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堕ちてない!

 ハクさんと話し始めてから10分が経過した。


 こんなに話してたら誰かが後ろに並ぶと思っていたが、一切そんなことはなかった。

 むしろ、避けているようにこのカウンターだけががら空きだった。


 しかし、そんなこと全く気にしないようにハクさんは笑いながら話してくれる。


 もう慣れているのか……。


「楽しそうに話してますね」


 後ろから声をかけられる。


 この声は、


「エレナさん」


 振り返りながら言う。


「えぇ、エレナです。私があなたのために動いているのに、呑気にお話ですか?」


 あ、これは怒ってらっしゃるようだ。


「えっと、すいません」


 とりあえず謝っておく。


「いえ、セイヤさんは悪くないです。私の事を思って話をしてくれていたんです」


 ハクさんが言ってくれる。


 その様子にエレナさんが驚いていた。


「ハクさんがこんなに堕ちてるなんて……」


 なんか不審な言葉が聞こえたような。

 それに、ハクさんが赤い顔をして「堕ちてない…堕ちてない」と連呼しているのはなんだろう。

 

「まぁいいでしょう」


「それでは、帰りましょうか」


 そう言って、エレナさんは出口へと歩き始めた。


「あ、はい」


 俺も付いていく。


「また今度来るから、元気で!」


 ハクさんは、悲しそうな顔だが、笑顔で見送ってくれた。


 そして、エレナさんに付いていくように学園の方へと帰っていった。

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