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4連続模擬戦(9)

 ちゃんとした勝負が始まった。


 今度はレイも真剣な表情をしている。


「行くぞ」


 そう言ってレイは左手の平をこちらに向けてきた。

 右手はレイピアを持っている。


 なぜ手のひらを……。

 しかし、レイのことだ。何かあるんだろう。警戒するに越したことはない。


 みるみるとレイの左手へと白い煙のようなものが集まっていっている。

 そしてそれは、どんどん形を帯びていき、終には塊になっていた。


 あれは、


「……氷?」


 さっきの白い煙のようなものが氷になっていた。

 塊はバスケットボールくらいの大きさだ。


 そう言えば自己紹介の時に水系統って言ってたっけ。

 ……

 まるでさっきのリュカとの模擬戦のファイヤーボールみたいだな。

 ハハハッ!……ヤバそうだなッ!


 セイヤが逃げ出そうとする。

 

 しかし、時すでに遅し。


「『アイスボール』!」


 レイの左手からアイスボールが放たれた。


 速度はファイヤーボールと同じか少し遅いくらいだ。


「よっと!」


 セイヤは余裕を持ってそれをかわす。

 

 そしてアイスボールが地面に着弾した。


 パキパキパキ!


 着弾した地面が一瞬で凍ってしまった。


「……」


 あれは当たるとダメなヤツだな。

 ……えげつないだろ。


「以前リュカのファイヤーボールを参考にして作った物だ。どうだったかな?」


 リュカのを……どえりで似てると思ったよ。


「こっちの方がエグいな」


 セイヤは苦笑いしながら答えた。


「そうかそうか。リュカ程の早さは無理だが連発も出来るぞ。思う存分味わってくれ」


 レイは非常に楽しそうな顔をしながら左手を向けてきた。


「それは遠慮したいね」


 ホントに嫌だなという気持ちを込めて言ってみたが……


「遠慮するな。『アイスボール』」


 無駄だったみたいだね!


 さっきより早くアイスボールが作られ、放たれた。


「あぶな!?」


 セイヤはすれすれで回避出来た。


 ちょっと制服が凍っちまったよ。


 それにしてもあの野郎! 野郎じゃないけど。

 一回目のアイスボールわざとゆっくり作りやがったな!

 あのせいでちょっと反応が遅れちまったよ。

 

 ……アイツ絶対性格悪いな。


「さぁどんどん行くぞ。『アイスボール』『アイスボール』『アイスボール』『アイスボール』…」


 レイは次々とアイスボールを放ってくる。


「ぎゃぁー」


 セイヤは悲鳴を上げながらもきっちりと避けていく。


 まださっきのリュカのより遅いから余裕があるな。


 ……しかし、俺の後ろがヤバい事になってるな。


 何発も撃たれた事で地面が凍り付けになっていた。


 アイススケートでもしろってか?


 これは早々に何とかしないとな。

 じゃないとステージ全部が凍り付けになるからな。


「『アイスボール』『アイスボール』『アイスボール』『アイスボール』『アイスボール』……」


 まだまだ撃ってくる。


 これはもうさっきリュカにしたのと同じ作戦かな。

 ちょっと変えはするけど。


 じゃあ早速やろう!

 このステージを守るために! ……なんちゃって。

評価よろしくお願いします!

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