編入試験(2)
編入試験のゴングが鳴り響く。
とりあえず逃げさせてもら、
「ガア"ア"ア"ァー」
ワイバーンが猛スピードで突っ込んでくる。
ヤバい!
体が反応できない。
まだ、もらった体だから目は追いつくけど、あの巨体でこの速さは反則だろう。
しかし、一撃でノックアウトは嫌だ。恥ずかしい。だからなんとかしよう。
でも、あのスピードでは体は動かない。
という事は能力に頼らざるおえない。
しかし、あのスピードで突っ込まれればシールドもただの紙切れだろう。
他の技でもアイツを止めることは出来ない。
だったら止める必要はない!
(『影押し《プッシュ》』! 俺を上げろー!)
俺の足元にあった影が俺を押し上げるように勢いよく現れた。
俺はその反動で空高く宙に浮いた。
踏み台として現れた影はワイバーンが突っ込んでいき、呆気なく消えていった。
とりあえずは避けることができた。
……はぁ、一撃でこんなに神経使うとかしんどすぎるだろ。
『む、これを避けるとはさすがじゃな』
ニーナが何か言っている。
しかし、セイヤの耳には入らない。
上に逃げたのは失敗だったか。
次の攻撃を避けられるかどうか……。
……よし、こうなったら攻撃してみるか。
あの固そうな鱗を貫いてダメージを与えることが果たして出来るのやら。
まぁ、やってみる価値はあるだろう。どうせ死なないんだ、死ぬ気でやってやるよ。
「『影足場』 もっと速く!」
空中で足場を出し、下に向かってジャンプする。
この時にワイバーンの真上へくるように調整する。
ダークブリンガーは既に抜いてある。
落下速度と下へのジャンプ、そして狙いは鱗と鱗の隙間。
さっきのワイバーンと同じくらいの速さとなる。
俺は弾丸のような速さでワイバーンに接近する。
「うらぁ!」
勢いよく鱗と鱗の隙間へと剣を突き刺した。
「ギャアァァァァ!!」
ワイバーンが暴れだす。
振り落とされないようにするだけで精一杯だった。
『そこまでじゃ! 勝者は編入生じゃ!』
誰もが口を半開きにし、驚いて声も出せていなかった。
『うむ、さすが我の選んだ奴じゃ』
ニーナが自慢げに言っている。
「そんな事より早くこいつを止めろよ!」
俺の声を聞いてか、何人かの人でワイバーンを連れていってくれた。
はぁ、死ぬかと思った。
たった10秒にも満たない戦いが俺には何時間にも感じられたよ。
『それでは改めて……勝者セイヤよ、我が学園へようこそなのじゃ!』
観客達も拍手してくれている。
恥ずかしいが、ここから始まるんだ。俺の学園生活が。
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