防具を買う(2)
防具屋でたまたま出会ったロイと何故か一緒に防具を選ぶ事になった。
どうしてこうなった?
「それで兄貴はどんな防具が欲しいんすか?」
そんな俺の気持ちなど知らず、ロイがニコニコしながら聞いてきた。
「え~と、軽くて丈夫なやつなら何でもいいかな」
「なるほどっす! 兄貴のあの変幻自在の動きを邪魔しない重さってことっすね」
……良く分かってるな。
基本ダメージを受けない事を前提にした動きをするから、重い防具は俺とは相性が悪いんだよな。……多分。
「でも兄貴、何でもはダメっよ。やっぱり自分にあった防具を見つけないと」
……何でだろう。
ロイがまともな事を言うと心底驚いてしまった。
やはり少しバカっぽいところがあるからだろうか。
「そうだな。でも俺にあった防具って何だろう?」
今まで防具を選ぶなんてゲームでしたぐらいだ。だがここは現実だ。どう選んでいいかまったく分からん。
「そういうことはプロに任せるんすよ。……おやっさーん! お客さんだよー」
ロイがいきなり店の奥に向かって大声をあげ始めた。
「おやっさー「うるせぇーな! 聞こえてるんだよ!」」
すると、店の奥からスキンヘッドの大男が現れた。
「誰だ大声だしてんのは? ってロイか。お前はもうちょっと静かにできんのか」
大男がロイを見てため息をつき始めた。
……分かるよおやっさん。
俺もその気持ちを何回も味わってきたから。あのバカのせいでお互い苦労してんだな。
「そんなことは今はどうでもいいっす! それよりお客が来てるって言ってるっすよ」
おやっさんの注意などまったく聞いてないロイが話を進め始めた。
「はぁ……お客さんっていうのはそこにいるなよっとした奴のことか?」
大男が俺を指差しながら言ってきた。
……おやっさん、さっきの俺の感動を返してくれよ。
確かに前の世界ではなよっとしてたよ。でも今の世界だとなよっとはしてないでしょ!
確かにおやっさんと比べるとなよっとしてるけど、おやっさんと比べると世界中の大体がなよっとしてることになるよ!
「おやっさん失礼っすよ! この人は前に言った期待の編入生っすよ!」
……ロイ、お前前にも俺の事をおやっさんに話したのか?
勘弁してくれよ。そんな人に言う事でもないだろう。
「ほぉ、コイツが前に言ってたワイバーンに一撃入れたってやつか」
「それだけじゃないっすよ! この前なんて先生に模擬戦で勝ってたっすよ!」
「ほぉ、あの学園の先生に模擬戦でも勝てるだけの腕があると……いいだろう、どんな防具が欲しいんだ?」
なんか知らないうちに話がまとまったようだな。
さて、ようやく防具を選ぶことができるのか。
こうして3人は防具のことを話し出すのだった。
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