魔族との戦い(11)
激しい砂ぼこりが舞う中、俺と大男は向かい合う。
片方は避け、もう片方は攻撃する。
そんな事を数回繰り返した。
「クソッ! なんで当たらねぇ!」
大男も相当イラついているようだ。
かくいう俺も大男の動きを封じることが出来なくイラついている。
周りの地面にクレーターだけが増えていく。
緊張感が半端ない。
一撃でももらえば終わり。そんなゲームはしたくない。でもこれは現実だ。
……ワクワクするな! なんて、戦闘狂になれれば楽しめるんだけどな。
「ちょこまかと動きやがって!」
怒り露にする。
それと同時にこちらに向けて手をかざしてきた。
「これでもくらいやがれ! 『岩弾丸』!」
手からバスケットボール程の大きさをした岩が発射される。
!?
ここにきての別の攻撃方法かよ!
それに弾丸じゃなくて大砲だろうその大きさは!
「『影盾』!」
とりあえずガード!
ドガンッ!
岩と影が相殺される。
大男の腕力や斧程の攻撃力はない。
ならばあまり警戒する必要はないか。
さて、アイツは、
「!? どこいった!」
しまった! あの岩は俺の目を欺く為の物だったのか!
と言うことは……
「後ろか!」
慌てて振り返る。
「当たりだぁぁぁあ!!」
目の前に、斧を振り上げている大男がいた。
間に合わない。これで終わりか!
ドガァァァンッ!!
激しい爆発音が聞こえてくる。
その音に俺と大男も固まる。
これがチャンスだ!
「『影拘束』!」
大男が目を見開く。
足元の影が大男に巻き付き動きを封じる。
だが、大男相手にあと数秒しか拘束出来ない。
「これで終わりだ!」
大男の首へ向けて剣をフルスイングする。
少しの手応えを感じながら首が飛んでいく。
「ハァハァ……勝てた」
これもあの爆発音のお陰だな。
しかし、気になることがある。
「あの爆発音、村の方からだったよな」
村の方向を心配するように見つめる。
「完全にモンスター使いは逃がしたか」
大男との戦闘で結構な時間を使ってしまっていた。
「仕方がない。諦めて村に戻ろう」
この時逃がしたモンスター使いと後々再開する事はセイヤはまだ知らない。
評価よろしくお願いします!




