依頼達成!
30分もせずに王都には着くことができた。
依頼を受けてからは3時間も経っていなかった。
俺は、森を教えてくれた門番に礼を言いながら中に入った。
王都は相変わらず賑わっているようだ。
「さて、ギルドへ行って、ちゃちゃっと依頼を終わらせよ」
ギルドへと足を運んだ。
◆
ギルドへ着く。
お昼頃に来たときとは違って、人が少なくなっていた。
そんなこと気にせず、一直線にハクさんのカウンターへと向かった。
「ただいまハクさん」
カウンターのハクさんへと挨拶をする。
遠くから見ていたから、俺が現れた事にも驚くことはなかった。
「お帰りなさい。早かったですね」
俺がこんなに早く帰ってきたのを不思議に思っているんだろう。
「うん、ゴブリン達が思いの外強くてね。今日はこれでいいかと思ったんだよ」
そう言って、ゴブリンの耳が入った袋をカウンターの上に置いた。
「ゴブリンが強い……どんなふうに強いんですか」
少し真剣な表情のハクさんが聞いてきた。
う~ん、どんなふうにかぁ。
「う~ん、しいて言えば団結力とかチームワークがあったかな」
俺の思ったありのままを伝えてみた。
「団結力、チームワーク。少し袋を見せてもらいますね」
ハクさんがごそごそと袋から耳を取りだし、観察し始めた。
「なるほど、分かりました」
ハクさんがそう言ったのは観察し始めてから5分ほど経ってのことだった。
「分かったってどういうことです?」
ハクさんの言葉の意味がよく分からなかったので聞き返した。
「セイヤさんが戦ったゴブリンが強かった訳が分かりました」
え?
俺が弱かったり、ゴブリン達の団結力があったからじゃないのか?
「えぇ、ゴブリン程度のモンスターが団結するほど知能を持っていませんし、セイヤさんも弱いようには見えません」
そう言ってくれると助かります!
「何故かと言うと、ゴブリンの中に1匹だけゴブリンリーダーがいたからです」
ゴブリンリーダー?
ゴブリンのリーダー。
あぁ、そういえばそんなのも(ラノベ)にいたなぁ。
「ゴブリンリーダーは見た目はただのゴブリンですが、頭が人間と同じ位賢いので、ゴブリンの1つ上のランクのEランクに位置付けられています」
道理で強かった訳だ。
……ん? Eランク?
もしかして、俺の能力の%が上がったのってアイツのおかげか?
それが正しいならレベルアップの条件はEランク以上のモンスターってことになるのか。
でも、この前ゴブリンを吸収したときはレベルが上がったな。
と言うことは、レベルアップしていったらどんどん上位のモンスターが必要になってくるわけか。めんどくさいレベルアップだなぁ。
「はぁ、無事に謎を解決出来たので、次は依頼の確認を行います。と言っても耳は見ましたので依頼達成ですけどね」
どうやらハクさんは俺の心の声をスルーしてくれたようだ。
ありがたい。
「それではこれが報酬です」
ハクさんから白い硬貨を手渡された。
1枚ってことは銅貨10枚分の価値がこれにはあるのか。
まぁ、それは追々確認していけばいいか。
「依頼達成おめでとうございます。でも、あんまり無理しないでくださいね」
ハクさんの悲しそうな笑みが心に沁みる。
「分かったよ。無理はできるだけしないようにするよ」
まぁ断言は出来ないけどね。
その心の声を聞いたのか、ハクさんは不満げだ。
「じゃあ俺はそろそろ学園に戻るよ」
ハクさんの不満そうな顔が急に悲しそうな顔に変わる。
「そんな顔しないで。また直ぐに会いにくるからさ」
俺もハクさんと会えるのは楽しいから、きっと直ぐに会いに行くだろう。
その言葉で一応納得したのかハクさんは笑顔になってくれた。
「じゃあまた」
「はい、会いに来るのを待ってますね」
こうして、俺の初依頼は無事に終わるのだった。
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