あなたは何者ですか?
俺ことセイヤは今、村へ絶賛帰還中!
とは、いかなかった。
なぜかと言うと、大男の死体をもって帰らないといけないからだ。
魔族の死体は持って帰ってくれと村長にも頼まれていた。
長髪はほったらかしだったが、村に近いからいいだろう。
「あぁー、重てぇ!」
大男の体を担ぎ、首は手に持つ。
精神的にも身体的にもキツい。
神様から貰った体でも重く感じる程の重さ。そりゃあバンバンクレーターも出来るわけだ。
村へ続く森をひたすら歩く。死体と一緒に。
「おっさんは、村は大丈夫かな」
この台詞、出発してから何回目か……。
だが、それだけ心配している。
あの爆発音はワイバーンがやったのか、それともおっさんがやったのか。あるいは第三者がやったのか。
検討もつかないが信じるしかない。
◆
歩き始めてから1時間が経過した。
森の出口が目前に迫る。
行きと帰りでの時間差がスゴいな。
さて、村はどうなっているか。
森を抜ける。すると、
「うわぁ」
村の近くに大男とは比べ物にならないくらいのクレーターが出来ていた。
周りにはワイバーンの姿は見えない。
おっさんがやったのか?
「とりあえず村へ急ごう!」
村へと急ぐ。
あっという間に門の側に来ることが出来た。
そこには
「おっさん! 無事だったのか!」
おっさんと小さい少女が立っていた。
何時もの無愛想な顔をした、体がボロボロのおっさんが立っていた。
「セイヤも無事だったようだな。背中の奴が3人目として、もう1人はどうした」
おっさんが痛いところをついてきた。
「すまん、取り逃がしたよ」
「そうか。まぁ、仕方がないことだ」
少し残念がりながらも納得している。
「しかしよくおっさん1人でワイバーンを倒せたな」
俺が聞くが、おっさんは首を横に振った。
「うん? おっさんが倒したんじゃないのか?」
おっさんに向けて聞いたが、何故か隣の少女がグイっと前に出てきた。
「うむ! 我がやったのだ! どうだスゴいか?」
少女が変な事を言っている。
あのワイバーンをこんな少女が倒した? あり得ないだろ。
そう思いおっさんへと目を向ける。
すると、おっさんが苦笑いをしながら頷いた。
「マジで!? こんな可愛い女の子がワイバーンを倒したのか!?」
そう聞いても、おっさんは再度頷いた。
「わ、我をか、かわいいなどと……照れるではないか!」
少女が照れている。
少女の見た目は、銀髪の髪を肩に届くぐらいに伸ばし、瞳も白く、顔も美少女だ。ただ、小学生低学年くらいだ。
本当にこんな子がワイバーンを倒したのか?
少女を注意深く観察する。
!?
耳が尖ってる!
これってエルフじゃない!? エルフだよ!
はぁ~、この世界にいたんだ~。
エルフだとしたら少しは納得だ。
エルフと言えば長寿なのが特徴だ。
きっとこの子も見た目よりももっと歳をとっているんだろう。口調も少し子供っぽくないしな。
「でも結局あなたって何者ですか?」
結局そこにたどり着く。
エルフでも単体じゃあワイバーンは難しいだろうから。
そう聞くと笑顔で答えてくれた。
「我は王都ロードラにあるパラケルスス学園の学長をしているニーナ・エレメントだ! よろしく頼むぞ!」
評価よろしくお願いします!




