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あなたと生きた世界  作者: 仙夏
黎明

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02

【主な登場人物一覧】

蘭寮   寮長:神楽凜(8) 副寮長:蒼井茜(7)

向日葵寮 寮長:阿久津陽向(8) 副寮長:日向悠人(7)

葵寮   寮長:優木澪(8) 副寮長:緑川颯(7)

菫寮   寮長:橘立夏(8) 副寮長:一条優(7)

蓮寮   寮長:水瀬莉(8) 副寮長:水瀬藍(8)

楓寮   寮長:星宮柊(8) 副寮長:黒川伊織(7)

蓬寮   寮長:桜庭海(8) 副寮長:一ノ瀬南海(7)


学園の生徒の学年は、1年生から8年生までで、上記の( )の中の数字がそれぞれの学年です。

気づけば朝になっていて、僕らは副寮長が扉をノックした音で目を覚ました。

優 「おはよう。着替えて、入学式を行った大講堂に集合ね。」

それだけ言って、副寮長はまた別の部屋に行ってしまった。

俊 「げっ…まだ、こんなに朝早いのに…」

窓を見ると、まだ外は完全に明るくなっていなかった。

上級生たちが誘導してくれて大講堂に着くと、各寮の副寮長が人数確認をしていた。

どの寮にも寮長はまだ来てないみたい。

俊 「ふぁあ。まだ眠い…」

晴樹 「ねぇ、寮長はまだなのかな。」

俊 「案外、朝に弱いのかもな。」

俊君は笑いながら言った。

俊 「あっ、副寮長。寮長は、まだなんですか?」

通りかかった副寮長に声をかけると、副寮長は俊君の着崩れを直しながら答えた。

優 「寮長たちは、授業の準備をしているんだよ。」

晴樹 「寮長ってそんな仕事もあるんだ。大変そう…」

優 「そろそろ来てくださると思うよ。」

そう言って副寮長は行ってしまった。

誠 「はーい、皆さん。おはようございます。これから授業担当について発表します。席に着いてください。」

入学式で司会をしていた男の人がステージ上に立っていた。

晴樹 「まだ寮長たちが来ていないのに始めるんだ。」

俊 「寮長たちは熟知しているだろうし、寮長たちが来る前に終わらせるんじゃないか?」

晴樹 「なるほどね。」

誠 「では、どんどん紹介しますよ。まずは、薬草学。担当は、蘭寮寮長、神楽凜。」

晴樹 「え?」

誠 「毒性学。葵寮寮長、優木澪。生物学、蓬寮寮長、桜庭海。剣術、弓術共に菫寮寮長、橘立夏。」

どんどんと発表される担当教員は、全て寮長たちだった。

誠 「学校の掲示板にも掲示してますから、聞き逃した方は掲示板を確認してくださいね。」

すると、紙飛行機が大講堂に入ってきて、司会の藤咲さんがキャッチした。

紙飛行機を開いて中身を確認し、藤咲さんは前を見た。

誠 「朝食がまだ到着しないということで、委員会も発表していきます。委員会は自分で一つ決めてもらいますから、特に新入生、ちゃんと聞いていてくださいね。まずは、会計委員会。委員長は蓮寮寮長、水瀬莉。火薬委員会。委員長は、菫寮寮長、橘立夏。薬草委員会。委員長は蘭寮寮長、神楽凜。」

