。」

学園長先生は壁に手を当てて壁に向かって呪文を唱えた。

すると、刀が現れた。

学園長 「…前にも大災害が起きたことがあった。そのときに使用されたものじゃ。橘に託す。」

立夏 「…はい。」

寮長が刀を手に取ると急に刀は光り出し、窓の外の方へ光の線が続いた。

立夏 「これは…」

学園長 「…もしかすると、この先にエリュシアがいるのかもしれんの…」

光は徐々に弱くなり、最終的に消えてしまった。

立夏 「あの方角を目指します。」

副学園長 「…出発はいつですか?」

立夏 「本日の夕方です。全員の準備が整い次第、出発します。」

学園長 「…橘、一条。皆の帰還を祈っている。」

副学園長 「…たとえエリュシアが見つからなかったとしても危険な場合引き返してください。帰りを待っています。」

学園長室を出て、寮長室に行くと最上級生や副寮長、そして寮長たちが集まっていた。

先ほどの光の話をして、寮長たちの計画は進み、僕らも計画を頭に叩き込んだ。

昼が過ぎ、皆で準備を終えて武器をそろえ、門の方に向かうと飛翔の声がした。

晴樹 「寮長!」

立夏 「っ…飛翔…」

飛翔は走って寮長の前に来て泣きそうな顔をしながら寮長の裾を掴んだ。

下級生には今の事態や計画は知られないようにしてきたはず…

晴樹 「寮長、どこか行っちゃうんですか?寮長が危険な気がして…」

寮長はしゃがんで飛翔を抱きしめた。

立夏 「…大丈夫。学園は守るよ。」

寮長は、飛翔が落ち着いてくると学園に残る上級生に飛翔と笹沼を任せた。

立夏 「笹沼。」

俊 「…はい。」

立夏 「飛翔を頼む。」

俊 「…分かりました。」

門の前に集まった最上級生と副寮長たちは僕らの方を見ていて、僕らもそちらに向かった。

立夏 「…エリュシアを見つけ、一人でも生還できれば私たちの勝利だ。」

僕らは気配を消しながら皆で固まって走り出し、寮長がその先頭を走っていて僕はその傍を走っていた。

僕の後ろには副寮長が続き、僕らを守るように神楽先輩たちや最上級生が僕らを囲んで走っていた。

徐々に獣が現れ始め、最上級生は獣を僕らの輪の中から遠ざけ、獣を倒して輪に戻ることを繰り返していた。

少し走り、寮長の前に獣が現れると寮長は何の迷いも無しに刀を振って獣を斬り獣が光となって消え、陣営は止まることなく走り続けた。

徐々に夜が更けていき月明かりだけを頼りに進む中、僕らは目的の場所までもう少しのところまで来ていた。

凜 「この辺りから注意深く行くぞ。」

でも、簡単にはエリュシアを見つけることはできず、獣も集まり始め、手分けして探さないといけなくなった。

僕は寮長と最上級生数名と組を作って走り出し、担当区分を隈なく探した。

しばらくして、僕は光る何かが目に入って前を歩いていた寮長の腕を掴んで引き留めた。

寮長と光っているものを見に行くと水辺に一頭の蝶が止まっていた。

その蝶は、綺麗な青色の光を放っていた。

寮長が手のひらをそちらに向けると蝶はヒラヒラと僕らの方に飛んできて寮長の指に止まった。

寮長は蝶に向かって呪文を唱えて蝶を首飾りに変え、自分の首に掛けた。

立夏 「後は戻るだ…伏せろ!」

寮長は僕の方を振り向くと急に血相を変えて僕の頭を地面に押し付けた。

耳元で獣の唸り声が聞こえ、寮長の手の力が抜けて僕が顔を上げると、寮長は刀を鞘に納めた。

立夏 「はぁはぁ…」

優 「寮長…」

立夏 「…すまん。顔、大丈夫か?」

寮長は僕の顔を見ながら震える手で泥を払った。

優 「…平気です。」

立夏 「…後は戻るだけだ。帰ろう。」

優 「…はい。」

寮長の手の震えは止まらず、落ち着かせようとすると急に寮長は走り出した。

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