表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪談集め あなたの怖い話  作者: バナナ男さん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/25

22 青いトイレ

これは自分の体験したちょっとした不思議な出来事と、それから導かれた考察の一つの話。


まず一つ目。

昔住んでいた実家での話。


実家には昔、末期ガンに苦しんでいた犬がいて、常に一階の部屋の一室は、その犬が吐く血で常に汚れていた。

子供心に可哀想で可哀想で見ていられなかったが、高齢だったので手術もできない。

見守るしかない中、最後はお盆の送り火(8話にて)の次の日に死んでしまったのだが、それからずっと一階にはその時に吐き続けた血の匂いがこびり付いて離れることはなかった。


そして月日は流れ、二十年以上の時が流れたその家は、父と祖母のせいでゴミ屋敷に。

最終的にゴミは不用品回収に撤去してもらい、フルリフォームして売り出す事にした。


もちろんそのままでは売りになど出せないので、壁紙も床の板も全て壊して新しい素材へ。

全く別の家になってしまった家を見て、少々複雑な思いはあったが、まるで新築の様になった家に、今までの家にまつわる嫌な思い出が浄化された様な気がした。


「うわぁ〜……本当に別物じゃん。」


弟と一緒に内見をしていると、弟はかつて自分の部屋があった三階へ行き、俺はなんとなく一階をウロウロしていたのだが……突然妙な匂いが鼻につく。


「……ん?……??えっ、なんだ?この匂い……?」


どこかで嗅いだ匂いな気がして……少し考え込んだ後、フッと思い出した。


犬の毛と……血の匂いだ。

あの時のまま。


過去に嗅いだ覚えのある匂いに、急いで弟を一階に呼んで確認してもらったが、そんな匂いはしないという。


「そんなはずないって。確かに……。」


「?でも、全然そんな匂いしねぇよ。新築の木の匂いしか俺には匂わない。」


クンクンと匂いを嗅ぎ回る弟に続いて俺も同じ様に匂いを嗅いだが、確かにもうそんな匂いはしなかった。

その後、無事売りに出した家だが、今のところは全く苦情らしきモノは上がっていないので、本当にあの時だけだった様だ。



二つ目の話は、高校の時に使っていたトイレについてなのだが……。

確か二年生になった時に使っていたトイレなのだが、個室は3つあった。

どれも白い色のスタンダード様式トイレで、どこでも見る様なありふれたデザインのモノだった────が、何故か一番奥のトイレだけいつも使用禁止の張り紙が貼られていた。


壊れているのか?

俺と同じくそう思った、当時の友人と共にドアを開けてみることにしたのだ。

休み時間、他数人のクラスメイト達も一緒に来てくれて、固唾を呑んで後ろで見守る。 


「なんかさ、よく見たらこのドアだけ古くね?

色が白じゃなくて、ちょっと黄ばんでるし……。」


「確かに……。でもなんでこのドアだけ?他の2つだけ新しくして、3つ目の扉だけ変えないとか、今わかんなくないか?」


後ろではあーだこーだと、色んな考察が飛び交う中、俺は『使用禁止』と書かれている紙を見た。


紙は所々茶色く変色しており、最近貼られたものではなさそう。

簡素にサインペンで書かれた文字はそんなに綺麗な文字ではないので、多分先生が下書き無しで書いたんだろうなっていう出来。

多分他2つのトイレがなければ、そこまで気になる所はないと思う。


「…………あ、開けるぞ。」


友人が恐る恐るドアに手を当てて押すと、鍵は掛かっておらず、ゆっくりと開いていった。


ギギギィィィ────……。


動き自体はスムーズではなくて、軋むような音がする。

それに少しドキッとしたが、それ以上に驚いたモノが中に見えたので、息が一瞬止まった。


「えっ?青い……トイレ??」


中に静かに設置されていたのは、薄い青色をした洋式のトイレだ。


確かに昔は女子トイレは薄いピンク色の便器、そして男子トイレは青色の便器────というトイレはたまにあったが、それにしても他の便器が白色なのに、奥の一つだけ青色っていうのは……。


「「「…………。」」」


この時、すっかり全員がその異様な光景に引いてしまい、友人は静かにドアを押していた手を離す。

そして直ぐにその場から撤退することにしたのだが、俺はその時そのトイレから妙な匂いを感じた。


なんというか……蚊取り線香?に似ている匂い。


ホントに一瞬だったから、もしかして風に乗ってたまたまトイレに辿り着いた匂いがたまたま鼻に入っただけかもしれない。

ただ、まだ蚊取り線香を出すには早い時期だったので違和感はあったが……。


その後、いろんな先生にそのトイレについて聞いてみたが、誰も知らないというし、青色をしている便器の存在自体知らないと言う先生ばかりだった。

しかし、たまに蚊取り線香の様な匂いがする事はあるらしく、密かに香取のトイレと呼んでいたのだが、ある田舎に実家がある先輩がその匂いを体験した時こう言っていたらしい。


『もしかして、この匂いって、<もみ殻>の匂いかも。』と。


もみ殻とは、その先輩の実家にて、作物の収穫後に畑を焼いた匂いらしく、ちょっと蚊取り線香と匂いが似ているらしい。

それが本当なら、何で周りに畑がない高校にそんな匂いがするのか不明だが……当時の部活のOBに尋ねてみた所、一つだけ妙なモノを見たという話を聞いた。


「確か……なんか黄色いスライムみたいな……ゼリーみたいな?そんなのがドロッとトイレから這い出てきたとかなんとか。」


「……へぇ〜。」


それを聞くと、昔使った緊急用トイレ(おしっこを入れると黄色いゼリーになって固まるヤツ)を思い出して怖さが吹き飛び、今ではすっかり緊急用トイレの不思議な話として記憶に残っている。


結論として、この二つの話で気付いた事は、『もしかしてお化けって匂いがあるかも?』だ。

しかし、無臭の時もあるので共通してはいないが……とりあえず、嗅ぎ慣れない匂いがする場所にはあまり近づかない方がいいかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