晴樹 「委員会の委員長も寮長たち…」

昨夜、副学園長先生が言っていた、この学校は寮長たちによって統括されているという意味がだんだん分かってきた。

すると、急に扉が開いて、蘭寮寮長の神楽先輩が立っていた。

凜 「蓬寮、副寮長!」

南海 「は、はい!」

凜 「蓬寮寮長の桜庭海が会議に来ていない。ちゃんと起こしたのか?」

南海 「え、えー!ちゃんと、起こしたはずなのに…すみません!今から起こしに行きます!」

二人が出ていき、所々で笑い声が聞こえた。

俊 「蓬寮の寮長って、昨日からいろいろとやらかしているよな。」

晴樹 「でも、こんなに寮長に仕事が偏っているんだね。大変そうだな…」

上級生 「そうでもないぞ。」

向かい側に座っていた上級生がこちらを見ていた。

上級生 「たしかに寮長になると大変だけど、生徒にも多くの仕事があるんだ。たとえば、あれだな。」

上級生と同じ方向を見ると、葵寮の寮生が朝食を運んできた。

俊 「エプロンしてる。まさか、あの朝食を葵寮の寮生が?」

上級生 「そのとおり。昨夜の夕食は蓮寮の担当だった。食事担当のときは今日よりも早起きになる。ほかに掃除や洗濯、監視役とかやることはたくさんあるぞ。それについても説明があるはずだ。」

晴樹 「先生はいないんですか?」

上級生 「この学校の先生は、学園長先生と副学園長先生だけ。お二人は寮長たちの授業をするか、寮長たちが全員不在の緊急時とかに出てくるくらいかな。イベントごとや生活など、全て寮長たちを中心に生徒のみで動いているんだ。」

僕らの前には美味しそうな料理が並んだ。

新入生以外の生徒は料理担当が葵寮で安心しているように見えた。

俊 「うわ、美味そう。」

上級生 「今日の料理長は、葵寮寮長の優木澪先輩。安全安心な先輩だからね。」

俊 「…安全安心じゃない寮長もいるんですか?」

上級生 「…まぁね。」

晴樹 「…安全安心じゃない寮長が料理長だとどうなるんですか?」

上級生 「知らない方がいい。」

俊 「蓬寮が料理担当になったら大変そう…」

上級生 「蓬寮はまだましな方だ。時間どおりに料理が出てくることはまずないが、食べれるっちゃ食べられるものが出てくるから。これが向日葵寮だと大変なんだ…」

俊 「…それを知らない方がいいんですね。」

上級生 「…あぁ。その方が幸せだと思う。」

誠 「寮長たちがまだ到着されていませんが、先に食事をしているようにと連絡がありました。では、いただきましょう。いただきます。」

全員 「いただきます。」

食事も中盤に差し掛かった頃、扉が開き、ようやく寮長たちが大講堂に来た。

上級生が立ち上がり、僕らも驚いて立ち上がって、上級生の真似をしてお辞儀をした。

優 「寮長。おはようございます。」

立夏 「おはよう。」

寮長たちが席に座ると、副寮長たちは寮長たちの食事を用意した。

優 「どうぞ。」

立夏 「ありがとう。」

寮長たちも食事をし始めて、しばらくして鐘が鳴った。

優 「寮長。では、失礼いたします。」

立夏 「あぁ。」

ほかの寮も新入生を残して、先輩方は大講堂を出ていかれた。

そして、寮長の中でも菫寮の寮長だけが残っていた。

立夏 「新入生。全員、前の方に席を詰めなさい。」

僕らが前の方に席を詰めると、寮長はステージの上に立った。

立夏 「昨日の入学式では、この世界や獣についての話をしなかった。詳しくは世界論や獣学で両者について学ぶことができるが、その前に毎年恒例の絵本の読み聞かせを行う。」

俊 「絵本?」

立夏 「代々、入学式の次の日に新入生に読み聞かせられてきた本だ。私たち含め、ここに属する生徒全員が読み聞かせられた。毎年、その年の代表寮の寮長が行う恒例行事だ。今年は私が担当する。」

