模擬戦(3)
生徒達の模擬戦は終了した。
「次は俺と編入生だ。編入生、ステージに上がれ」
「はい」
俺は両手に木製の剣をぶら下げながらステージに上がった。
先生も俺の後に続いてステージに上がった。
先生は片手剣を使っている。
「あれ? アイツって剣を二本も使ってたっけ」
「いや、編入試験の時は真っ黒い片手剣しか使ってなかったぞ」
「だとしたら今回が初めてか?」
「まぁ、見てたら分かる」
「そうだな」
生徒達がコソコソと何かを言っている。
俺は特に気にすることなく、正面にいる先生を見ている。
「ホントに二刀流でいくのか?」
先生にまで心配されたようだ。
俺が二刀流をするとそこまで言われるのか。
それとも二刀流が難しいから言っているのか。
俺としては後者の方が嬉しいんだが。
「二刀流でいきますよ」
ハッキリと答える。
「そうか……じゃあルールを説明するぞ。相手に参ったと言わせるか場外、ステージの外の地面に足をついたら負けだ。いいな?」
「大丈夫です」
ルールが単純でいいな。
さて、先生がどれだけ強いのか見ものだな。
「じゃあ始める。かかってこい」
どうやら俺に先攻を譲ってくれるようだ。
なめやがって。
その余裕を剥がしてやるよ!
「そんじゃあお言葉に甘えて!」
一気に先生へと走り寄る。
普通の人を軽く超える速度で先生に近寄る。
しかし、先生も目で追いかけてくる。
「ふっ!」
剣を振る。
カンッ!
しかし、軽々と受け止められてしまう。
やっぱり止められるか。
ならこれでどうだ!
「…む」
両手の剣を交互に物凄いスピードで振るう。
カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!……
いったい何回剣を振るっただろう。
その全てを止められてしまう。
やっぱり強い。
今の俺じゃあまだ敵わないな。
でも、諦める訳にはいかない。
それに今、物凄く楽しいしな。
「そろそろ俺も攻めさせてもらうぞ」
「え?」
その言葉を理解する前に俺は投げ飛ばされていた。
先生が余った左手を使って俺を投げたようだ。
このままでは場外になってしまう。
というかもうステージの上を通過しているから場外だろう。
…
…
…
「いや、まだだ!」
空中で体勢を整える。
そして左手に持った剣を地面に向け
「おりゃあ!」
放り投げた。
ここの地面は土で出来ているから剣が突き刺さる。
俺はそこを目掛けて着地し、それと同時に先生の方へと飛んだ。
先生へと一直線に飛んでいく。
「!?」
これには流石の先生でも驚いているようだ。
しかし、直ぐに落ち着きを戻し、剣を構えている。
どんどん先生との距離が短くなっていく。
しかし、普通の剣では先生には通用しないだろう。
だから俺は敢えて先生の前の地面に剣を突き立てる。
「おら!」
そして、その剣を中心にして蹴りを放った。
先生のガードをしていなかった脇腹を思いっきり蹴って、先生を吹き飛ばした。
先生は場外へと吹っ飛んでいった。
これで俺の勝ちだ。
生徒達もみな口を半開きにしポカンとしている。
少しズルっぽかった気もするが勝利は勝利だ。
俺は小さくガッツポーズをするのだった。
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