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王都へ出発!

「さすがおっさん。帰って来るのを楽しみにしてるよ」


 部屋から出てしみじみと呟いていた。


 ホントに帰って来るのが楽しみだよ。


 そんな事を考えていると門に着いていた。


 門には高級そうな馬車が停まっていた。


「へぇ、やっぱりあのロリっ子は金持ち、というか凄い奴なんだな」


 改めて人は見た目じゃねーなって思えたわ。


「んで、迎えって誰だろ?」


 辺りを見渡しても誰もいない。


 馬車の中にでも入っているのか?


 馬車の方へと近付いていく。


 馬車の真横に着く。

 すると、背後から


「お待ちしておりました」


「うぉっ!」


 つい驚いた声をあげてしまう。


 慌てて後ろへ振り返る。

 そこには、


「いったい何れだけ待たせたらいいんですか。さすがニーナ様が選ばれた大物ですね……はっ!」


 ……。

 何この人! 口が悪くない!? っていうか最後の鼻で笑ったよな。

 結構美人なのに毒舌キャラですか。そうですか。


 毒舌美人の容姿は、黄緑の髪の毛で肩に付かないぐらいの長さで、無表情だ。何かカッコいい人だな……メイド服を着てなかったら。

 そう、毒舌さんはメイド服を着ている。こっちの世界にもメイドさんがいるんだ。まぁ、こっち方が本物だろうけど。


「あの……待たせちゃってすいません」


 とりあえず毒舌さんの目力に負けたんで謝りました。


「いえ、別に怒っていませんよ。ただ、無駄な時間を過ごしただけですから」


 めっちゃ怒ってんじゃん!

 はぁ、俺この人苦手だわ。


「まぁ、そんな事はもういいのです。それより早く乗ってください」


 馬車の扉を開けて入るように勧めてくる。


「あれ、馬を引く人はいないんですか?」


 御者がいない事に疑問を感じた。


「私が御者をするんです」


「え? メイドさんなのにやるんですか?」


 反射的に返してしまった。


「えぇ、そうなんですよ。ニーナ様が急げと言われたので私1人で来たんですよ。ただのメイドである私が御者をやらされているんですよ」


 声に変わりはないが、目が明らかにお前のせいだと物語っている。

 美人と二人きりなのに全く変なことが起こる気がしない。いや、したら殺される。そんな予感がする。

 聞かなきゃ良かったよ。


 大人しく馬車に乗ることにした。


「あ、そういえば自己紹介がまだでしたね。私はエレナです」


「あ、俺はセイヤっていいます。よろしくお願いします」


 ホントはよろしくしたくないです。


「そうですか。そんな事はどうでもいいです。それより出発すますね」


 アンタが自己紹介したから俺もしたのにどうでもいいって何だよっ!?

 自分勝手すぎやしませんかねぇ!


「あ、お願いします」


 こうして、毒舌メイドとの王都への旅が始まったのだった。

評価よろしくお願いします!

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