学園へようこそ!
「さぁ、そうやってぼおっとしてないで早くニーナ様の所に行きましょう」
何分ぐらい精霊樹を見つめていただろう。
見かねたエレナさんが苦笑いをしながら言ってきた。
「あ、すみません……」
俺は途端に恥ずかしくなった。
エレナさんの苦笑いも今はただただ辛い。
「こっちです」
エレナさんが歩き始める。
俺もそれに続いて歩く。
学園に入る。
少し歩くが、人が誰もいない。
俺はエレナさんに聞いてみる。
「何で誰もいないんですか?」
エレナさんは振り返りもせずに答えた。
「今日は休みですから人がいないのは当たり前ですよ」
あぁ~、こっちも土日みたいなのがあるのか。
「へぇ、そうだったんですか」
「大陸共通なのに知らなかったんですか」
エレナさんの声が疑惑に染まる。
ヤバい、大陸共通の事だったのか。
その場合、明らかに知ってないと変だろ。
「……えぇ、すごく遠い所から来ましたから」
苦しい言い訳を言う。
「へぇ、どこ出身ですか?」
未だ疑惑の声は変わらない。
「え~と、日本っていう島国です。知ってます?」
出来るだけ平然に答えようとつとめる。
「……聞いたこともないですね。まぁ、あなたが何処で生まれようが、死のうが、どうでもいいですけど」
エレナさんは、感情の籠らない声で呟いた。
エレナさんが聞いといてそれはないでしょう!
少し前まで優しいと思えたのに、また毒はいてるし。
「……まぁ、そうでしょうね…」
面と向かって言われて、少し落ち込む。
「そう、落ち込まないでくださいよ。さっきのは冗談ですから」
エレナさんから困った声が聞こえてくる。
俺は顔を上げる。
声と同じように、エレナさんの顔も困り顔だ。
その顔はとても可愛いと思える物だった。
「あ、はい。すみません」
一瞬ドキッときた。
こんな顔も出来るんだ。
「ん? 変な人ですね」
直ぐに無表情に戻ってしまった。
何かこっちの方がしっくり来るな。
「さぁ、学園長室に着きましたよ」
気付けば扉の前に立っていた。
「お入りください」
エレナさんに言われるままにドアのぶを回し、扉を開ける。
そこには、
「ようこそ我が学園へ!」
ロリっ子の笑う姿があった。
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