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 その後も迫り来るスノームササニャーやユキホッピー、それにホワイトダヴォルにアイシクルクォール、フリーズンドールを相手にどんどんと先へと進んでいく。

 ホワイトダヴォルはクルルの森にもいたダヴォルの亜種で、真っ白の体毛が完全に保護色となってパッと見では判断つかないようになっている。更に死角から二匹目が襲い掛かってくるので厄介度が上がっている。

 アイシクルクォールもクルルの森にいたクォールの亜種だ。雪道に穴を掘って待ち構え、穴の底に氷筍を設置して落ちてきた相手を串刺しにしてくる。こちらの穴も蓋がされて見分けがつかない。ほんの僅かに盛り上がっているか? と言った感じだ。こうも視界が悪いと、それこそあと一歩と言う所で漸く気付くレベルだ。

 フリーズンドールは氷と雪で出来た動く人形だ。かたかたと音を鳴らしながら近づいて来て、腕でぶん殴ってきたり、氷魔法で攻撃してきたりする。厄介度はそこまでではないな。音で気付くし、何より攻撃パターンが分かりやすいからな。まぁ、氷故に硬くて少し倒すのに手間取るが。

 この雪原では特に注意する必要があるのがホワイトダヴォルにアイシクルクォール。続いて飛来してくるスノームササニャー。特に注意しなくてもいいのがユキホッピーとフリーズンドールだ。

 視界も悪く、何処まで道が続いているのか分からないので流石に一日ではエリアボスへと辿り着く事も出来ない。雪原進出初日は主に雪道での戦闘に慣れる事に重きを置いた。

 最初の方は雪は柔らかかったが、奥に進む毎に硬くて滑りやすかったり、水分が多く一度足を踏み入れたら全く身動きが取れなくなったりと場所によって全く異なる雪質の足元に悪戦苦闘する事になった。

 初日からの教訓で、かんじきは必要だという事になり、次の日からサクラとアケビが作ったかんじきを履いて雪原エリアを進んだ。

 やはり、あるのとないのとでは断然変わってくる。かんじきを履いた方が雪に埋もれる事も無く、スムーズに進む事が出来た。反面、雪に沈まない為に靴裏の面積がどうしても大きくなるので戦闘では足さばきを少し変えなければいけなくなったが。

 あと、荒業としてソリを作成し、それをグラゥやグリンにくくりつけて運んでもらったりもした。グラゥ達は雪道でも普通の道を歩むが如く普通に進み、距離を稼ぐ事が出来た。

 ソリに引かれながら進んでいく最中に出現したモンスターはグラゥやグリンに轢かれたり、ソリの上から魔法や遠距離攻撃で屠られたりで、特に苦戦する事はなかった。まぁ、ホワイトダヴォルがソリに乗り込んで来た時はびっくりした。もっとも、即行で蹴り落としたが。

 かれこれ四日が経過し、かんじきを履いて進んだり、ソリに乗って進んだりして雪原エリアの攻略も結構進んだ。時折見かける他のプレイヤーもやはり歩きやすいようにかんじきとかスキー板を履いてたり、スノーボードで滑走してたりしていた。やはり、考える事は似通っているのだろう。

 特に印象深かったのが、トナカイのようなパートナーにソリを引かせていたプレイヤーだ。そのプレイヤーの服装がまんまサンタクロースだった。しかもクリスマスソングを口ずさみながら。今はまだ春なんだけどな。まぁ、気分の問題だったんだろう。

 レベルの方も随分と上がり、俺は63、サクラは57、アケビは60だ。このまま順調にレベルを上げて行けば一応雪原エリアのボス――ビッグフッティ相手には戦えるだろう。確かウィキには適性レベル65前後と記載されていたし。

 また、エリアボスの待ち構える場所へと向かうには、クルルの森同様に中ボスを倒さなければならないらしい。

 中ボスはアブソリュードールという巨大なフリーズンドールらしい。ある場所で待ち構えていたアングールと違い、フィールドを徘徊しているらしい。ツバキ曰く十倍もある巨体で、攻撃する毎に雪が舞いあがって視界がかなり悪くなるらしい。

 あと、戦う場所が悪ければ雪崩が発生して巻き込まれるとか。雪原エリアは基本的に平地だが、端の方では雪山が存在しているらしく、その近くでの戦闘となった場合、雪崩を覚悟しなければならないそうだ。

 アブソリュードールとエンカウントするには視界が悪くなる方へと進み続ける必要があるらしい。視界が雪で見えなくなる程、アブソリュードールに近付いているらしく、視界がほぼ白一色に染まるとエンカウントする仕組みになっているとか。

 因みに、フィールドを徘徊している際は物凄く静かに移動しているので振動や音を頼りに遭遇する事は出来ないそうだ。かなりの巨体で音を立てずに移動するって、いったいどうやっているのか? 実は浮いて移動してるとか?

 で、アブソリュードールを倒すとビッグフッティのいる場所へと向かう事が出来る氷の船に乗る事が出来るようになるとか。何でもその氷の船はアブソリュードールが変形したものらしく、一度アブソリュードールを倒せば二回目以降は戦闘を介さずとも氷の船へと変形させてビッグフッティの所へと向かえるようになるらしい。

 と言う訳で、そろそろアブソリュードールと戦っても大丈夫だろうと思い、現在雪で視界の悪くなる方へと進んでいる最中だ。

 向こうも一所に留まっている訳ではないので、悪くなる方へと進んでいた筈が何時の間にか視界が良くなって来たりする事も何度かあった。

 今は順調に視界が悪くなる方へと向かう事が出来ている。このまま進んで行けば、アブソリュードールと相対する事が出来る筈だ。

 戦力を温存する為に、グラゥやグリンにソリを引いては貰わず、かんじきを履いて己の足で進んでいる。巨体相手だと空を飛べる二匹の攻撃は有効だろう。まぁ、豪雪の中でも飛べるなら、だが。

 それを抜きにしても単純な攻撃力は俺達よりも上だからな。硬い相手に有効打を与えられるのだから召喚時間は最大値の状態で挑みたい。

 視界が殆ど白に染まると、ずしんと言う音を響かせ、目の前に巨大な氷の人形が降り立った。あ、やはり飛んでたのかアブソリュードール。

 アブソリュードールが地面に降り立つと視界がある程度良くなる。それでも数メートル先まで見える程度だが。

 さて、ではアブソリュードールが現れたのだから、さっさと戦闘に入るとしよう。

「行くぞ」

「はいっ」

「うん」

 俺とアケビはアブソリュードールへと駆け出し、サクラはその場に残って魔法による遠距離攻撃を行う。ファフィーはサクラの護衛として近くに待機する……が、どう言う訳かとても険しい顔をしているではないか?

「ん?」

「あ」

 一体どうしたのだろうか? と俺とアケビはファフィーが目を向けている方へと視線を動かす。そこには、少し離れた所から同じように駆け出したプレイヤーがいた。どうやら俺達と同じようにアブソリュードールを探して彷徨っていたらしい。

 で、俺とアケビはそいつと目が合った。合ってしまった。

 そいつは………………………………変態コート女だった。


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