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あなたと生きた世界  作者: 仙夏
日和

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【主な登場人物一覧】

蘭寮   寮長:神楽凜(8) 副寮長:蒼井茜(7)

向日葵寮 寮長:阿久津陽向(8) 副寮長:日向悠人(7)

葵寮   寮長:優木澪(8) 副寮長:緑川颯(7)

菫寮   寮長:橘立夏(8) 副寮長:一条優(7)

蓮寮   寮長:水瀬莉(8) 副寮長:水瀬藍(8)

楓寮   寮長:星宮柊(8) 副寮長:黒川伊織(7)

蓬寮   寮長:桜庭海(8) 副寮長:一ノ瀬南海(7)


学園の生徒の学年は、1年生から8年生までで、上記の( )の中の数字がそれぞれの学年です。

寮長がだんだんと落ち着いてきて抱き上げて医務室に向かうと最上級生はまだ回復していないのに勢いよく僕らの元に集まった。

澪 「怪我しちゃった?」

優 「寮長に深い傷はありません。全員無事です。」

寮長を空いていたベッドに寝かせて布団を掛けた。

凜 「…立夏、泣いたのか?」

優 「…鳴海先輩に扮した獣とも戦って思い出してしまったようです。」

陽向 「…そうか。後は私たちに任せろ。」

優 「はい。学園の修復は私たちにお任せください。」

学園の窓や壊れた物品の修復を行い、夜になると最上級生も回復し寮長も復帰していた。

今夜は本物の獣を見て怖がってしまっている下級生も多く、全員で大講堂で眠ることになった。

皆が眠っている中、寮長たちは見回りをしながら起きていて、眠れなかったり泣き出してしまったりした生徒を連れ出して宥めに行っていた。

澪 「立夏。立夏はまだ回復し切っていないんだし休んでいて良いよ。」

陽向 「あぁ。私たちが後は引き受ける。」

立夏 「…では、少しだけ抜けても良いか?」

凜 「…一人で行くな。誰か連れて行け。」

立夏 「…分かった。」

寮長が僕の元に近づいているのが足音で分かった。

立夏 「…起きてるよな?」

優 「はい。」

起き上がって寮長と大講堂を抜けると寮長は何も言わずに鏡の部屋に向かった。

寮長は、鏡の部屋の前にある長椅子に腰掛け、僕も隣に座った。

立夏 「今日の戦い、見事だった。」

優 「っ、あ、ありがとうございます。」

立夏 「毒を使った戦い方をまだ教えていなかったのによくできたな。」

優 「寮長が前にやっていた規格外な戦い方を真似てみました。でも、寮長の方が見事でした。獣が消える時間を計算して獣に毒を仕込んだんですね。」

立夏 「副寮長たちも限界みたいだったからな。」

優 「…鳴海先輩に扮した獣だけには毒を仕込まず、刀で挑むところもあなたらしいです。」

立夏 「…ふふ。そうじゃないと納得できないから。」

優 「えぇ。とても格好良いと思います。」

立夏 「…一条は良いリーダーになる。そういう素質がある。今日の戦闘でそう感じた。」

優 「そ、そうでしょうか。私は全く寮長に及ばないです。」

立夏 「まぁ、弱い部分もあるな。突発的な危機に陥った際の判断力とか。」

優 「っ…今日の一件で重々感じました。」

立夏 「今年は異常事態が多すぎる。雨が降ったのも何年振りだったか。今年はその弱点を克服できるかもな。」

優 「今年はひやひやさせられすぎてますし、もう十分です。」

立夏 「ふっ、そうだな。寮対抗戦も控えているし、来年も代表寮にしても問題なさそうだし。」

優 「っ、それって…」

立夏 「私がいなくても一条は代表寮の寮長として立派にやれると思う。」

優 「…ふふ。あなたが卒業する気満々でうれしいです。」

立夏 「今年こそ卒業したいな。この数か月だけでどれだけ獣を倒したことか。」

優 「そうですね。その前に鏡の謎を解きたいところですが…」

立夏 「柊によれば、前に前世の鏡が変わったのは十数年前。一人の生徒の弟がこの世界に来たときに鏡に映る前世が変わったことがあるみたいだ。」

優 「というと、兄弟がこの世界に揃ったとき…ということですか?」

立夏 「あぁ。」

優 「この学園での兄弟と言えば、蓮寮の水瀬莉先輩と藍先輩ですがお二人はどうなんでしょうか?」

立夏 「…あの二人も私と同様に生まれてすぐに亡くなっているからな。双子で一緒に亡くなっているし、鏡の内容も同じだと言っていた。少し、視点が異なるくらいの違いらしい。」

