レベルアップの成果
セイヤは今、森の中にいる。
理由は単純。新しいスキルを試したいからだ。
村では誰が見てるか分からないから使えなかったが、ここなら心配する必要はないだろう。
「誰もいないな」
再度周りを見渡し、誰もいない事を確認する。
おっさんが言うには俺の能力は異端だ。
人間の姿をしているのに妖精の力じゃないと言う。
だから、あまり人に見られるのは良くないだろう。
まぁ、学園に行けば見せざるを得ない事になるかも知れないが。
「でも幸い俺の能力は盾とか拘束とかの支援が今はメインだから、あまり見せなくても戦ってはいけるだろう」
ホントに神様からもらった体さまさまだな。これが無かったら速攻で死んでただろうし。何より、この世界じゃあ力があった方が絶対的に有利だ。
おっと、話が逸れたな。
「じゃあ新しいスキルを使ってみるか」
先ずは何もしていない状態で、
「離れろ」
その言葉に反応し、スゥと影が俺の体から離れる。
「おぉ、ホントに離れてる」
爪先から丁度10cmの位置で影が止まっている。
「へぇ、やっぱり不思議だな」
俺を中心に影を時計の針の様にグルグルと回しながら言う。
ふむ、回る速さも自由自在か。この速さなら本当に銃みたいに出来るかもな。
「さて次は実体化させてやってみるか。『影槌』」
俺の手にハンマーを作る。
前までは手を離してもくっついているっていう不思議な現象が起きていたが今はどうだ?
ハンマーを握った手をしたに向け、手を離す。
すると、ハンマーはゆっくりと落ちていき、10cmのところで空中に停止した。
「はは……前より不思議な現象になったな」
まさか空中で止まるとは思わなかったよ。
これはこれで使い道があるからいいか。
ハンマーが空中で、独りでに動く。
端から見たら心霊現象だろうな。
「でもこれって浮いている影に乗ったら空飛べるんじゃないか?」
やってみよう!
空を飛べる様になったら何かと便利だ。
「よっと!」
浮いている影を平らにし、そこで停止させ、飛び乗る。
「おぉ! 乗れた! これならってうあ!」
足場にしていた影が崩れ、地面に落ちてしまう。
「いてて……やっぱりそう簡単に空は飛べないか」
きっと何か制限が掛かっているんだろう。
でも、数秒は乗れたんだ。
またレベルアップすれば飛べる様になるかもしれない! だから諦めない!
「それに数秒あれば空中での方向転換ぐらいはできるだろう」
まぁ、これも支援系のやつだけどな。
俺は一体いつ攻撃系の能力が使える様になるんだか
「ははは……」
森にセイヤの乾いた笑い声が響き渡るのだった。
セイヤはこれから迎えが来るまでの3日間は森に通いつめだったという。
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