寮長が指を鳴らすと大講堂の明かりは消え、ステージ上をろうそくの火のような温かい火が灯した。

寮長は、ステージ上に立てかけられていた絵本を取り出し、僕らの前でその本を大きくした。

俊 「すげえ…」

立夏 「見えないものは前へ。今年は特に人数が多いからな。」

寮長は手を横にスライドすることで大きくなった絵本の一枚目を捲った。

立夏 「この世界は、前世と後世の狭間の世界。実態がどうなっているのか、本当に物理的に存在する場所なのかすら分からず、不明な謎が多く残る世界である。この世界には、多くの鏡を介して前世から人が送られてくる。彼らはこの世界中に振り分けられ、戦士になり獣を倒すことで使命を果たすべきだと判断された者は、学園の屋上の部屋で寝かせられ学園の入学式の日に目を覚ます。学園で一年を過ごすごとに冬になるとその年に卒業できると判断された者の名前が学園長から発表される。そして卒業式の日、その日だけ大講堂に現れる鏡を通り、その者は学園を卒業する。その鏡は来世に繋がっているとされ、鏡を通ると生まれ変わることができる。」

寮長は絵本を閉じて、大講堂に灯りを灯した。

立夏 「これがこの学園に伝わっている伝説だ。これが嘘か真かは誰も分からない。学園を卒業した者にしか成否が分からない伝説だ。同じ絵本が部屋にもあるから、読みたくなったら読んでみてくれ。」

そう言って寮長は本を小さくして棚に仕舞った。

立夏 「それでは…これから質疑応答に移る。聞きたいことがある人は手を挙げて。」

すると誰も手を挙げず静まり返っているときに俊君が手を挙げた。

立夏 「笹沼。」

俊 「はい。あの…昨日見たろうそく、本当に火が消えたら世界から消えてしまうんですか?」

立夏 「一発目からろうそくの話か。珍しい学年だ。」

そう言って寮長は、自分の片胸辺りに手を当て、もう片方の手で指を鳴らした。

すると寮長の前にろうそくが現れた。

立夏 「これが私のろうそくだ。この火が消えるとこの世界から消えてしまい、来世で生まれ変わることは二度とできないと言い伝えられている。この世界に必要がないと判断されて火が消えるのは終業式の日だ。終業式の日に火が消える生徒の名前も発表され、火が消える生徒はその場で火が消されその場で消える。と言われているが、長年この学園にいて一度も見たことはない。だからそこまで心配する必要はない。」

俊 「そ、それ以外で火が消えることは?」

立夏 「…ある。獣に襲われて命を落とすものや保健委員会の手当では治らないほどの大怪我を負ってしまった場合など。その場合は、終業式を待たずして火が消え、その瞬間にこの世界から消える。」

俊 「…それは…見たことがありますか?」

立夏 「…ある。」

大講堂は静まり返り、寮長が咳払いをした。

立夏 「…話を変えよう。ほかの質問は?」

また誰も手を挙げず、俊君がまた手を挙げた。

立夏 「…はい、笹沼。」

俊 「火を見るにはどうしたら良いですか?」

立夏 「…自分のろうそくか?前は、私と同じように胸に手を当てて指を鳴らせば見えたんだが、今では寮長のみが使えるようになってる。その理由は…昔、ある生徒が自分のろうそくに見入って気を狂わせてしまったからだ。」

大講堂のあちらこちらから悲鳴やすすり泣きする声が聞こえた。

立夏 「落ち着け。下級生が獣と対峙することは滅多にないし、ろうそくの火は簡単には消えない。ほかの質問は?」

俊 「…で、では、昨日の寮分け。何によって寮が決まるんでしょうか。」

立夏 「寮分けか。寮はその人の特性を見て鏡が七つの寮のどれかに決める。だから、一つの寮に新入生が固まることもまれではない。今年も蓮寮と菫寮で新入生が比較的多いな。その人の特性とは、その人がどのような人間か。」

寮長は、ステージ上に掲げられていた幕を指した。

幕には、七つの花が書かれていた。

立夏 「気づいていると思うが、寮の名前は全て花の名前。それぞれの花言葉と寮生の特徴が合致していると言われている。昨日、自分の寮の寮長を見たと思うが今年の寮長は特に寮の特性を表す典型だと言われている。」

