4連続模擬戦(13)
今の状態では打開策がうかばない。
だから、あれを試してみよう。
レイは降り下ろした槍を元の位置に戻した。
「どうだ? これで威力と性能が分かっただろう」
「あぁ」
最悪な武器であることは分かったよ。
だけどな、そういうのを攻略してこそ面白いんだろうが。
セイヤの口が自然と緩む。
そんなセイヤを見て、レイも口を緩ませる。
「あれを見てまだ諦めてないか。つくづく面白い奴だ。……もっと楽しませてみろ」
レイが槍の刃先をセイヤに向けてニヤリと笑った。
「やってやるよ」
セイヤも剣を構えて答えた。
こちらから動いたらダメだ。
アイツの動きを一瞬足りとも目を離してはダメだ。
アイツの攻撃を一回でも受けたらダメだ。
……こんな条件で戦うなんて不利過ぎるだろ。
でも……今の俺はスゴく楽しんでいる。
楽しい。最高に楽しい!
だからこそ、絶対に負けたくない!
「はぁ!」
セイヤの思いが通じたのか、レイが攻撃してきた。
得意の突きをやってくる。
来るッ!
あれを試すチャンスだ!
「『影盾』!」
セイヤの目の前の地面から壁が現れた。
「またそれか!」
レイの槍は軽々とシールドを貫いた。
シールドが雪の結晶へと変化していく。
セイヤはシールドという壁のおかげで余裕で回避している。
しかし、その顔には汗が伝っていた。
あれは失敗か。
あの槍でも能力までは雪の結晶に出来ないと思ってたんだが、どうやらダメだったようだな。
……つくづく追い詰められているな。
何かないか?
アイツの動きを思い出せ。
……ダメだ。アイツの突きをどうすることも出来ない。
……突きを? なら突き以外なら。
……いけるかもしれない。
これしかないようだな。
ならあれが来るまで耐えるしかないってことか。
……楽しくなってきたな!
こうしてセイヤの回避だけを頑張る時間が始まるのだった。
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