初依頼(3)
何とかゴブリンを倒すことができた。
霊影剣を使ってからはあっという間だったけど、それまではヤバかったな。
「何でこんなにゴブリンが強いんだよ」
ゴブリンの死骸を見下ろしながら呟く。
「いや、強いんじゃない。ゴブリン達の陣形せいだ」
ゴブリン達は、常に俺を囲もうと動いていた。
あれは計算された動きだったと思う。
しかし、モンスターの、しかも下級のゴブリンがあんなに賢いものなのか……。
…
…
…
「はぁ、考えても分からん」
これは帰ってからハクさんに聞いた方が早いな。
「さっきの戦いで疲れたし、今日はもう帰るか」
肉体的な疲労はあまりないが、精神的に疲れがでていた。
帰ろうと踏み出そうとしたときに立ち止まる。
「……そう言えば影とか耳とか回収してなかったな」
影はともかくゴブリンの耳を忘れると依頼が達成出来ないだろ。危なく忘れるところだった。
「んじゃあさっさと回収しますか」
先ずは耳から。
ゴブリンの耳をダークブリンガーで切り落としていく。
ゴブリンの耳を切り落とし終えるまで3分もかからなかった。
「さすがの切れ味。……さて、じゃあ次は影か」
ゴブリン達を一ヶ所に集める。
「じゃあ回収させてもらうわ」
死んだゴブリンに一言言っておく。
ゴブリン達の影が俺の影へと吸い込まれていく。
「無事に吸えたな。なら『ステータス』」
前回から上がりが悪くなってるけど大丈夫か?
セイヤ・カゲノ 16才 異世界転生者
武器:ダークブリンガー
防具:ボロボロの制服
魔法:使用不可
能力:【影】Lv.3 (1%)
能力スキル:【影伸縮】
【影離】
「……1%しか上がってないのかよ」
明らかに前回よりレベルアップの難易度が上がっている気がするんだが……。
何かレベルアップに条件があるのかも知れないな。
「まぁ、どのみち今持っている情報じゃあ判断が出来ないよな」
結局この件は保留にした。
「さて、やることもなくなったし、帰りますか」
ゴブリンの死骸をそのままにして、王都へと帰って行くのだった。
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