少しずつすすり泣く声が落ち着いてきて、寮長も少し安心したようだった。

晴樹 「ぼ、僕からも良いでしょうか?」

立夏 「あぁ。」

晴樹 「…獣とは一体…」

立夏 「新入生と同じように過去一年間に亡くなった人はもっと多くいる。ほかの人がどうなっているか分からないが、その中でも獣は罪を犯した人間、その罪を拭いきれなかった人間が成り代わったものだと言われている。罪というのは、前世で生きてきた中で悪いと言われていたこと全てを指す。」

俊 「…嘘を吐くこともですか?」

立夏 「あぁ。ほかにも、ほか人の悪口を言うことやほか人を傷つけることも。」

晴樹 「でも、そんなの誰しもしてしまうんじゃ…僕だって…」

立夏 「あぁ。それでも新入生はこの学園に送られてきたのだから、その分、どこかで良いことをして、罪を償ったことになっているんだ。」

俊 「…」

立夏 「…獣は、記憶は無くしているが私たちと同じように前世を生きた人間だ。簡単に倒せる相手ではないし、あちらは本能で私たちを排除しようとしてくる分、私たちよりも強い存在と言ってもいいかもしれない。情も何もない。特に、この時期の獣は気性が荒っぽく上級生でも対処しきれない獣もいる。森に入り獣と対峙しても無事に戻ってきた新入生がいるからと言って、獣を決して甘く見ないように。獣学一回目の授業ではより深く獣の実態について説明があるはずだ。…では、この場でほかに聞きたい質問が無ければ委員会の話をしたいと思うがどうだ?」

周りは皆キョロキョロしあっていた。

立夏 「ふふ。この学園の生徒は優しい者ばかりだ。ほかに分からないことがあれば寮長や上級生に聞いてみてくれ。では、委員会の話をする。あちらを見て。」

寮長は、時計を見つつ、壁を指差し、紐を引いた。

すると、七つの垂れ幕が下りてきて、それぞれに各委員会の名称、委員長の名前が習字で書かれていた。

立夏 「これが委員会一覧だ。仕事内容としては、各委員会委員長から仕事内容を聞いたところ、右から、薬草委員会が薬草小屋の手入れ、薬草の栽培等。用具委員会が用具の手入れ、学園の補修等。保健委員会が怪我人の手当、常備薬の創薬。火薬委員会が火薬倉庫の点検、火薬の管理。会計委員会が予算管理。生物委員会が生物の飼育。図書委員会が本の手入れ、図書室の管理だそうだ。自分の寮長が委員長を務める委員会を選んでもいいし、違う寮の寮長と関りを持つのも楽しいと思う。委員会は隔年、変更することも可能だ。直感で選んでくれ。」

寮長は、新入生の間に座って新入生を見ていて、話しかけられると新入生と楽しそうに話していた。

俊 「晴樹はどうする?」

晴樹 「僕は、寮長の委員会にするよ。」

俊 「火薬委員会か。面白そうだな。俺はどうしようかな。」

晴樹 「ほかの寮長の委員会も面白そうだよね。」

俊 「あぁ、それにほかの寮長とも関わってみたいし。薬草委員会にしようかな。委員長もしっかりしてるように見えたし。」

晴樹 「えっと、蘭寮の寮長か。」

俊 「そう。で、寮長に報告に行けば良いんだな。」

俊君と寮長のところに行くと、寮長はほかの生徒が報告しているのをメモしていた。

立夏 「次。笹沼と飛翔。二人は?」

俊 「俺が薬草委員会、晴樹が火薬委員会です。」

立夏 「分かった。」

俊 「人数、うまくばらけるんですか?」

立夏 「あぁ。上級生で調整するから心配しなくていい。新入生には好きな委員会に入ってもらいたいからな。」

全員の報告が終わると、寮長は時間割を配った。

立夏 「上級生になると、選択科目が増えるが下級生は基本的に全て必修だ。各寮ごとに時間割を決めている。新入生は明後日から授業を開始する。今日は現段階での体力測定を行う。部屋で着替えて校庭に集合してくれ。」

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