優 「そうなんですね…もし、兄弟がこの世界に揃ったときに鏡に映る前世が変わるとしたら…今年の新入生に寮長の姉弟がいるってことでしょうか。」

立夏 「…柊と話していて私も同じ結論に辿り着いた。」

優 「探してみましょうか?」

立夏 「…分かりっこないよ。私は生きていないのと同じようなものだったから。」

優 「っ…そんなことはないです。寮長は…」

急に足音が聞こえて寮長は階段を覗いた。

立夏 「澪。」

澪 「立夏、ここにいたんだね。菫寮の笹沼君が目を覚ましちゃって。」

寮長の隣で階段を覗くと、優木先輩の後ろに笹沼俊がいた。

立夏 「ありがとう。私が引き受ける。」

澪 「分かった。頼んだよ。」

優木先輩が行くと僕は笹沼を寮長と自分の間に座らせて長椅子に腰掛けた。

俊 「すみません…」

立夏 「…今日は雨だったからな。」

俊 「っ、はい…」

笹沼俊…雨の日に交通事故に遭い亡くなっている…

立夏 「…お母様も交通事故で亡くしているな。」

俊 「そ、そんなことまで知ってるんですか?」

立夏 「大体のことは把握している。弟たちの母親代わりをしていたみたいだな。」

俊 「はい…母さんと同じように弟たちを置いていってしまいました…」

立夏 「…」

俊 「…あの、前に亡くなった家族がこの世界にいる可能性もあるのでしょうか?」

立夏 「…この学園で兄弟が揃ったという話はあるが、そのほかは滅多に聞かない。前にほかの家族を探して彷徨い続けた生徒もいたという噂もある。」

俊 「あっ、もしかして学園の七不思議ですか?」

立夏 「知ってるのか?」

俊 「上級生が話しているのを聞きました。ってか、お化けの話もするんですね。ほかの下級生に言ったら怖がりそうなもんですけど。」

立夏 「笹沼には子供騙しは聞かないと分かっているからな。いつも母親代わりをしてほかを達観している笹沼とは真っ向からぶつからないと。」

俊 「…ふっ、さすがです。…母さんは前世で使命を果たしきったんでしょうか。」

立夏 「…それは分からないが、幼い子どもを残して亡くなって悔やんでいただろうな。責任感が人一倍強くて優しい長男がいれば尚更。」

俊 「…俺ですか?」

立夏 「あぁ。ほかの一年生のことも良く見てくれてる。」

俊 「あなたには敵いませんよ。目が八つくらいあるんじゃないかっていう噂もあります。」

立夏 「それは聞いたことない噂だな。」

俊 「ふふ、今、俺が作りました。ふぅ、何だか安心してきました。ありがとうございます。」

立夏 「いいや。大講堂まで送ろう。」

笹沼は回復し切っていない寮長の手を握りながら寮長の様子を見つつ階段を降りていた。

大講堂に到着すると別の菫寮の生徒が出てきた。

菫寮寮生 「寮長…」

立夏 「一条。笹沼を頼む。」

優 「はい。」

寮長がその寮生を連れて行ってしまうと、僕は笹沼と大講堂に入った。

俊 「あの人、すごいですね。」

優 「僕らの寮長だからね。」

俊 「俺、菫寮で良かったです。」

優 「ふふ、今度寮長にも言ってあげて。おやすみ。」

俊 「はい。おやすみなさい。」

笹沼が行くとステージ側で優木先輩が僕を手招きしていた。

ステージ側に向かい、優木先輩と神楽先輩の前に行った。

澪 「大丈夫だった?立夏。」

優 「えぇ、落ち着いているようでした。」

凜 「そうか。助かった。」

優 「先輩方のおかげです。寮長を気に掛けてくださってありがとうございます。」

澪 「…ふふ、一条、何かあった?」

優 「えっ?」

凜 「良い顔してる。頼れる副寮長だな。」

優 「か、からかうのは止めてください。」

澪 「今日の戦闘もすごかったみたいだね。」

優 「寮長が言ったんですか?」

凜 「茜たちが自慢話のように話していた。目が格好良かったそうだ。」

優 「目、ですか?」

澪 「立夏も目が変わるんだよ。誰かを守らないといけないときは特に。今度、一条と戦えるの楽しみだね。」

凜 「あぁ。寮対抗戦も楽しみにしている。」

優 「は、はい。」

寮長が戻ってくると僕は布団に戻って眠りについた。

次の日から、僕と寮長の特訓は毒を扱った戦い方がメインになった。

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