ローブの変化
いったい何回影剣を出しては消す作業をしただろう。
こんな俺をロイはなにやってるんだという目で見てくる。
あと何回だ?
(『ステータス』)
セイヤ・カゲノ 16才 異世界転生者
武器:ダークブリンガー
防具:Aランクローブ(86%)
魔法:使用不可
能力:【影】(4%)
【影伸縮】
【影離】
もうこんなにやってたか。
道理で疲れるわけだ。
「あ、あの……なにやってるんすか」
ロイが弱々しく聞いてきた。
遂に聞いてきたか。
というか何でこんなに弱々しいんだ?
……あぁ、こんな姿で意味不明な行動をしていればそうもなるか。
「このローブが変化するように能力を使ってるんだ」
特に理由も思いつかなかったから普通に言う。
「……ホントに変化するんすか?」
ロイが怪しそうに言ってきた。
あ、コイツ信じてないな。
まぁ、しょうがないよな。
ロイは俺と違ってステータスが見れないんだし。
「まぁいつかは変化するだろう」
会話しながらも影剣を出しては消す。
後7回。
「ロイは俺に付き合う必要はない。どこかへ行ってもいいぞ」
俺の言葉でロイが急に笑顔になる。
「マジっすか? いや~実は用事があったんでどうしようかと思ってたんすよ~」
「じゃあお先に失礼するっす」
ロイはそう言ってあっという間に中庭を出ていってしまった。
あまりの早さに俺は唖然としていた。
「……アイツ」
ホントに帰りやがった。
ちょっと腹立つな。
……まぁいい。逆にこれ以上能力を見られなくてすむからな。
「後3回」
いよいよここまできた。
「後1回」
ラストだ。
俺はゴクリと喉を鳴らした。
これでローブに変化が起こる。
良い変化か悪い変化か。
試してみないと分からない。
俺は深呼吸をする。
「よし! 『影剣』!」
その言葉を言うと同時に、ローブが黒く光はじめた。
・
・
・
黒い光は5秒くらいで収まった。
俺はローブを見てみた。
「前より影と近い色になったな」
俺が能力で使う時の影とほとんどの同じ色になった。
それ以外に見た目の変化はない。
でも、やっぱり変化したんだ。
「さて、中身はどう変わったかな? 『ステータス』」
セイヤ・カゲノ 16才 異世界転生者
武器:ダークブリンガー
防具:陰影のローブ
魔法:使用不可
能力:【影】(4%)
【影伸縮】
【影離】
Aランクローブが陰影のローブへと変化していた。
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